「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第192回のテーマは「子どものデジタルデバイス抜き週間」です。
我が家はデジタルデバイスを「チケット制」にしています。1枚の使用時間が20分で、通常平日2枚、休日5枚を支給しています。これは基本的には「20分に一度、目を休める」という近視対策です。近視に気がつくちょっと前から、息子は家に帰ってきたら「iPad以外何もしない子」になっていたのも気になっていました。それもあって、他のタスクをやったらチケットがもらえるということにしました。
タブレットは素晴らしいですよね。私もスマホは大事だし好きです。音楽は聞けるし動画は見られるしゲームはできる。息子はSNSやメールはしませんが、基本引きこもりの在宅ワークの私は、ネットがなければ社会と繋がりがありません……! そんなわけで、我が家はデジタルデバイスは肯定派。親がどっぷりなのに、子どもに禁止はできないと思っています。
でも、子どもの判断力に任せるというのも、ただの放置。子どもとちゃんと関わりを持つためにも、チケット制というルールで運用しています。かといって、あんまり厳密な運用ではなく、「このゲームが終わるまで」など多少の時間オーバーはだいたいOKしています。厳しすぎると子どもも嫌だし、親も大変なので……。
そんな感じで緩めの運用をしていたら、最近はかなりユルユルになってしまっていました。そこで息子と話し合いをして、「しばらくiPad無しにしてみない? 」と提案してみると、「iPad無しでも生活できるよ! 」と言うので、iPad無し週間になりました。実はこういった「デジタルデバイス抜き週間」は以前もやったことがありますが、息子はそこまでの抵抗もせず「じゃあ無しでやってみよう」と意外とカジュアルにOKします。
息子は元々は、本やマンガを読んだり、工作したりするのも好きなのですが、今一番好きなのが「Minecraft」というゲームなのです。ゲームをやってから攻略動画を見るというサイクルを繰り返すとだいたい一日が終わっている……という感じ。勉強やワークやパズルも楽しくやるのですが、優先順位がマイクラに勝てません。でもいざそれがなくなれば、他にも楽しいことはあるから平気。というスタンスのようです。
しかし、いざ「今日からiPad無しか……」と考えると、本棚はぎゅうぎゅう。工作の本も道具も適当に片付けられていて、「こ、これは積極的に子どもがやりたくなる環境じゃない! 」と気が付きました。子どもがiPadなどのデジタルデバイスに夢中の間、実は親も楽しているんですよね……。
そんなわけで、慌てて本棚の整理をしました。本棚は子どもの成長に合わせて「面白い本」がどんどん変わっていくので、マメな整理整頓が必要です。絵本は買っても「もうこれは小さい子が読む本だから」と読まれなくなるので、お気に入りの本以外はリサイクルやお下がりに出しています。新しい本も買うし、読まなくなった赤ちゃん向けの本を取っておく余裕はありません。でも、そういう整理をついつい怠ってしまったりするんですよね。そして、本棚に二重に本を詰め込んでしまい、奥に入った本は二度と見られることはなくなります……。
今回はそれを改善するために、二重に本棚に入れても後ろの本の背表紙が見えるように底上げしてみたり、お気に入りの本がなるべく子どもの目に入るようにしたりと改善しました。そして、もう読まない本はまたお下がりへ。「紙の工作本」もちょっとだけ残っているものは切り取ってまとめるなどして、「まだやってないのがこれだけあるよ」と子どもが見てわかるように工夫し、本棚の衣替えをしました。
この作業、マメにするべきなのに「iPad無し週間」になるまで、ほったらかしていたんです。せっかく買った本も読まれないともったいないですよね。でも子どもからは「見えないものはないもの」になってしまいます。
そうして「子どもが見やすい」「取り出しやすい」状態になったら、早速学校から帰ってきた息子が本棚から迷路ブックを取り出して読み始めていました。元々お気に入りの本だったのに、新しい本に埋もれて見えなくなっていたんです。いろいろな体験をしてもらいたいと思うなら、子どもがそう思って行動しやすい環境を整えてあげないとダメだな……と反省しました。
暇を持て余して、親の本棚から読んだことのないマンガを読み始めたりもしました。そしてお気に入りの新しいマンガができました。家の中にある本棚にも息子にとっては新しい発見や出会いはあるんですよね。
iPadやYouTubeはいくらでも楽しいものを見せてくれるのですが、実は、本人が自分で選んでいるようで、多くの人が観ているという理由だけで選ばられたものを「観せられている」というケースもあります。なるべくたくさん、長い時間観るようにシステムとして誘導されているんですよね。
それらを際限なく観続けても、何の問題もなく育つ子もいるとは思います。でも、私はもっといろんな体験をしてもらいたいなと思っているし、それは親の役目ではないかとも思っています。ある程度の制限があると優先順位を考えるようになるので、できたら本当に好きなものを観てほしいなと思っています。
ちなみに「僕がiPadを使ってない間は、お母さんもスマホ見ないで一緒に遊んで」と言われてしまいました……。ごもっともです。たまにデジタルデバイス抜きをしてみると、親も子どもも発見があるなと思ったので、またやろうと思っています。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。