「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第209回のテーマは「結婚10周年の記念はモノか思い出か」です。

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我々夫婦も、結婚10周年を迎えました!

ちなみに、事実婚の我が家。結婚披露宴をしたわけでもないし、法律婚は出産の時にしたものの出産後にはペーパー離婚。ちゃんとした結婚記念日はありませんでした。

しかし、子どもが産まれてからパートナーが「やっぱり結婚記念日はあったほうがいいし、ちゃんとお祝いしたほうがいい」と言うので、両家の親を呼んで顔合わせ会をした日を「結婚記念日」にしました。

その結婚記念日で10年を迎えたのですが、ふと「そういえば、私が高校生くらいのときにはスイート・テン・ダイヤモンドなんてものがあったな……」と思い出しました。事実婚で、お財布別の我が家は「夫が妻(だけ)に贈り物をする」みたいな風習がありません。

私の両親は、父親が片働きで母親は専業主婦でした。このパターンの場合は夫が妻に高級な貴金属を贈っても、最終的には「2人の財産」なんですよね。なので、ある意味不公平感はないしお金を別の形の財産に変えただけという行為だったのだと思います。

しかし、完全にお財布別どころか、我が家は事実婚。しかも、共有財産を持たないというルールで家庭を運営しています。ということは、「夫が妻に」というような一方的な贈り物が基本的には成り立たないのです。

何かプレゼントをもらったら、同じくらいの金額でプレゼントを贈りかえすというルール運用です。つまり「高級な貴金属がほしい」となると、同じだけの金額のものをこちらもプレゼントすることになる。

でもそれって、なんだか……必要あるかな? だって家庭の中では2人分の金額を動かすことになる。それに、私が貴金属がほしいとしても、パートナーはいらないし、それに見合うだけの金額のほしいものがない。だったら貴金属を買うなら自分で買えばいいのでは……? となりました。

私の親は「ジュエリー」をいくつか持っています。私はそれを見て「大人になったら持っているのかな」とぼんやり思っていたのですが……。全くジュエリーを持つ生活をしていません。でもジュエリーって、必要なのかなあと改めて考えてみました。

自分でアクセサリーとジュエリーの違いを調べ直してみました。私の中では「アクセサリー=安価な装身具」「ジュエリー=高級品」というようなイメージだったのですが、アクセサリーは装身具全般を指して、ジュエリーは金属がプラチナ、ゴールドなどが主流の宝石付きのものを指すことが多いようです。そして私のイメージでは、「ジュエリーは転売できるモノ」というイメージです。そもそもなぜ結婚指輪は高級品であるべきかというと、「いざという時に質入れできる(現金を作れる)」ので、女性の身を守るために身に着けさせる……というのを聞いたことがあります。

実は私は、初婚の結婚指輪を売りました。再婚時に買った結婚指輪をなくしてしまったので、泣く泣く買い直すことにしたのですが、初婚のときの結婚指輪を持っていても二度とつけることはないし……「これを売って足しにしよう! 」と売ることにしたのです。

その指輪はブランド物ではなくて、オーダーモノだったのですが「プラチナの値段」のみの買い取りになりました。ざっくり言うと買ったときの値段の1割。「10万円で買ったものが1万円」という感じです。

これを、いとみるか、安いとみるか……。その時に感じたのは、もっと昔ならいざしらず、身につけたものが1万円になるのは「いざという時」に役に立つのかな? ということでした。私は昔の、自分で稼ぐことが難しい女性ではなくて、自分でお金が用意できます。だから「いざという時のため」に、貴金属を身につける必要はないなと思ったのです。

なので、貴金属を私が買うとしたら「私がほしいかどうか」以外に理由はないんですよね。そこで、じっくりと「私はジュエリーがほしいのか」と考えたら、別にいらないなというのが答えでした。それこそ、もっとお金持ちになって「価値が下がらない資産がほしい」となったら買うのかもしれませんが、今のところそういう生活はしてないし……。というわけでやっぱり「ジュエリー」は買わないことにしました。

「私にはジュエリーはいらない」ということがわかったのですが、「パートナーから身につけるものを贈られたい」という気持ちがあるということにも気が付きました。なので、パートナーから、私のお気に入りのブランドの「アクセサリー」を買ってもらうことにしました。

「たまにはお返しなしのプレゼントがほしい」とお願いしたら、「いいよ」とのことだったので、結婚前のプロポーズ以来10年ぶりにお返しなしのプレゼントを買ってもらいました。これはとても嬉しかったです。この先も丁寧に「自分たちの生活、関係には何がいるのか」ということを考えながら、長く結婚生活を続けたいです。

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全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。