「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第190回のテーマは「お祝いしてもらうということ」です。
「パートナーがお祝いをちゃんとやってくれるかどうか」は既婚の友人の中でわりと話題になります。友人の中には、結婚前からパートナーがお祝いなどが好きで「ごちそう・花束・ケーキ・プレゼント」を完璧に毎年用意してくれるという人もいます。そういうのが好きな男性もいるんですよね。
逆に子どもの時はやるけど、夫婦はお互いに徐々にしなくなる人たちもいるようですが、我が家はなにせ「バツイチ再婚同士」。この辺がすごく大事であるということは、再婚前から確認しているので、お互いの誕生日は必ずお祝いをします。
問題は、どこまでお互いに望むことをしてくれるか。ということです。
我が家は子どもが絵や字をかけるようになってから「子どものメッセージカード問題」というのが発生しました。まず、子どもが3歳くらいのころ母の日に事件が起こりました。
父と子が散歩に行った後、母の日用のチョコレートが私の仕事デスクの上においてありました。「あら……! 珍しい~。パートナーが、子どもと一緒に母の日やってくれたの!? 」と思ったのです。そしてワクワクしながら見ると……。メッセージ欄は名前もなにもかも空欄。
「え?! なにこれ!? 」と思いパートナーに「これ何? 」と聞くと、「コンビニでタダでもらった。でも母の日用だからそこに置いといた」と言うのです。ええええ! いや、なんか、子どもに絵なりメッセージなり描かせるとか、そうでなければ、子どもから直接「お母さんありがとう」くらいやればいいのに。「もらってきた。タダだけど母の日だから」ってそのまま仕事デスクに無言で置いたの?! と私がびっくりしていると、「母の日をやってほしいならちゃんと言ってよ。うちはサプライズはしない家でしょ」言われました。
いや、やってくれとは言ってないけど! 母の日キャンペーンで子どもにチョコレートを配っている企業も、まさか無記名で手渡しもせずボサッとおいて置かれるケースは、想定してないと思うよ?! と言い合いになってしまいました。つい「やってくれたのかな」と期待してしまった分、実際のあまりの「どうでもいい扱い」にひどく傷ついてしまったんですね。
それ以降、基本的には「子どもからのメッセージカードはほしい」という共通見解があります。私は父の日やパートナーの誕生日に、子どもにメッセージカードを描いてもらうということを必ずやるのですが、パートナーの「失念率」はかなり高い。最終的にやるのは子どもなので、基本的には自分で本人に頼むことにしています。
去年の母の日は、息子が折り紙で折ったお花の中に「お母さんいつもありがとう」と書いてくれたものを、自分からくれたので、「ヤッター」と素直に大喜びしました。学童クラブで、母の日にみんなで作ろうということだったらしいです。パートナーは「いいな……息子が自分でやって……いいな」と言うので、父の日にカードがなかったら傷つくだろう。と思って気を回してしまい、カードの有無を確認した上で私が息子に「父の日カード書いてね」と書かせました。この辺の「気を回してしまう」能力の差が結局不平不満につながってしまうのですが!
去年のお誕生日は息子からのカードはありませんでした。どうしても「毎年なにかしらの、息子の手書きカードを残したい! 」と思い、ホワイトデーの日に無理やり「バレンタインのお返しにカード書いて」と息子にお願いをして書いてもらいました。
そして今年の誕生日。何もしなかったら今年ももらいそこねるな……と思い、自分から積極期に「書いて!! 」とお願いしました。息子は書く気はあるものの「ゲームしたらね」と後回し。「お願いだから書いてね」と私が念押ししているのを見て、やっとパートナーが「あ……オレがやろうか」と声をかけてくれましたが、最終的には私が「自分の名前書いて」とか「日付もお願い」とか細かいオーダーをしたカードが完成しました。いいのです……サプライズなんかいらないのです。ほしいものは己の努力で手に入れていきます。とはいえ、やっぱりやってもらえたら嬉しいという気持ちがなくなるわけではありません。
パートナーとの「お祝いへの関心度」が違うと、結構苦労します。友人のパートナーは自分が祝われることにあまり関心がないので、自分の誕生日も子どもや他の優先事項があると後回しにされてしまう。それがとても悲しいという話をしていました。私も友人も「言わなくてもやってくれる」タイプの人と結婚していない以上(そして、そういうタイプが好きなわけでもない)、我々はしてほしいことは相手に積極的に伝えていかねば、という話をしました。
我がパートナーは「自分もお祝いはしてもらいたいけど、当日じゃなくていい」人です。「プレゼント・ごちそう・ケーキはあればあったで」がお祝いの希望。私は「ごちそう・古墳ケーキ・花・息子のカード」が希望で、違いは「花と息子からのカード」なんですね。私は息子のカードの優先順位が高いので、パートナーへも忘れない。しかし、パートナーからは「息子からのカード」と「花」が抜けてしまう。“覚えている年”に「息子が選んだ花」をパートナーが買ってくれた経験があると、つい「今年もやってくれるかな」って期待しちゃうんですよね……。そして今年は残念ながら“抜けている年”でした。
結局花は、後日家族で買い物に行ったときに「息子が選んで、お父さんが買う」というスタイルで買ってもらいました。揉めるくらいなら、お互い「してもらいたいこと」をリスト化していこうかな……と思っています。数年やったら、いつかはリストがなくてもやってくれるようになるのかもしれません。そんな日がくるまでは、自己開示と話し合いでお互いの差を埋めて行きたいです。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。