「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第28回のテーマは「ポジティブなことは気軽に言おう」です。

  • ポジティブ発言でモヤモヤを厄払い

私は日々、夫婦のやりとりを改善したり、話し合いをマメにするように心がけたりして、「夫婦が仲良くいること」に対してかなり意識が高いほうだと思っています。

そうしないと、夫婦の関係はすぐに楽なほうに流れ、気が付いたらすれ違うようになっていた……みたいなことになってしまうと思っているからです。

とはいえ、そんなに毎日毎日「全ての問題を細かく解決していこう!」とまではできてないです。日々のタスクはどんどん積み上がるし、いちいち話し合えないこともある。なので、「大問題だな」とか「これはちゃんと言わないと!」ということ以外は、「まあいいか」と流すことも多いです。

でもそういうのって、やっぱりだんだん溜まるんですよね。モヤモヤと。「まあいいか」と思って掃除してない場所のホコリのように……。そしてだんだんと「なんか最近大事にされてない気がするな」とか「パートナーからの扱いが雑じゃない?」とか、そういう印象になったりする。

でも「最近なんか、大事にされてない気がするんだけど」なんて言っても、なにかお互いやらかしたわけじゃないのだから「いやそんなことないし」という話にしかならない。むしろモヤモヤをネガティブな言葉にすると、さらに固定されるような感じがしてしまう。

私はこれを、具体的な問題というよりは「厄」のような「なんとなくよくないもの」だと思っていて、細かく問題について話し合うより、逆に「よいこと」で吹き飛ばすほうが効果的なんじゃないかな? と考えました。

なので、逆に「誕生日を祝ってくれた」とか、イベントほどは印象に残らないけど日々のちょっとした「よかったこと」を自分の中で思い出してみます。いわゆる「よかった探し」です。

それをやっていくと、「昨日私の好きなメニューを出してくれた」とか「私が苦手な計算をしてくれた」とか、日々のささやかな「この人がいてくれて、私が助かったこと、嬉しかったこと」を認識できるんですよね。なんでもないようなことが、幸せだった……というアレです。

そうすると「ああ、この人と結婚してよかったな〜」という気持ちになり、相手に言うならそっちだろという気持ちになり、直接言葉にして伝えることができます。そのうち、モヤモヤした気持ちも晴れていき、お互いハッピーな気持ちになれます。

まあ、もちろん「いっつもスマホばっかり見てないで!」とか些細なモヤモヤを指摘することも、やるんですけどね。そればかりじゃモヤモヤがギスギスになるので、潤滑油のようにポジティブなことも言うようにしています。

日本人はとくにパートナーに甘い言葉とか言わない傾向がありますよね。まあ、うちでも本気の「愛してる」はなかなか言えません。なにかしてもらって嬉しいときとか、オーバーに感謝を伝えるときに「わーい、お父さん愛してる!」みたいにしか言えません。でも「結婚してよかったな〜」はわりと本気で言えるし、バンバン言ったほうがいい言葉のような気がします。

大事なことはいざというときまでとっておくタイプの人もいると思うのですが、私は練習しておかないと「いざ」ってときにもなかなか言えないと思うんですよね。だから、どんどん気軽に相手に対しての気持ちを口にするようにしています。

ただ、これもいいことばかりではありません。初婚では「よかった探し」をしすぎてしまい、気が付いたら「よかった」と思えるレベルがぐんぐんと下がり、友達から「川の水を飲みながら『私、喉が渇いてなくて幸せ』って言ってる人みたい……」って言われてしまった私なので、ポジティブに考えすぎるのも注意しないといけないとは思っています。

よかった探しは、イヤなことに目をつぶったり、現実の問題から逃避したりするためにやることもできてしまいます。相手に求めるレベルが高すぎて感謝の言葉が言えないのも困りますが、あまりに求めるものが低すぎても心は疲弊すると思うので、本当に自分がしてもらって嬉しいことを生活の中で再確認するというのは、意外と大事なんじゃないかな? と思います。

ネガティブなモヤモヤを言葉にするなら問題解決をできるように。ポジティブな感謝の気持ちを言葉にするなら、互いをリスペクトして尊重しあえるように。

両方ちょうどいいバランスで言葉にしていきたいなと思っています。

新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/税込み1,080円/2月7日発売予定)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉め事あるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。