「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第218回のテーマは「子どもの習い事の親の関わり方」です。
子どもの習い事の悩み、たびたび書いていますがまだまだあります。
最近、家族全員で空手の稽古に行っていますが、最初の頃は自分から「僕もやる」と言ってくれて親も喜んで楽しくやっていたのですが……。最近は「やりたくない」「今日は空手の日か……」とかなりネガティブな反応をするようになってしましました。
ちなみに、覚えも悪くなくていい感じに上達しているのですが、「やっぱり空手は好みじゃなかったのかな」とか、何がダメなのか考えてみたりしました。が、とりあえず本人とじっくり話すのが一番。と聞いてみると……。
「お母さんがごちゃごちゃうるさいから嫌」だと!
私は自分が幼少期にピアノを習っていたとき、母親に無理やり「練習しろ」と言われてピアノがすごく苦手になってしまったことがあります。なので、ピアノに関しては「嫌いにならないように」と、絶対に「練習しなさい! 」とか言わないようにしていますし、「下手でも楽しければOK! 」という気持ちで接していたのです。
ですが……空手は20年やっていて、自分が今でも稽古をしています。自分ができるものになると、ついつい「もっとよくなる」「前に教えたのができてないよ」とめちゃくちゃ口出ししたくなっちゃうんですよね。ちなみに、うちの母はピアノが弾けたので「娘はみんなピアノが弾けるようにしてあげなければ」と思っていたみたいで、「どうして習わせているのにちゃんとやらないんだ」と思っていたのかも…?! と、今になってやっと思えるようになりました。
私は結局ピアノはたいして弾けるようにならなかったので、ピアノに関しては子どもの上達スピードが遅くても「まあ、いいか」って許せている。でもそれが、自分が20年続けていて弐段まで取得している空手になったとたん、「いやいや、もっとこうして」「それは間違ってるよ」と細かく言うようになってしまっていたのです。
しかも、他のみんなとは別メニューで息子に個人指導をしていました。もともと、私は初心者指導係をよくやっていたので、そのままの流れで息子の個別指導もしていました。でも、第215回「『ちゃんとして』じゃわからない」でも書いたように、自分の子ども相手だとついつい他人の大人相手よりもずっと厳しくしてしまっていたんですね……。
こちらとしては、大人と同じメニューだけではよくわからないだろうと思い、気を使って「もっと教えてあげるからね」とサービスしていたつもりだったのですが、「空手が嫌なんじゃなくて、お母さんが細かくてうるさいのが嫌なの」と言われてしまいました!
つまり、私がピアノが嫌になったのと同じ構図だったんですね。……いや、うちの母は手取り足取り教えてくれたりは全然しなくて、ただ「練習しろ! 」って言うだけでしたが。私は逆に、手の位置、足の位置、めちゃくちゃ細かく言い過ぎたのがよくなかったようです。
大人相手だと、私のやっていることはわりと「親切な細かい指導」なのですが、子どもには「そんなに一度に言われてもわからないよ! 」となってしまっていたんですね。
うちの空手の師範は教える経験値が高いので、「子どもは細かく言っても無理」と知っていたようで、「大雑把に覚えて、徐々に細かくしていけばいい」という方針でした。しかし私はついつい「せっかくやっているのに大雑把な動きをしてるなんて、もったいない」と細かくやってしまっていたのです。
最終的に、息子と話し合った結果、稽古中はなるべく何も言わない。師範からの指導だけ聞く。ということになりました。
子どもはあまり長い時間集中力が続かないので、大人の稽古に比べて短めに設定している支部が多いのですが、私は細かく教えるので、時間も長くかけていました。それをやめて「急いで上達しなくてもいい」と気持ちを切り替えました。
それからは、比較的空手に行くのを嫌がることもなくなり、きちんと上達もしているので「親の期待が大きすぎると冷静に行動できない」ということを痛感しました。
習い事をなるべく楽しんで続けてもらうためには、子どもをよく見て、こちらの努力や工夫が必要だな……と痛感しています。こういうことも親側の「練習」だと思って試行錯誤していきたいです。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。