「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第39回のテーマは「個人の資質のほうが性別の"らしさ"より重要」です。
私はとにかく「女性に弱い」です。そういう意味では「男女平等」ではないのかもしれません。しかも……どっちかと言えば、美人にも弱いです。
なぜか、昔から女性に対して「何かしてあげたい」という気持ちがわき起こります。男性に対してはあまり思わない。特定の仲良くなった男性には尽くしたいという気持ちはあるのですが、いわゆる「イケメン」みたいな見た目が麗しい男性に興味はなく、見た目がキレイな男性には「ああ、キレイだな」と思うだけで「何かしたい」とは思わないのです。
たぶん、全体の割合で言うと私は女性のほうが「かわいい」「いいな」と思う相手が多いのだと思います。
一方、パートナーは全然そういうところがないのです。仕事の付き合いで女性のいるお店に行くと、必ずSNSで中継してきます。気疲れするので、私とその状況共有したいらしい。美人は好きだけど、「知らない女の人と話をして、何が楽しいのかわからない」というのが我がパートナーです。
これを話すと、女性が大好きな男性は「妻にはそういう風に、言うだけだって~。キレイな女の人が嫌いな男がいるわけないじゃん」と言ってくることがあるのですが、いや……キレイな女性が大好きな女性もいるし、いくらキレイな女性でも、よく知らない人が隣でお酒を注いでくれる状態が好きじゃない男性もいるだろう……と思うのです。
私は、女友達に対して許容範囲がとても広いです。好きな女友達には遅刻されようが振り回されようが「いいよいいよ」と受け入れてしまうのですが、パートナーには「なんでそんなに弱いんだ!」と、よく「理解できない」と言われてしまいます。
じゃあ男友達には厳しいのかと言うと、そういうことではなくて、そんなに振り回されるタイプを選んでないのかもしれず、「甘い」とか「弱い」とか言われる状況が少ないような気がします。なので、女友達に対してのほうが「優しい」ように見えるので、パートナーは「さるころは女に弱い」と思っているようです。
パートナーがそう言うだけでなく、私も「女の子が喜ぶ顔が見たい」という願望はかなり多くあると自覚しています。しかも自分よりも若い女子ともなると、更に「何か買ってあげようか?」というモードが加速します。
パートナーには、このモードがまったくついてない。パートナーの娘(前妻との子)に誕生日プレゼントを買う、というミッションにあたりこの特性が完全に発揮され、パートナーは「欲しいものがあれば、買うけど……」くらいのモードに対して、私は「何? 何が欲しいの? 買うよ~~」と前のめり。ニコニコで買い物をしてしまいます。
というわけで、去年のパートナーの娘の誕生日プレゼントは、パートナーと息子(私の息子)を公園に置いて、女子高生と後妻(私)だけで109買い物ツアーをするということに。
お父さんも4歳男児も、若い女の子の服選びにまったくときめかないから……。私だけはウハウハです。女子の好きなもの買うの、楽しい~~~。
ちなみに、この楽しいモードは相手がパートナーの姪でも同じで、パートナーの地元から姪が遊びに来たときも、パートナーに息子を任せて原宿に行きました。
我が家は「得意なほうがタスクを引き受ける」ことになっているので、パートナーの娘だろうと親戚だろうと「若い女子と買い物」係は私がやっています。
昔から仲良くしている年下の女友達にもじゃんじゃんおごっちゃうし、その女友達の娘にも買い物しちゃうし、とにかく、女子には「何かしてあげたい」と思っちゃうんですよね……。相手の嬉しそうな顔が見たいし、喜んでくれるとすごく幸せ。
昔はそんな自分を「おじさんみたいだな」と思っていたのですが、最近は自分の加齢とともに「これはただ『おばあちゃんみ』が増しているのでは?」と疑っています……。何でも買っちゃうおばあちゃん。
若い男の子にも、誕生日とかそういう機会にはプレゼントはしますが、楽しさのテンションが違うのでやっぱり私は「女の子が好き」なんだと思います。
と、散々私が「女の子が好き」という話を熱弁してしまったのですが……そういう状況なので、我が息子が「女の子が好き」っぽいリアクションをとっても、「ああ、私の遺伝かな」としか思わないのです。
ただ、「女の人のほうが好き」という理由で、息子がお父さんに冷たいのだけは困りものです。こればっかりはどうしたらいいのか、悩ましい。赤ちゃんのころからそうなので、やっぱり生まれ持った資質なのかなあと思います。
ただ、私は女性に対してただ「好き」という好意だけで立ち振る舞えるのは「同性」だからなのですが、息子にとっては女性は「異性」なので、思春期以降は「私の遺伝だなあ」というのんきな心構えではいられないのかも……とは思っています。
そういうところも含めて、ちゃんと話ができる親子関係を築けたらいいなあと思ってます。でもそれも「男だから」とかじゃなくて、「あなたは」という個人を前提とした話をしたいなあと思っています。
自分がたくさん「女だから」という呪いをかけられてきたと思うので、そういう呪いは子どもにはかけたくないなと思っています。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。