「家事も育児も家計も全部ワリカン!」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第46回のテーマは「親子にも相性はあるような気がする」です。

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私は男児が生まれたときから「男児は育てるのが大変」と想像していました。すぐ走ってどっか行ってしまうとか、棒を拾ったら振り回すとか、「やんちゃ」なイメージが強かったためです。

ところが……! ハイハイをし始めたころから、同じ年頃の男の子と比べても、どうも「やんちゃ」ではないようだ……と思うようになりました。他の子が、ハイハイでもどこかへ行こうとするのに比べて、我が子は母から離れようとしない。

さらに、テーブルの上のものを触ったりいじったり全然しない。食べ物をぐちゃぐちゃにしたりするどころか、手が汚れるのが嫌がる。

極めつきは、引き出しや棚につけたベビー用のチャイルドロックを外すどころか、はめたのを見たときです。全然引き出しや棚を開けたりしないので、だんだんロックするのが面倒になり開けっ放しにしてたところ、1歳児くらいの息子は「いつもはまっているものが、はまっていない」と認識したらしく、開けるどころかはめてくれたのです……。

あれ?! 赤ちゃんとか、男児とかって何もかもぐちゃぐちゃにする無秩序な存在じゃないの?! と相当ビックリしました。子どもによるんですね……。しつけとか教育とか以外に、元々持ってる本人の資質っていうのがあるんだな……と知りました。

そんなわけで、我が子は街で一緒にいても、どこにも走っていかないし、手を繋いでくれるし安心〜。子どもだからって、男児だからって、無秩序じゃないんだ〜と私は大変喜んでいます。

なのですが、我がパートナーにしてみると「こだわりがあるから結構大変」だそうです。確かに、着るもの食べるもの、色々なことにこだわりがあります。2歳くらいのときから着るものにこだわり始めて、絶対に気に入ったものしか着てくれません。困ったのは靴下。ある時期から、いくつもある靴下の中でも1つしかないシロクマ柄の靴下しかはいてくれなくなり、仕方ないので他のシロクマ柄を探して買い、最終的に引き出しの中にはシロクマの靴下しかなくなりました。本人を納得させずに無理やり靴下をはかせると、それだけで20~30分かかってしまうので、時間と労力を天秤にかけると靴下を買ったほうが早いのです……。

私には実姉が2人いて、2人とも男児がいるのでお下がりをもらうのですが、これも2歳以降は気に入ったものしか着てくれません。なので、うちにあるお下がりやはかなくなった靴下などは同じ歳の「着るものに全くこだわらない」お友達にじゃんじゃんあげることになっています。

私にとって「どこでも手を繋いで歩く」のは安心ではあるのですが、確かにどこでも絶対手を繋ぎたいというのも大変です。保育園に送るときなどは真冬の大雨、大雪だろうが必ず手を繋ぐので、私の腕はびっしょびしょです……。

でも、私は人のこだわりに合わせるのが割と苦じゃないタイプ。さらに相手が幼児なら全然問題だと思いません。なので、シロクマの靴下がよければ、はいはいどうぞ、と用意するし、手を繋ぎたければ大雨でも繋ぎます。

これに関しては、よく保育園の先生やママ友などに「こだわりに根気よく付き合ってすごい」的なことを言われたりするのですが、「優しいお母さん」というよりは大体のことに関して「別にいいじゃん」としか思わないというのが本音です。たぶん、これって息子の持っている元々の性質と、私の性質の相性がいいんだろうな……と思っています。

しかし、一番お父さんが困るのは「お母さんじゃないとイヤ」というこだわりです。いや、お父さんだけでなくて私も困るんですけど……。お父さんはこの「お母さんがいい」というこだわりに結構心を折られているので、私が「我が子は育てやすいなあ」と発言することに、「いや……そんなことない……」と懐疑的です。

私がこだわりに付き合うことが全く苦にならず、どんどん付き合ってしまうと、息子は母のほうが一緒にいて楽になってしまいます。それが「お母さんがいい」となる原因のひとつではあると思います。我が家では子どもに対しての関わりや関心は夫婦そろって高いので、一緒にいる時間の長さや関わりの多さで「お母さんのほうがいい」というわけではないはず……。もしかしたら「誰にでも育てやすい」わけじゃないってこと? と思いました。

自分が子育てを始めてわかったことのひとつは、「親子関係」は元々親のほうが持ってる性質だけではなくて「子どもとの相性」もある程度関係しているんだろうなということです。だから、同じ親と子でもきょうだいで親との関係が違ったりするのだろうと思います。

自分自身が他のきょうだいと比べて「う〜ん、どうして同じ親に育てられたのにこんなに違うんだろう」と思うことが多かったのですが、子どもを育ててみたら「持って生まれた性質」というのは意外と大きく影響するものなのかもしれないなと思うようになりました。

まあ、今までは「相性よくて楽だなあ」なんて思っていたのですが、最近成長してきて、また変わってきました。だんだんふざけたり、言うことを聞かなくなったりして手を焼いています。何事もずっと同じというわけじゃないのだな……と最近気が付きました。もしかしたら、もっと大きくなってからは父親のほうが相性がよくなったりすることもあるのかも、などと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。