「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第194回のテーマは「子どもに環境を整えてルールを作ってあげる」です。

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保育園児から小学生になるにあたり、色々と心配事もありましたが、とりあえず無事に1年が終わりました。去年、新1年生になるにあたり、最初にやっておいてよかったなと思ったことがあります。それは「最初のうちに、環境を整えて行動のルールを決める」ことです。

「保育園とは違って、これからはどんどん自分で自分のことをやるんだよ」と最初に言っておきました。本人も「小学生だ! 」と気合いが入るので、最初が肝心だと思います。

まず、家の中の改造をしました。ランドセルラックは玄関からなるべく近い場所に。そのランドセルラックの周辺だけで、上着などの片付けも含めて学校の準備全てが終わるように整えました。

とはいえまだ6歳。準備をしたところで、そんなに全てなんでもできるわけではありません。なので、もちろん親のサポートも必要です。「お母さんは最初だけ見てるね」と言って「あれやって」「これやった? 」と声掛けしていたのですが……声掛けには限界があります。

保育園でも、年長さんになるとルールが壁に貼ってあったりしたな、と思い出しました。同じようにちゃんとにしてあげたら、6歳児でもわかりやすいはずだと、学校が始まって毎日のルーチンがわかってきてから、タスクを書き出して壁に貼ることにしました。「やったらチェックする」タイプのタスク表もあるのですが、「チェック」そのものがタスクになってしまいます。とにかく行動は少なく、シンプルにしたい……。なので、チェックなしの表だけにしました。

タスクをやる時間を分散させると、やるのを忘れたり、声掛けする回数が増えたりするので、「帰宅したら今日使ったものを出し、明日の支度まですべて終わらせる」スタイルにしました。学校の用意を夜や朝に分散せず、全て「帰宅後」にまとめたのです。宿題も同じタイミングで終わらせます。

帰宅後に何もかも終わらせて、終わったら自由時間。というルーチンを「これが小学生の帰宅後の儀式だよ」ということにしました。儀式が終わらない限り、何も他のことはできないルールです。

これによっていちいち、「宿題やったの? 」とか言わずに済みますし、「明日の支度は? 」と夜に言わなくていい。そう、親も楽なのです。そして、早めにルール化することによって、子ども自身も「何をどうしたらいいか」を悩まなくて済むようになるのがいいなと思いました。

息子はルールやルーチンを守るのが好きなタイプなので、タスクをやる順番とタイミングを決めるのはかなり有効でした。しばらくすると、親が見ていなくても自分だけで全ての決められたタスクを行えるようになったので、私はそれをやってる間に仕事ができるという状態になりました。

この話を、発達障害児向けのペアレンツトレーニングを受けていているママ友にしたら、「それは環境調整っていうんですよ」と教えてもらいました。私は大人の目線で「こうやる」と言っても、子どもの能力的に限界があるから、わかりやすくしようと思って行動しているのですが、それは「環境調整」という行動だったようです。発達障害のあるなしに関わらず、「環境調整」をしてあげると、子どもが迷ったり困ったりすることが減るんですよね。子どもが困ることが減ると、親の困りごとも減ります。

ママ友には、タスク表を作ってあげました。ランドセルラックの位置も変えるなど工夫をしたところ、やっぱり子どもが自分自身で身支度ができるようになったようです。環境を調整してあげれば、誰でもスムーズに行動できるようになるのだな、と思いました。

ちなみに私自身はとても「困りごとの多い子ども」でした。きょうだいが4人もいて、母親のタスクはパンパン。できないことがあっても昭和スタイルの「やんなさい! 」と言われるだけの状態が多かったです。

どうしてできないのか、どうしたらできるのかよくわからないまま、部屋の片付けや整理整頓が全くできず、失くし物と忘れ物ばかりしている子どもでした。ただ、成長するにつれて、自分で「どうやったら困りごとが解消できるかな」と考えるようになり、部屋の片付けや忘れ物をしない方法を自分で編みだすようになりました。そういった経験があるので子どもが困っている状況に共感して、それを解消してあげようという気持ちになるのかもしれません。

何かできないことがあったときに、「どうしてできないの」じゃなくて「どうしたらできるようになるのかな」という考え方は、自分自身が困らないためにやってきたのですが、子どもに対しても有効だなと思いました。

あとは、子ども本人が自分で自分の環境を整えることができるようになってもらいたいし、「困っていること」を解決できる人になってもらいたいなと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。