「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第170回のテーマは「お酒を飲む飲まない夫婦のバランス」です。

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私はお酒があまり飲めません。少しくらいは飲めますが、基本的にはほぼ飲みません。それに対して、パートナーはお酒が大好きです。海外旅行の行き先を決めるときでも、お酒が飲めない国は除外するくらいお酒が大事です。

第163回「休日の昼寝問題」で、休日にパートナーが子どもの世話をしないで昼寝してしまうという問題も、基本はお酒が入っている時です。「なんなの? 俺は酒飲んで昼寝する権利もないの? 」と言われましたが、「権利はあれど配慮はいる」という話をしました。

しかし子どもが大きくなるにつれ、子どもと一緒の時間帯に寝られてもそこまで大変じゃなくなってきたので、最近はパートナーが家でお酒を飲んでもあまり問題にならなくなってきました。

なのですが……! だんだんと「家で飲んでもいい量」が増えていたらしく、先日は夜に話したことを翌朝になったらほとんど覚えていなかったということが。私も困りますが、子どもがびっくりしてしまいました。

前の晩も流れていたニュース映像を、翌朝も見て全く同じことを言っているので、私と息子は「え? 」となってしまいました。私は「もしかして、酔っ払って覚えてないのでは」ということがわかりますが、子どもは「お父さん、昨日も全く同じこと言ってたのに?! 」と不安と驚きが入り混じったような顔をしていました。そして、さらに次の週末の約束をしたことも覚えていませんでした。子どもにとってはかなり怖かったようです。

私は両親共にお酒を飲まない家庭で育ち、そして自分自身もアルコールに弱い体質です。しかし、飲み会に参加するのは平気なタイプ……というか、むしろ楽しい。ウーロン茶でも飲み会に楽しく参加できます。

酔っ払いの中にシラフの人間がいることになるので、酔っ払った人の介助をすることも多かったです。私は人の世話をするのがあまり苦にならないので、酔って吐いている友達を連れて帰ったり、タクシーに乗せたりもしました。支払いの割り勘計算、精算もシラフなのでよくやりました。

そんなわけで、結婚前にパートナーが飲みすぎてもそこまで気にしていませんでしたが、子どもが生まれてからは「飲みすぎるのはやめて」とお願いしていました。

なのですが、最近は子どもの成長と共に、私もあまり言わなくなったのもあり、徐々に家で飲むお酒の量が増えていたようです。コロナ禍で長く外飲みができないというのも、原因のひとつだとは思います。

ちなみにパートナーは、酔っ払ってもそんなに態度や様子が変わりません。受け答えも普段と同じで、「ちょっと眠そうだな」くらいです。なので、いつもどおりの会話をして、いつもどおりの時間に寝たのに、翌朝になると記憶がないので、やっぱりすごく驚きました。

酔っ払って困ることには、「態度が変わる」とか「外で寝ちゃう」とか「物をなくす」などいろいろありますが、実は「記憶がない」は記憶がある側からしても、結構困ることなんですよね。

見るからに「こりゃ覚えてないだろうな」という飲み会なら諦めもつくのですが、穏やかな飲み会でいろいろ話した後に、「何も覚えてない」と言われると「私の時間はなんだったんだ……」と結構ショックを受けます。

昔、何回か参加した飲み会で、同じメンバーが毎回ずっと同じ話をする……というのを体験したことがあります。シラフは私だけなので、前回の内容を覚えているのは私だけなのです。同じ話題になって、他のメンバーがほとんど同じ反応をするという展開は、自分だけ異世界に紛れ込んでしまったような恐怖感がありました。「自分だけ記憶がある」というのは、結構怖いことなのです。

ちなみに子どもができる前、パートナーと飲み会へ行く時は、パートナーは注意力も記憶力も曖昧になってしまうのを自覚しているので「どの参加者が、何を話していたか」を記憶しておくのは私の役割でした。「外部記憶装置」と呼ばれていました。

私は普段飲みませんが、「美味しそうだな」と思うお酒があったときは少し飲みます。なのですが……現在、息子は私がお酒を飲むことを嫌がります。父親が酔っ払うことは気にしないのですが、少し顔が赤くなるなども含めて「母親が酔っ払う」ということがとても不安になるようです。

子どもからすると、お父さんが酔っ払ってもお母さんがいつもどおりなら安心ということなのかもしれません。そういう意味では、我が家は私がお酒を飲めなくてよかったのかなとも思います。

とはいえ、さすがに父親が「話したことを覚えてない」のは子どももショックだし、子どもに影響があると思うので、家でそこまで飲むのはなしということになりました。本人も「飲みすぎた」と反省し、「家ではこれくらいしか飲まない」と量を決めました。

家飲みが多くなったコロナ禍ですが、程よく節度を守って楽しんでいけたらいいなと思います。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。