「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第4回のテーマは、「ダメ出し禁止のルール」についてです。
うちの家事シェアの基本ルールは「ダメ出ししない、お願いする」です。
家事クオリティの求めるレベルが高い人は、ついつい「ダメ出し」しがちですよね。私もかつてはそうでした。しかし「やりたくないことは基本やらない人生」を選択することにしたら「やらない」っていうことも主義主張となり、ダメ出しされると「自分の主義を否定されてる」と思うようになりました。
お互い大人なんだから、「やらない」「ルーズ」「まあこれくらいでOK」と判断していることを、尊重してくれてもいいじゃないか? と思うようになったんですね。これって「ダメ出し」されるほうの言い分ですよね。
些細なことなんですけど、私はよく夫に洗い物のことで言われます。「くぼみがあるタッパのフタは、乾きにくいからよく水を切ってから立てかけて」とか。私は「置いといて乾いてないなら拭けばいいじゃん」って思います。
別にそれって最終的にゴールは「片付ける」であって、片付ける前にどうするかの判断の違い。「こっちの方法がいい」と思っていても、相手は違うかもしれない。でもつい「自分のやり方が正しい」って思ってしまいがちなんです。
ダメ出しって、「正しさ」を求める人が「私の主義に従いなさい」って言ってるようなものですよね。自分が言われる側になってみて、大人同士なら「正しさ」で従わせるんじゃなくて「私の主義に合わせてくれませんか」とお願いしたほうがスムーズなんじゃないかと思うようになりました。
家事や家のことって、頑張ってやっていると、ついつい相手に対しても「なんでやらないの?!」と熱くなりがちです。でもいったん冷静になって「私はこうしたいから、合わせてください」ってお願いできたら、言われたほうも「そうか、じゃあ相手のためにやろうかな」と思うんじゃないかなと。
「正しさ」を求められて"しぶしぶ"やるよりは、「やったら相手が快適なんだな」って理解して"喜ばれたくて"やるほうが、モチベーションが上がるなと思ってます。こっちのほうが平和だし、幸せだよね、ということで、我が家ではお互い「お願い」するようにしてます。
最近は夫から洗い物について言われるときは、夫も細心の注意を払って「なるべく洗ったらこうやって置いてくれますか?」などと「お願い」するようになってくれました。
人は「思ったようにできてない」と普通はイラっとするものです。さらにそれが夫婦だと、ついつい相手に甘えてその「イラっ」をストレートにぶつけちゃうんですよね。夫婦でも相手を尊重してきちんと「お願い」しよう。そういう努力がないと、気付いたら相手を信頼できなくなって、家庭内が冷えて、最終的には離婚に……。
そんな体験をしている再婚夫婦なので、小さなことから気をつけて生活しています!
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。