「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第44回のテーマは「子どもの行事は夫婦で行きます」です。
我が家では保育園の保護者会、個人面談、お楽しみ会(学芸会的なもの)……全て、夫婦そろって出席しています。
さすがに、全部夫婦同伴はいない。いないですね……。たまに一緒に来てるところもあるけど、2人とも仕事を休んで来るおうちはない! そもそも、お勤めのご夫婦は「夫婦のどっちが半休を使うか」でもめるところでもありますよね。
保護者会なんかは交代で出るおうちもあるし、まだまだやっぱり毎回「お母さん」が参加してるおうちが多いです。あと、どっちも都合がつかなかったら来ないおうちもあります。
しかし、我が家では保護者会は「行きたい」ので、奪い合いです。2人ともフリーランスで時間に関しては裁量がいくらでもあるので、都合をつけることが可能です。「作業」「打ち合わせ」「保護者会」……全部同じように扱えます。
2人とも、息子の保育園情報を知りたくてしょうがないのです。私のほうが仕事柄、自分の都合だけで時間を取り扱えるので、私が出席できないことはありません。しかし、映像の仕事をしているパートナーは、撮影に出かけたりスタジオに入ったりするので、泣く泣く行かれないこともあります。
出席する権利を夫婦で奪い合うくらいなら、一緒に行こうってことで、よっぽどのことがない限りいつも一緒です。我がパートナーはよくも悪くも空気を読まないタイプで、最初、私は「うちだけ……いつも……2人」って思ってました。
「パパ参加をあまり快く思わない人もいるかも?」とかあれこれ心配したり、いつも夫婦一緒だと「私は他のママ友と仲良くなれないのでは……」と気をもんだりしていたのですが、慣れてしまえば「あのおうちは、ああいうおうち」って感じで平気でした。少し前に保護者会と保育参観が続けてあったときは、ランチのために1回保育園から帰り、昼食後にまた集合という流れだったんですが、そのときはうちのパートナーも他のママ友と一緒にランチしてました……。顔なじみになっちゃえば、ママ友もパパ友も変わらないんですね。
うちのパートナーは「パパももっと参加できるムードにしたい」らしく、パパ友グループLINEを作って、よく保育園情報を流しています。確かに、そういうことをしたほうがパパ達も参加しやすいですよね。
そういうところ、最初は「大丈夫かな」とちょっと心配してましたが、蓋を開けてみたら、パパ会をやったり、他のパパ達もパパ同士での交流は楽しそうにしているようです。確かに、同じような年齢の子がいるわけだから、共通の話題もありますよね。そういうパートナーの行動力には感心してます。
うちのパートナーは「かわいい我が子の全てを目に焼き付けたい」くらいの感じで、保育園で何をしているのか知りたいし、見たい! という感じです。もちろん仕事が忙しくて、なかなか保育園の行事にも参加できないパパ達もいるんですが、パパ同士のコミュニティがあって「今日の行事」の情報を流したり、写真を共有したりするのは、いい影響があるのかも、と思っています。
ネットや世間で、子どもに無関心な父親の話を聞いたりすると「こんなにかわいい時期を見逃すなんて……なんてもったいないことをしているんだ」とパートナーは言っています。私もそれは同じ気持ちです。
私は「年取ってからできる子どもはかわいいと聞くし、そういう感じなのかな〜」なんて思ってましたが……パートナーは離婚する前の家庭にも子どもが2人いて、離婚前も行事にしっかり参加し、離婚後も授業参観、学芸会、運動会など可能な限り見に行ってました。年齢は関係ない様子。
保育園などでの子どもの様子は知らなければ知らないで、暮らしていけるとは思うのですが、知ったほうが面白いし、子どもとの共通の話題にもなります。子どものことを知れば知るほど育児は楽しいし、成長も感じられます。お母さん任せにしているおうちのお父さんは、とてももったいないことをしている。全て二度と見られない瞬間なのに……というのがパートナーの意見。成長して自分の世界が広がっていく前の子どもの姿は、本当に貴重だし尊いな〜と私も思います。
大きくなって、自分の世界を持った後の子どもたちはもう「1人の人間」としての付き合いになりますが、その前の子どもの成長を見つめられるのは、親の醍醐味だと思っています。パートナーは「親孝行は幼少期のかわいさで充分返してもらってる」と言います。それはそうかも……と私も思うようになりました。なので、見逃してはならぬのです……!!!!
一昔前に比べれば、父親の育児参加は増えていると思うのですが「父親もやるべき」というよりは「もったいないから見たほうがいい!」というのが我々の気持ちです。子どもが育つのを見ると、自分の人生を振り返ったりもするし、言い方は悪いですが「コンテンツ」としてかなり興味深いものだと思います。もちろん、子育ては面白がれる以外にやらなきゃいけないタスクが山積みですが、興味深く成長を見る気持ちは「育児を楽しむ」には大事な視点だなと思っています。
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バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。