「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第17回のテーマは「ストレスの無い生活を目指しています」です。
夫婦でも親子でも、一緒に暮らすのってなんでも「円滑円満」とはいきませんよね。
我が家はお互いの離婚経験から、かなり「フェアであること」を意識している夫婦です。なので、最初は「なんでもちゃんとフェアにシェアしよう」と細かく分担していました。
片方が家事をすると、片方の縄張り意識が強くなって家事の分担がうまくいかなくなりがちです。なので、ちゃんと相手の担当する家事にも意識がいくように、手伝うことにしていました。
夫は炊事担当、私はそれ以外のハウスキープ担当です。相手が担当してるものに関しては、相手のルールを尊重するという約束。でも、担当してる=こだわりがあるということになりがちで、手伝ってもらったとしても相手のやることに不満が生じました。
まったく同じ感覚の人が暮らすわけじゃないので、「これでいいでしょ」「これがベスト」だと思う感覚が細かく違うんですよね………。そこの差違をなるべく埋めていっていたのですが、結局「こだわりのある担当家事は、最初から最後まで担当してる方がやったほうがいい」となり、ルール変更されました。
とはいえ、相手がいない場合は2人分の家事をやることもあるので、まったくわからない……というのも非効率。なので、ざっくり把握しておいて、相手の家事を担当したときに差違が生じたらそれは許容範囲として受け入れる。ということにしています。
こうやって書いてみると、まぁ、当たり前じゃん? って感じのことなんですけど、いろいろ試行錯誤してここに至りました。お互いの感覚というのは、実際にやってみないとわからないんですよね。
家庭内で家事の負担が誰かに偏るのを避けたいとしても、分担するということ自体に「お互いの認識をすり合わせる」というコストがかかります。このコストを払うか払わないかが、スムーズな家事の分担の分かれ目なんだなぁと思いました。
しかし、すり合わせのコストって実はかなりかかります。すり合わせしないで手伝ったりやらせたりすると、大体揉めます。
これ、私が以前100%家事を担う結婚生活をしていたときは見えなかったんですけど、家事を担当していない方にも「家事の基準はこれでOK」っていうラインがあるんですよね……。家事をやってる方からは見えないし、家事をやってない方のラインは大体ひどくレベルが低いものなんですが。でもそのラインを尊重しないと、話し合いはできないんです。
これは私が相手に「炊事」というタスクを明け渡して、相手のこだわりの方が自分より水準が高くなって初めて気が付いたことです。「これで良いじゃん」と思うレベルが相手の方が高い場合でも、レベルが高いからって「正しい」というわけじゃない。自分の「これで良いじゃん」も尊重してほしい……。
なるほど。だから話し合いはうまくいかなかったんだな~と、今になって反省しました。
自分と相手の「ここまではやりたい」のレベルに違いがある場合は、お互いがお互いの感覚を尊重して「お願い」したり「まぁいいか」と許容したりしないといけないと思うのですが、片方がやってる場合はそちらのルールが優先されて、相手のルーズな感覚は「間違っている」ということにされがちなんですよね。私も「私が正しい、相手が間違ってる」と思っていました。
今はお互いの担当家事を作ってやっと、家事に正解・不正解があるわけじゃなくて、自分の家事の感覚に「ここまでやりたい」っていうレベルがあるだけなんだ、と気が付きました。今はお互いにそういうものがあるので「お互い様だな」と許容することもたくさんあります。
家事のルールに正解があるわけじゃないので、とにかく一緒に暮らしてる相手と自分がストレスがなければいい。そのためには何が必要なのか、日々確認しあっています。
……それでもちょっとした小競り合いはなかなか減らないのだから、本当にすり合わせって、大変だな~と思っています。
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。