「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第174回のテーマは「21世紀は子どものサポートが大変…」です。
親世代の昔の子育てと、自分たちの今の子育て、どっちが大変……? という話題になると、私は「昔は昔で大変だったけど、今は今で大変」だという主張をしてしまいます。
たしかに、昔に比べて家電は進化し、便利グッズも大量にある。紙おむつは性能がいいし、安価で質の高い服も増えた。「昔は大変だった」と言われても、自分が子どもの時にはすでに釜戸でご飯を炊く家はほぼなく、ガスも水道も電気もあったわけです。
祖父母が子どもの頃は家電どころか、ガス、水道、電気もあったかどうか怪しいわけで(場所と年代によりけりですが)、昔になればなるほど「生活」は大変だったということはたしかです。しかしそこまで遡っても比べにくいので、「自分が育った時代」と「自分が子育てしている時代」で比べたいと思うのですが、楽になったところと大変になったところがあるなあと思います。
「今」の方が大変になったと思うのは、子育てに求められるクオリティが上がっていると感じるところです。昔に比べて、親がしなければいけないサポートが格段にアップしていると感じています。それを一番感じるのは、宿題です。今は、少なくとも低学年の間は親が宿題を見るようになっています。我が家でも音読の宿題を親が聞いて、ハンコを押すということを必ず毎日やっています。
とはいえ実際、親が子どもの宿題を見るほうが絶対いいですよね。子どもが学校で学習している内容や、何ができて何ができないのかを把握できる。親と子のコミュニケーションも深まります。
自分自身、「やりなさい! 」とだけ言われて、実際には「どうやるのか」までサポートされず「どうしたら? 」と困り、勉強が苦手になりました。習い事のピアノも嫌いになった経験があります。なので、「やれ」と言うだけでサポートしない「のび太のママスタイル」は悪手だと思っています。
「勉強のできる子は、親がサポートしている」みたいなこともよく見かけます。「そっちのほうがいいから、多くの人がそうすることにした」ということだと思っていて、私も積極的に宿題を見ています。
そして宿題だけでなくて、習い事もサポートをしています。もうちょっと大きくなったら、習い事の時間は「手も目も離せる時間」になるのかもしれません。しかし、習っていた英会話はここ2年ずっとオンラインになってしまい、隣でずっと一緒に見ていないとダメになってしまいました(オンラインだと子どもの集中力が続かないので)。
そして、ピアノもまだ送り迎えをしています。そろそろ子どもだけで行ってもらおうかなと思いつつ、「交通事故は一人で行動し始める7歳に多い」という話を聞いて、「やっぱり送り迎えしよう」となりました。なによりも、自宅での練習も「やりなさい」だけではなく、できないならできない理由を一緒に考え、できたら褒めて励ます……。ピアノが楽しいとずっと思ってもらうために、親が頑張っています。
また、塾にはまだ通っていませんが、家庭学習ワークもやっています。結局塾に行ったとしても「親のサポート」が必要なので、だったら最初から家でやっても同じだと思い、毎月届くワークをやってもらっています。ワークについては、我が家は「デジタルデバイスチケット制」を導入しており、「ワークが終わったらチケットが1枚ゲットできる」などのルール運用をしているため、モチベーションは高めです。ですが、丸付けをして間違ってるところがあれば指導をして修正させたりと、親のやることは多いです。
「よりよい子育て」は、親の負担が増えるってことなんですよね……。子どもに対してよりよい子育てがしたいという気持ちがあればあるほど、親のタスクが増えていきます。食洗機にお皿を洗ってもらっていても、その時間はより「丁寧な子育て」に注ぎ込まれていくような気がしています。
そして、タスクが増えれば分業です。もうひとり大人が家にいるじゃないですか?! というわけで、パートナーに分担したいのですが……息子は「お母さん大好きっ子」です。なので、「あれして、これして、これはどうしたらいい? 」という息子に付き合っているうちに、宿題、習い事、家庭学習……サポートの割合が増えていきます。ピアノの送り迎えだけは1週ずつ交代なのですが、それ以外はだいたい私の担当になってしまいます。
これ、自分が「ついやっちゃう」というのも原因の一つなんですよね。人にタスクを頼むより、「わかっているほう」がやったほうが楽だったりするんですよね……。最近、息子とお父さんで「100マス計算」をするようになりました。1桁の計算を10×10で100個計算して、タイムを測っていくという計算トレーニング方法です。お父さんも息子も計算が得意です。そして私は大の苦手。最初に一緒にやりましたが、1桁の足し算しかないのに間違えている箇所がありました……。苦手なものはやらないので、これはパートナーにおまかせすることになりました。お父さんは計算が早いので、息子はお父さんに追いつこうと頑張ってやっていて楽しそうです。
やっぱりこういうのは適材適所。つまり、パートナーにタスクを任せたいなら、パートナーにしかできないものを増やせばいいんだと思いました。だんだん学習サポートが難しくなってきたら、パートナーにもっと任せようと思っています。子どものサポートも永遠に続くわけではないので、夫婦でお互いに不満が出ない程度に協力してやっていきたいと思っています。
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。