「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第51回のテーマは「家事は時間配分と快適さのバランスが大事」です。

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前回からの脳内小姑の続きです。脳内小姑のイヤミってある程度掃除すると消えます。

自分との葛藤なので、自分が「ここまでやれば、常識的にOKだよね」と思ってるレベルまで掃除できれば、葛藤は消えてむしろ気持ちよく過ごせます。

なのですが……。すごくキレイに掃除された家を見て「ヤバイ! もっとやらなきゃ」と思った後に、キレイに掃除されてない家を見て「うちはこれよりキレイね」と安心するどころか、なぜか「もっと掃除しなきゃ!!」モードになってしまいました。キレイなおうちも、キレイじゃないおうちも、みんなそれぞれ「ここまでやればOK」だと思って日々生活してるはずなんです。だから「自分がこれでOK」って思ってる基準って、本当にOKなのかな? ってなっちゃったんですよね……。

お風呂や水回りのキレイさって追い求めると結構無限に掃除ができる気がします。

水垢、石けんカス、カビ、黒ずみ、黄ばみ……。そういえばピンク色の汚れってなんだろうと思って調べたらカビじゃなくて菌だそうです。あまり掃除ができてない洗面台でお見受けしますが、先日私がおじゃましたところにはありました。よそのお宅の場合、水回りを勝手に掃除するわけにもいかず、ささっと手を洗って、一緒にハンドソープで蛇口のハンドルだけ洗っておきました。

衛生的なことは生理的な感覚に直結していると思うのですが、人の基準に対して「もっとやったほうがいいんじゃないか」と思った瞬間、自宅のお風呂場を見たら「もっとキレイにできるのにやってないのでは」「もっとキレイな掃除しているうちの人がうちを見たら、私が今日思ったみたいに思うのでは」みたいになってしまったんですよね。

脳内小姑の基準が、ばばーんとアップしてしまったのです。

ネットで洗剤のレビューを読みまくり、新しい洗剤を買い、休日の午前中を使ってガッツリ掃除。でも全然すぱっとキレイにならず、「洗剤が悪いのかしら」と別日に別の洗剤でチャレンジしたり……。

ネットで「1時間つけ置きしましょう」と書かれていたのを読んで、やったけどイマイチキレイになってないから、翌日3時間つけ置きしたり試行錯誤したり。一時的な掃除ブームみたいになってしまいました。

私の感覚で言うと、今までが60点くらいの掃除力だとしたら、80点くらいまでは掃除をした感じです。どうやってもあと20点分はキレイになってない。

パートナーには「引っ越してきたとき以上にはキレイにならないよ!」と言われ、確かに引っ越しのときはプロが清掃してるハズで、ここまでやってもキレイにならないってことは素人じゃもう無理なのかなと、ある程度のところで諦めました。

とはいえ理想よりピカピカじゃなくても、ある程度はキレイにはなったわけです。でも、イザ自分の家の水回りのキレイさを追い求めると、その状態をキープしたくなります。

我が家ではいつも最初にパートナーがお風呂に入り、その後子どもと私が入ります。子どもを洗ったのち、先に出たパートナーが子どもを拭いたり着替えたりをやってくれる間に、私が自分を洗います。そして私が出るときにお風呂の掃除をして出る流れです。

この、最後の風呂掃除をしてから出る、の時間が毎日毎日すごい延びちゃったんですよね~。

今までは忙しければ、シャワーでさっと流して髪の毛などのゴミを全部取って、洗剤でシュシュッとやって簡単に洗ってざーっと流す。週末はもっと細かく掃除。という感じだったのですが、毎日ガッツリ掃除してしまうようになり、「お母さんいつまでたってもお風呂から出てこないね」ということになってしまいました。

私は「高圧洗浄機、欲しい……」と思いながら洗剤を使ってタイルの床の隙間をブラシで毎日磨いていたのです……(全然キレイにならないし、すぐ汚れがついてしまう)。

なのですが、それだけやっても我がパートナーは「まあ、キレイになったんじゃない?」「今までだってそんなに汚れてなかったと思うけど」というあいまいな評価。

そういえば、我がパートナーは目が悪くてメガネ……。そう、お風呂のことはかなり「あいまい」にしか見えてないんです! 日常的に気にしているのは私だけだった!!!

本当に、掃除の基準って難しい……! と思いました。

こだわるには時間が足りないし、こだわっても自己満足だったりするなら、時間配分を考えて「そこそこでOK」ってやっていかないとな~。お風呂がピカピカなら気持ちいいですけど、それを何と引き換えるのかということも考えなきゃいけない。

家族みんなが求めてる基準とかも考慮するべき……と思ったので、基準は前と同じか、ちょっとそれよりいいくらいに戻しました。基準がブレると心もブレます。ブレないほうが平和です。たまにむくむくと「もっと掃除したい」と思う気持ちとまだ戦っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。