「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第227回のテーマは「ドライブ中はトークで夫にサービスする妻」です。
家族でドライブをしていると、以前は「私にこんな日がくるなんて……! 」とやたら感動してしまうということがありました(連載75回)。
実家での家族旅行が、父親が車を運転して家族がどこかに連れて行ってもらうスタイルだったため、そういう状況になると「ちゃんとした大人になれた気がする」とやたらと感動してしまっていたのです。
あれから数年、家族旅行でパートナーに運転してもらうことも増えて段々と慣れてきました。なので最近はいちいち「私が車で家族旅行するなんて……! 」とか言うこともなくなりつつあります。
とはいえ、もちろん運転してくれるパートナーには感謝の気持ちがいつもあります。私は運転が苦手でペーパードライバー。パートナーは一度だけ私の運転する車に乗るという貴重な体験をしていますが、「決して二度とさるころの運転には乗りたくない」と言っていて……なので、私が運転することはないのです。ゆえに、運転してどこかに連れて行ってくれる人には感謝の念が耐えません。
運転できない代わりにできることはしよう! と、車を運転してもらっているときはパートナーに「サービス」することにしています。高速道路は同乗者も運転手も眠くなるポイントですよね。私はもともと乗り物で寝るのが得意ではないというのもあるのですが、高速道路に入ったら運転手が眠くならないよう、車内が楽しくなるように心がけています。
これは家族ドライブの原体験として、ほかの家族が寝てしまった車内で、運転している父親が「眠くならないようになにかお話してて」と私に頼んでいたという記憶があるからです。
私は末っ子で「親からなにか頼まれる」ということがあまりなく、珍しく父親に頼まれたことだったので嬉しくて「頑張ってなにか話そう! 」とずっと話をしていた記憶があります。何を話していたかは覚えていないのですが、おそらく学校で何があったとかそういう話をしていたような気がします。
当時車で寝られなかったのは、末っ子のため窓際のシートを姉に譲ってもらえず、常に真ん中にしか座らせてもらえなかったためですが……。姉たちは窓方向に寄っかかって寝てましたが、私は誰にもよりかかれず(重いので嫌がられる)、結局真ん中で右や左にかかる重力と戦っていました。なので寝られなかったんですよね。それゆえに、父親の話し相手になるという流れもありました。
ちなみに後部座席シートベルト義務化の前なので、後部座席の私はシートベルトはせず、運転席に向かって前のめりに座っていました。今思えば、事故にあった場合、前部座席の間にいる私はフロントガラスを頭から突き抜けて飛び出す危険なポジションでした。私のトーク力のおかげで父親が眠くならずに無事故。私も無事でよかったです。今は前の座席のパートナーとお話しするときは、もちろんシートベルト着用。後部座席から声を張って聞こえるように話をしています。
息子が起きているときは、基本的にドライブミュージックは息子の好みに合わせています。そうでないと息子が文句を言うから。そんなわけで、我が家のドライブミュージックは息子の好きな星野源さんがかかっていることが多いです。
そして息子が寝たらパートナーの好みの選曲にします。パートナーは80年代ポップスをかけるとテンションアップします。最近のドライブミュージックはもっぱらスマホをブルートゥースでカーステレオのスピーカーへ接続。サブスクでありとあらゆる曲をかけることができます。全然知らない曲でも「あれかけて」と言われてサブスクに入っていればかけることができるので、ドライブミュージックの選択肢は無限にあると言っても過言ではありません。
そんなわけで、最近は家族全員起きているときに「さるころDJのリクエストタイム」をやっています。最近はパートナーの娘や息子(息子の異母きょうだい)がドライブに参加することもあって、「みんなのリクエスト」を聞きながらドライブミュージックをかけたりすることも。
知ってる曲や知らない曲について話をしたり、「いいからこの曲を聞きなさい」とお互い聞かせあったり、結構楽しいです。めんどくさくなったら、スマホに選曲をおまかせすることもできるので便利ないい時代だな~と思いながらドライブをしています。
息子は私の幼少期と違い、曲を選ぶのも寝るのも優先されていてドライブ中は楽しそうですが、こういう体験を経ていつか「やってもらう」側から「やってあげる」側になってくれたらいいなと思っています。
『その下ごしらえ、ホントに必要? 段取り少なく美味しくできる、家庭料理の新常識レシピ』
(幻冬舎刊/1,650円)
水谷さるころのパートナー・ノダDこと野田真外が、女子栄養大学名誉教授・松本仲子氏に「本当はやらなくていいこと」を省いて美味しい料理を作るコツを教えてもらうレシピ本です。イラストとマンガは水谷さるころが担当。1月13日発売。くわしくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。