「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。最終回となる第233回のテーマは「夫婦が話す機会はたくさんあったほうがいい」です。
みなさん運動していますか。私は……あまりしていません。
私は元々在宅ワークですが、ここ数年でリモートワークが進み、通勤が減った人もいますよね。子どもが保育園に通っていたときは、送り迎えがありましたが、小学生になったら自分で登下校します。私は家から出なくても生活できるようになってしまいました。そしてコロナ禍によって出不精にさらに磨きがかかり、去年は体重が激増。健康診断で「これ以上血中コレストロール値が上がったら、お薬が必要です」と言われてしまいました……!
パートナーは健康診断で「脂肪肝です」と言われてから、真面目に毎朝ランニングをしています。最近、膝の調子がイマイチということで散歩に切り替えました。……散歩? 散歩なら一緒に行こうかなあと思って、最近ずっと一緒に散歩に行っています。パートナーは知らない道を歩いたり、考え事をしたりしながら散歩をするのが楽しいらしいのですが、私は目的地もなく歩くのは苦手です。散歩、あんまり楽しめないタイプなんですよね……。
最初はパートナーと話したいことがあったので散歩についていきました。わざわざ話し合いの時間を作るよりも、パートナーが散歩している時間に自分も行けば話ができるし、自分も多少の運動不足解消にはなるかなと思ったのです。
すると、長年暮らしているのに一度も通ったことがない近所の道を通ったり、知らないお店を発見したり、いろいろと楽しいことがありました。それをパートナーと「ああだね」「こうだね」と話しながら散歩するのはとても楽しいです。なので、特に「話さないといけないこと」がなくても散歩についていくことにしました。
秋くらいから始めたので2カ月くらい。ご近所さんのウォーキングに遭遇することなどもあり、ひょっとして我が家はご近所さんから見たら「いつも夫婦で散歩してる、仲良し夫婦なのでは……? 」と思いました。
私はパートナーになんでも話します。その昔、若かりし頃「○○くんのことが好きなんだけど……」という甘酸っぱい恋愛相談を友達から受けると、「それそのまま本人に言えばいいのに」などと思っていました。そして私自身は好きな相手には好意をガンガンに伝えるタイプでした。私には元々「言えない/言わない」というコマンドがほぼ、ついていないのです。
そんな私なので、パートナーにはいいこと悪いこと、相手へのリスペクトも不満もなんでも話してしまいます。パートナーは「察してくれと言われるよりも全然いい」という人なので、聞いてくれます。パートナーの態度に不満があればそれについて話し合い、息子についての悩みがあれば一緒に考えます。情報を共有すること、意見のすり合わせをすることは「一緒に家庭を運営する」ためにはすごく大事なことだと感じています。困りごとが大きな問題になる前に防げるし、問題が起こっても「ああ、あれね」とわかっていると解決が早くなります。
なので、最近の「散歩」は我が家の「ミーティングの時間」だなと思うようになりました。仕事でも長い共同プロジェクトをするチームはこまめな情報共有とミーティングをしますよね。「家庭運営」という長期ブロジェクトの仲間である「夫婦」にもミーティングの時間は非常に大切だなと最近実感しています。
家庭の問題以外でも、我が家はお互いが個人事業主&会社経営者なので、お互いの仕事の相談や愚痴、弱音も話します(主に弱音を吐いてるのは私ですが)。ジャンルは違えど、お互いがクリエーター職なので、いいアドバイスをもらったり、話を聞いてもらったりするだけで考えがまとまることがあるという利点もあります。
我が家は結婚10年が過ぎましたが、最初は「二度目の結婚、別れたくはないし頑張るけども、それでもダメなら別れることも選択肢のひとつ」と思っていました。「別れない」ことは最終目標ではなくて「お互いが心地よく過ごす」ことが優先だからです。
たくさん話しをして、お互いを理解してきて、最近は「ここまでやってきたことを、他の相手とできる気がしない」と思うようになりました。夫婦が共になにを築き上げるかはそれぞれだと思います。我が家は共同財産はもたず、家も買わないという選択をしています。でも、私達夫婦が話し合いを重ねた日々は、かけがえのない財産であるなと感じるようになりました。
とか言いつつ、老後の過ごし方がお互いの理想と違ったら別離することも全然あると思うんですが……! そうなったとしても、きっとそこに至るまではたくさん話し合いをするんだろうなと思います。
そんなわけで、ここのところ毎日散歩をしているせいでしょうか。今年のはじめの健康診断で「ヤバい」と言われていた体重も減ってきており、散歩の効果を感じています。毎日コツコツと積み重ねるのが大事なことというのは散歩も会話も同じだなと思いました。
コツコツとお互いへの理解と信頼関係を、この先も積み重ねて行きたいなと思っています。
新刊『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい! 』
(幻冬舎刊/1,100円)
12月7日発売。家事分担や育児にまつわる諸問題を話し合って解決してきた著者・水谷さるころ&事実婚パートナーのノダD。しかし子どもが大きくなって、しかもコロナ禍に突入したことで、夫・ノダDの「不機嫌&キレ問題」が再燃焼! 「これは家族だけでは解決できない! 」と決意して家族でカウンセリングに通い、改善していった実録コミックエッセイ。担当カウンセラー・山脇由貴子先生のコラムも収録。くわしくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。