「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第2回となる今回のテーマは、「家族の連帯責任」について。
まず、納税はしましょう!
しかし、配偶者の納税に関しては妻(夫)が連帯して負担することはありません。でも、世の中的には「妻なら(夫なら)、相手のフォローはするべき」という圧がありますよね……。税金の滞納だけじゃなくて、借金の返済とかも。
これは「家族の責任」みたいなことだと思うのですが、私自身も初婚で離婚する前は、「家族の連帯責任! 」って考えているほうでした。そして、その「責任感」が強いせいで「相手が○○したらどうしよう」「そうしたら私が困る」と、どんどん先回りして相手に口うるさく言うようになってしまったのです(元夫は税金の滞納はしていませんでしたが、いろいろと不安に思うところはありました)。
でもそれは結局、「自分の不安」を相手にぶつけてるだけなんですよね。後になって振り返ったり、周りの話を聞いてみたりすると、意外とこの「まだ起こってないことを先回りして、不安になって怒りはじめる」みたいな夫婦ケンカが多いな……と気が付きました。今回は例として「納税滞納」というトラブルを出していますが、浮気の心配なども同じようなものですよね。
そこで私は、「勝手に自分と相手の責任の境界線を曖昧にして不安になる」ことをやめることにしました。「無責任な」と思う人もいるかもしれません。でも、「先回りして不安になる」のも「相手のことを信用してない」ということなんです。それに気が付いてから、私は「相手を信じよう」「相手をコントロールしようと思うのをやめよう」と決めました。
ちなみにこの、先のことを不安に思って「対処」しようとする傾向は、私の周りだと女性に多い気がします。そして男性は「まあ、なんとかなるよ」と、問題が起こってから対処すればいいと構えてるタイプが多く、その価値観のズレが夫婦ケンカのもとになりがちです。
相手の失敗や不手際をすべて自分が背負うおうとすると、結婚生活は極度にストレスがアップします。そしてケンカが増え、さらにお互いの信頼関係が損なわれていく……。そんなことになるなら、「相手の問題は相手が対処する」と割り切っちゃったほうがいい。問題がにっちもさっちも行かなくなったら、別に先回りの不安もなにも「対処できるかできないか」という現実と向かい合うしかないので。
結婚するとなぜか「夫婦は一心同体! 」と思い込んでしまい、自分が思う「不安のない状態」に相手をコントロールしたくなりがちです。我が家は事実婚ですが、パートナーと円滑な関係を築くために「私は私、あなたはあなた」と思うように心がけています。
我が夫の滞納については時期的な問題だったらしく、今は解決しています。とりあえず、今のところは「相手の問題は相手に任せる」で、ムダな争いを避けて生活できているので、このスタンスは我が家には合っているようです。
ちなみに……パートナーの納税・借金などは、パートナー個人のものであれば配偶者側が責任を負うことはありませんが、借金や負債の使い道が「生活費」などで、一緒に使っている場合は自分にも責任が発生します。「自分の責任」と「相手の責任」の線引きの意識は常に持っておくことをオススメします。
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。