「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第65回のテーマは「察するのも禁止」です。
我が家では「怒って伝えない」とか色々なルールがありますが、「察してチャン禁止」というルールがあります。「察してチャン」というのは、自分の要望を伝えずに「普通はこうでしょ」とか、何も言わずして後から「なんでわからないの」とか言うヤツです。
これが絶対ダメなのは「ずるい」からです。
「私がこうしてほしい」と物事を決めたり、要望をハッキリ言うと、何かあったときに「あなたがそう言ったんでしょ」と責任が発生します。でも、責任を避けてハッキリと要望を言わないまま、「望んだ結果にならなかった」と怒り出す。そのときに「普通はこうでしょ」とか「なんでわからないの」と後出しじゃんけんみたいなことを言う。これを我が家では絶対にやってはいけないこととしています。
なぜなら、これをやられたほうは「自分が悪いのかな」と自己肯定感が下がるか、または「なんで!?」と絶対納得できないということになります。こういうことを続けていると、どんどん「愛情」が目減りします。夫婦や家族、親しい人にだけ「甘え」としてやりがちなことも、気をつけなければならない理由です。これは、職場などで格下や目下から上の人間には絶対やりません。つまり「やっても許される」と思ってる相手だけにやる行為なのです。
家族として暮らしている場合に、これをやり続けると信頼関係は失われ、愛情はなくなり、いつか「許せる理由」ごとなくなってしまいます。というわけで、我が家では「察してくれ」という態度は厳禁なのです。
……が! もう一つ反対に「察してしまう」のも禁止なのです!!! 大人が大人にやる分には自己責任ですが、大人が子どもにやってはいけない、ということになっています。
特に、これは母親である私が息子にやってしまいがちです。なにせ、相手が赤ちゃんで言葉を話せないときから、相手の要望をくみ取り、世話をしてきたので……だいたいわかりますよね。わかっちゃうんです。
でも、すでに息子は5歳。自分の要望を話せます。なのに、赤ちゃんの延長で「ん」とか「これ」とか言われて、「はいはい」とやっちゃうのはダメ!! というのが我が家の教育方針です。これは、息子が話せるようになってから「○○ちょうだい」と言わせると、夫婦で話し合って決めました。
私は母親が「言わなくてもわかってくれる」ことが、幼児のころからの原体験として「愛情」だとすり込まれ、大人になっても「察して(私を愛しているならわかるでしょう)」という行動になるのでは……? と疑っています。
これに関しては、男女問わず相手への「甘え」からこういう行動になる人が多いと思います。でも、家族のほとんどが赤ちゃんと母親の関係ではありません。お互いがお互いの考えを持っていて、感情のある人間です。だからお互いを尊重するためには、きちんと言葉で伝え合わなければならない。
バツイチ同士が再婚した我が家では「甘えて、言葉で伝えることをおろそかにすれば家族は壊れる」という切羽詰まった感覚があります。なのでコミュニケーションをちゃんと行うことを大事にしています。
と、ここまで言っておいてなんですが……。私は基本的に、相手のことはかなり「察して」しまうのです……!!! 私は結構自分が「察するほう」だという自認があります。あるからこそ、他の人が察せないことに苛立ちません。「まあ、わかんないよね」とか「ああ、わかんないんだなあ」と受けとめちゃう。
これ……つまり、その行動や思考自体がすでに「察している」んです……。相手が「こちらの気持ちを察せていない、ということを察して」いて、その上で許しているんですね……。
「相手はこちらを察して行動しないけど、こちらは察して行動してしまう」ということをやっていると……大人同士なのに……相手のママみたいになっちゃうことがあるんです……! 「私はあなたのママじゃない!」と言いたくなるような状況は、あまりいい状況ではありません。反省……。
そんな私がリアル息子に察して行動してしまわないわけが……ないのです。でもダメ……! 息子が将来「何も言わなくてもわかってくれるのが愛情」だと思うような大人になるかどうかは、私にかかっている……!
というような、夫婦でのやりとりを家庭で繰り返しているうちに、息子が「お母さんが察して行動したらダメ出しする」という、よくわからないことになってきました。息子よ……お母さんを罠にかけるんじゃなくて、ちゃんと言葉でお願いして……!!!
子育てに理想はあれど、うまくいくとは限らない……というお手本みたいになっちゃっています。
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