「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第224回のテーマは「SNSの使い方のすり合わせ」です。
連載165回でも書きましたが、我が家では夫婦間で「SNSの使い方」のルールがあります。
どうしても、男性であるパートナーのほうが警戒心が弱いのか、私からすると「そんなの公表するの怖いよ! 」と思うことをSNSに載せたりすることが多かったので、取り決めをしました。
我が家はお互いが自営業者なので、SNSは仕事半分です。なので、自由に情報発信ができるという点では大いに利用しているタイプです。でも、どこまでがプライバシーとして守ってほしいのかを夫婦で確認しないと揉めてしまいます。
私からパートナーにお願いしたのは、「窓から風景が写っている写真はNG」「近所の風景が写っている写真もNG」「外出先でのリアルタイム投稿禁止」です。その他、夫婦で共有しているのは「子どもの顔は不特定多数が見えるところには投稿しない」「パートナーの顔が出る写真は相手の許諾を得る」などです。
我が家は居住エリアは隠してはいないので、「最寄り駅」はOKです。最寄り駅がNGな人というのは、通勤通学で特定の駅を使っていると「駅で待ち伏せされる」などのケースが懸念されるからですが、我が家は駅を使って通勤をしていないので「まあいいや」くらいの感じです。
ただ「窓から見える風景」などは、家の特定に関わるのでNGです。家の中で構造的に特殊なところがあればそれもNG。建物の外壁もNGです。Googleのストリートビューなどでヒントになるようなことは書かないようにしています。
パートナーと私の意識の差について、男性と女性であるという差はあると思うのですが、それ以外にも違いがあります。
私は、パートナーに比べて「ネットストーカー気質」があるのです……! カジュアルにはテレビで観た気になるロケ地を背景のヒントから調べたりします。あとは、近所で「○○で✕✕なことがあったらしいよ」とちょっとした事件の話を聞けば、場所をネットで調べて特定したりします。自分が「これくらいのヒントがあれば、これくらいの情報が特定できる」とわかるので、パートナーに「こういうのはヒントになるから公表しないで! 」と言っている、というのもあります。
ちなみに私は「どれくらいのSNSの情報から、どこまでわかるかな」と、住所を知らない友達のSNS投稿の写真から一度「家特定チャレンジ」をやったことがあります。……これ、意外とわかるんですよね。
例えば、べランダからの風景の投稿や、近所の写真の投稿などを見て情報を組み合わせていけば、「だいたいこの辺のマンションの、何階」くらいまではわかります。後日、友達の住所を知ったところ大体合っていたので「前に住所特定チャレンジしたことあるよ」と伝えたら、「SNSやめようかなって思ってたんだ」とSNSごと削除されてしまったことがあります……。私だけのせいじゃなかったのですが、なんだか申し訳ない気持ちになりました。すみません……。
やっぱりネットでの特定とかって、気持ち悪いですよね……。とはいえ、一度くらいやってみると意識が高まるので私は誰にも迷惑をかけないように配慮しつつやってみてもいいと思います。パートナーにもおすすめしたのですが、こういうのは「気質」があるみたいで、パートナーは「やってみようとも思わない」とのことでした。
そんな私なので、「学校の行事にまつわる平日の休校日や、イベントをどの日だかわかるように投稿したら学校が特定されちゃうな」などと思うのです。ちなみに友達や知り合いが投稿しててもわざわざ調べて特定はしません……!
私は一応、「見られても困らない」ものを見せるというように意識はしていますが、やっぱり特定したり追求した情報を悪用する人が悪いと思っています。なので、何も意識せずSNS投稿をしている人を「やめたほうがいい」とは思いません。それに、本当に悪意のある人にあたってしまえば、自己発信のSNS投稿などは全く関係なく、加害されたり迷惑をかけられたりしてしまいます。なので「意識のあるなし」は実はあまり関係ないんじゃないかなと思っています。
私やパートナーは顔出ししているので、街中で声をかけられることはあります。それも別にマナーさえ守ってきちんと声をかけてくれれば全然問題なく、今までも嫌な思いはしたことがありません。なので、情報発信が悪いとは思っておらず、SNSは適切に使えば楽しくて便利なものです。
ただ、子どもは本人の意思で親のSNS利用をコントロールできないので、SNSで顔はなるべく出さないようにしています。本人が大きくなって、自分の意思でやりたいなと思ったら好きにやらせようとは思っています。
もちろん、子どもにスマホやSNSのアカウントをもたせる時にはしっかりとマナーやリスクを教えるつもりです。家族でSNSやネットの話をしているので、すでに色々意識はあるようで「僕の顔の写真は載せちゃダメだよ」などと本人も言っています。なるべく家族で色々な話を共有して、気軽になんでも話せるようにはしておきたいと思っています。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。