「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第33回のテーマは「かわいくお願いする難しさ実感中」です。

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  • モヤモヤは放置しないで

夫婦のちょっとした諍いって、ものすご~くくだらないことだったり些細なことだったりしませんか? 我が家でここ最近モヤモヤとしたことがあったのが、「風呂のシャワー問題」です。

お風呂のシャワーをパートナーが使うときは「熱いお湯」を使う。そして、私が使うときは「水」を使う。息子が熱いお湯が嫌いなので、必ず水を入れないとお風呂に入ってくれないからです。そして実際の温度がどうというよりはほぼ儀式なので、必ず水を使います。で、息子とのお風呂の流れでそのまま水で終わることが多いんですよね。

水からお湯に温度を変えて使うことに関して、お湯派のパートナーが「最後に浴槽を洗うのなら、そのときお湯にしたほうがいいのではないか」と提案してきたわけです。「なんでお湯にしとかないんだよ」とか言わないアタリには、我々の話し合いの進歩を感じます。

なんですが、私の中では「それは、風呂掃除がお湯である必要よりは、自分が使いたいときにお湯になっていてほしいからでは……」と思ってしまったんですよね。そしてモヤモヤしたので、「風呂掃除 お湯」で検索したところ、掃除したあとにお湯をかけるとカビが生えにくいのは、50度以上のお湯だということでした。やや、50度のお湯のままにしておいたら、それはそれで危険なのでは……?!

なので「それって、本音としては自分が入るときにお湯に変えるのがイヤだから、お湯にしておいてとお願いするところなんじゃないの?」と聞いてみたところ「お願いしてまでやってほしいことじゃない」と言われ、そのままに。

も、モヤモヤする~~~。というかシャワーは「使う度に使う人が、使いたい温度に設定すればいいのでは……??」という気持ちに。

でもそう言われた側としては、別に意地張って「絶対水のままにしてやる! お湯になんかするものか」と思うようなことでもなく、モヤモヤとしながらも「こっちのほうがいいのかなあ」とお湯に戻しておくようにしたのです。

でもこういう、「自分は納得してないのに、気を遣う」のは全然いいことがないのです……! 結局別のことで何か配慮を求められたときとか、配慮がないって苦言を言われたときに「私はコレをやってあげたのに!」と持ち出しちゃうんですよね。納得してないから。

結局、後日私はモヤモヤしながらお湯に変えておいた状況を、別の問題の話し合いのときに持ち出して、パートナーからは「オレは頼んでないし、しかも自分の使うメモリとは違う温度設定になっているので、意味がない」と言われました。うわ~~~~。損した気分でいっぱい……。

やってほしいことがあるならちゃんと「お願い」しないとダメだと思うし、同時にちゃんとお願いされてないことを「こっちのほうがいいのか?」とモヤモヤとしながら受け入れるというのもダメなんですよね。

私は「気を遣う」とか「心遣い」というのはとても取り扱いが難しいものだと思っています。気を遣われることや、自分を想っての配慮に感謝できたらいいけど、「そうなっていて当たり前」だったり「快適なことは不満がないから気がつかない」ような状況になったりすると、心遣いが多いほうに結局は負担が増えるからです。

負担に対して「私ばかり」と思い始めると、何かのときに「自分さえ快適なら、それはこちらが配慮したって当たり前だと受けとめて、こちらの配慮に気がついてないだけじゃないか!」と、絶対「文句」として持ち出しちゃいます。そうやって言われたら、言われたほうも「頼んでないし」「勝手にやっておいて文句言うな」という負の展開になりがちです。

だからこそ、私はちゃんと納得できてないことを勝手に「よかれと思って」気を遣っちゃダメだなと思います。「よかれと思って」やるなら、本当に相手が望んでいるのかどうか、相手が喜ぶのかどうかを確認してからじゃないと意味がない。

我が家では「かわいくお願いする」ルールですが、逆に「お願いできないこと」に関しては、変に気を回したりせず素直に「聞かない」という意識を持つのも必要だなと思う次第です。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。