「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第45回のテーマは「子どもの成果物をシェアしています」です。
前回から引き続き、息子のことに前のめりなお父さんの話です。我が家は保育園の送りが母、お迎えは父という役割分担になっております。なので、送りのときに見たもの、お迎えのときに見るものが違ったりしています。私はわりと「見てない」ものに無関心だったりするのですが、お父さんは自分が見てないものに気が付くと「オレにシェアしなさい!」と言ってきます。なので、忘れないようにマメにシェアするようにしています。これも我が夫婦のルールの一つです。
うちのパートナーはとにかく「母と子」で完結することにセンシティブです。我が家は息子が"お母さん大好きマン"なのもあって、気を抜くと「お父さんだけ知らない」とかいうことも多いので、気をつけています。
なのですが、お父さんのほうは、あんまりこっちにシェアしてくれないんですよね……。
最近、保育園のシステム上、母は送りのときに保育園の教室前の廊下を通らなくなりました。そこに息子を含めた園児達の絵がよく貼ってあるのですが、送りしか行かない私はよく見逃してしまいます。お迎えのときはその廊下を通るので、お迎え係であるお父さんは見ます。
最近知ったのですが、パートナーは、自分がやっているパパLINEグループに、その絵を全員分、写真に撮って送っていました。「お迎えに来ないお父さんは見られないから、シェアしてあげてる」とのこと。
……私も見てないってばー! 私にもシェアしてよ〜! となりました。が、まあ、送りのときに廊下まで行けば見られるし、展示物はそのうち家に返ってくるので見られるからいいか、と。私が「シェアして!」としつこく言わないので、お父さんからのシェアは「ルール」化されてないような気がします。気を抜くと、やっぱりお父さんのほうが「息子情報」が少なくなる傾向があるので、お父さんのほうが「必死」にアピールしているというのもあるのかもしれません。
息子情報のシェアに気を遣っていたりすると、だんだん息子が我が家のアイドルで、夫婦でファンクラブをやっているような気分に……。夫婦で必ず息子関連行事に行くのも含めて、ファンクラブ感が強めです。
私ももちろん、お父さんに負けず劣らず、つぶさに息子の成長の記録を取り、写真撮影を欠かしません。アイドルに課金するように、息子にも課金しているような気がしてきました。習い事とか、知育教材とかも、推しに貢いでいるような……。
いや、私としては、子どもは自分の意志だけで行動はできないので、なるべくサポートするという考えなのですが……! 基本的に息子に対して激甘です。昭和の4人きょうだいで育った身としては、あれ? こ、子育てってこんな感じだったっけ?? と「自分が育ったときと……違う」みたいな気持ちになるのですが、自分が「我慢させられたり」「しつけられたり」したことが、あまりプラスになっていないなと思っているので……のびのび育てています!!
息子が推せると、子育ては大変楽しい……というのが、我が家の認識です。
私は息子が初めての子育てですが、パートナーには子育て経験があります。「子育ての先輩」なので、ちょっと私が「大丈夫かな」と不安に思っても、パートナーは俯瞰で「子育て」を見ることができているような気がします。
我が子には異母きょうだいの兄と姉がいるわけですが、確かに彼らを見ていると「お父さんが、自分のこと大好き」と揺るぎなく思えるのは非常に大事だなあと思えます。きっと息子も「両親は自分のこと大好き」と揺るぎなく思えるのだろうなあと思って、一緒に「息子ファンクラブ」をやっています。
私は好奇心から「子どもがほしい」と思っていて、子どもができるまで「赤ちゃん・子どもがかわいい」と感じたことはなかったタイプでした。まさか……自分がここまで息子推しの母親になるとは……と思っています。とはいえ、これは永遠に続くものではないんですよね。数年後には卒業することになるのだと思っています。終わりがあるからこそ、尊いと感じられるような気がします。
いつか息子が自分の世界を持って羽ばたいていったら、ファンクラブを卒業して自分の好きなことをやるのが理想です。私は「古墳」が好きなのですが、今は息子に付き合わせるのも限界があるので、たしなむ程度にしています。でも、いつか息子が自分の時間を自分で使うようになったら、行きたい古墳に行きまくりたい……! と思っています。いつかの楽しみを取っておきつつ、今は夫婦で息子の「追っかけ」を楽しみたいと思います。
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全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。