「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第161回のテーマは「嫌だと伝えるのは大事でも嫌な気持ちは受け取らない」です。

これまでのお話はこちら

我が家は子どもとのコミュニケーションは、基本的には「共感」と「寄り添い」でやってきました。

しかし成長するにつれて、それだけでは済まなくなってきました。未就学児童であったときは、「自分が今これがしたい」ということと「今やらなければならない」ことの折り合いをつけるのは、能力的にまだ難しいこともあったと思います。しかし小学生ともなれば折り合いをつける必要が出てきます。

我が家では、元々の性格や素質はあれどコミュニケーションは訓練が必要だと思っているので、「自分の気持ちと、やらなくてはいけないことの折り合いの付け方」を最近は練習させています。

子どもが大きな声を出したり、わがままを言ったから、じゃあいきなりこちらも大きな声を出す……というようなことはしません。念の為、息子の様子を確認します。なぜならメンタルの不安定さは体調が原因だったりするからです。

わがままだと思っていたら後から「熱が出た」など不調の兆しだったときに、何も確認せずに叱りつけて子どもに強制させてしまうと、子どものメンタルに影響する……というのはもちろんなのですが、なにより自分が凹みます。なので、まずは子どもとよく話して調子を確認します。

だいたいの場合、揉めがちなのはです。体調不良とかではなく、昼間晴れてる太陽の下でたくさん遊んで疲れているようなときが多いです。成長してきたとはいえまだ一年生。自分が「疲れている」ということを自覚できないことも多いです。

この状態から、「本来やるべきタスク(入浴、歯磨きなど)」をやらせるのが大変なんですよね……。よく話を聞いて、「疲れてるんだな」とか「昼間にできなくて、どうしても夜やりたいんだな」とか「親がリビングで好きなテレビ見てたから不満なんだな」とかがわかれば、きちんと話し合い、解決方法を話します。それでも、息子が自分の要求を通そうとする時は、叱ります。

我が家の場合、21時以降はテレビやデジタルデバイスは禁止です。親が「お風呂に入って」と言ったら入る約束です。なのですが、もうすぐお風呂という時間に「●●をやりたい」と言い出すことが多いんですよね。

我が家で一番問題になるのは、「日々のローテーションのルールを破る」ことではなくて、要求を通すために大きな声を出したり、怒ったり叫んだりと「ネガティブなコミュニケーション」をすることです。

我慢はしなくていいというルールですが、自制はしなくてはなりません。「こいうことがしたい」「こういうことが嫌だ」と言うのは大事な一方で、それを通すために「怒ってコミュニケーション」するのはご法度。それをすると、本人も大きな声で叱られます。

いつまでもかわいいままの子どもでいてほしいのですが、成長と共にコミュニケーション能力も上がり、要求する行為もレベルアップします。その状態で、自制ができないとただの「暴君」になっちゃうんですよね。それが通用すると、息子に学習させるわけにはいかない。

小学生ともなれば、脳の発達と共に理性的な行動をすることは可能です。脳が未発達の乳幼児に「叱りつけて言うことを聞かせる」ことは虐待につながりかねませんが、6~7歳以降は「言うべきことを言う」「叱るときはきちんと叱る」ことがより必要になってくるんですね。

小さいときは子どもの「嫌な気持ち」に寄り添って、その気持ちを受け取ってあげれば解決することも多いです。でも成長と共に、自分の嫌な気持ちに自分で折り合いをつける必要があります。子どもはどんどん社会に出ていくので、親が子どもの「嫌な気持ち」の全てを引き受けるなんてことはできない。

なので、自分でできるようになるためには、家庭においてももう親は「嫌な気持ちを受け取らない」と毅然とした態度を見せなくてはならないんですよね。書籍の情報や先輩ママから聞いてはいましたが、「共感と寄り添い」だけでは、子育てはできないんだなと実感しています。

そんなわけで、最近は私もよく息子を叱っています。その時「自分が気分が悪いから怒鳴っている」のか「必要だと思ったから叱っているのか」ということをよく考えてから叱るようにしています。あと、長い時間叱っても子どもの集中力が続かず話が聞けないのと、「叱られた」ということしか覚えてないので、叱るのは「短く、1つのことだけ」と決めています。

なぜなら「叱られた」ことよりも、「なぜ叱られたか」のほうが大事だからです。……と、こちらは気をつけていますが本人がまだどこまで理解できてるか、実際のところはわかりません。でも「一回叱ったら理解できる」なんてことは大人でもできないことはあるので、何度も繰り返すんだろうなあと思っています。

そんなわけで、最近はお父さんよりも私のほうが叱ることが増えてきました。片方が叱っている場合、もう片方の親は一緒になって責めないようにしているので、お父さんがフォロー役になることも増えています。

なので「お父さんよりお母さんのほうがこわい」と言われるようになってきてしまいました……! か、悲しい。でも、これも息子のためと思って頑張っています。

新刊『骨髄ドナーやりました!』

(少年画報社刊/1,045円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ

著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。