「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第16回のテーマは「ちょっとした言葉遣いについて」です。
一緒に暮らしてると、些細なことでも結構気になることありませんか?
うちのパートナーは疲れるとわりと大きめの声で、独り言を言うタイプです。まずそれがビックリします。
うちは2人とも在宅仕事で、となりの仕事場から大きな声の独り言が聞こえると怖いんです……。そして言ってることがネガティブなワードだと不安になります。
「やれやれ」って言われると、その後に「だから○○はダメなんだ」みたいな、否定の言葉が入りそう。誰か困った人がいて、その人に向けてるっぽい。もしかして、私? みたいな感じで……。それがモヤっとした不安感になってしまいます。
そして徐々に「なんかもっと違う感じにしてほしいな」と思うようになりました。
とはいえ、疲れてるとか言うとスッキリするとか、理由があってやっているのだろうから、「やめて」って言うのはなんだか相手を抑圧するみたいでイヤだなぁと。なので、「私が気にならないワードに変えてもらう」ということにしました。
不安になるようなことが連想されず、さらに「ちょっとおもしろい語感」にしたらいいのでは? ということで、「どっこいどっこいって言うのはどうだろう? 」と提案してみました。
「その口癖聞いてると、不安になるからやめてくれない? 」っていうアプローチより、「その口癖、聞いてると不安になるからどっこいどっこいに変えてほしい」って頼んだほうが敵意を感じない気がするんですよね。
この手の細かい要望を話すのはギスギスするので、なるべくくだらなくておもしろい、みたいな方向に話を持って行くようにしています。
まず話を切り出すときに、「どっこいどっこいって言ってよ」っていう要望からしてシリアスな空気になりにくいし、うっかり「やれやれ」って言っても「どっこいどっこいでしょ! 」っていうツッコミがくだらない。指摘してもやな感じになりくいと思ったんですよね。
話し合いした後に彼が「ふ〜やれやれ」と言い出したときに「どっこいどっこいでしょ」ってツッコミしたら「ああ、どっこいどっこい! 」と何度か言い換えてくれました。「本当にどっこいって言ってる(笑)」みたいな感じになって雰囲気も悪くならないし、言い換えてくれたところに自分への気遣いを感じられました。
人によっては「そこまで夫にサービスしてあげなきゃいけないの? 」って言う人もいるのですが、私はギスギスしないほうがいいと思ってやります。私は元々サービス精神過剰なタイプなのですが、夫婦間はつい甘えてしまってコミュニケーションが雑になりがち。そこから徐々にまたお互いに不満が溜まっていくので、意識してサービスするくらいのほうがいいと思っています。
ちなみに「やれやれ」っていう言葉がイヤなんじゃなくて、それが誰に向いてるのかわからなくて不安なのがイヤだっただけなので、心から「やれやれ」って思うときは言われても大丈夫です。
息子はこだわりが強いタイプなので、さっきああ言ったけど今はこう、とか振り回されがちです。なので夫婦そろって心の底から「やれやれ」と言ってしまうことがあります。それは「やれやれ」以外の何者でもないので大丈夫。
こんな細かいモヤモヤはいちいち解消しなくても、夫婦は続けていけるとは思うのですが、この手の問題を放置すると後から別の問題で揉めてるときに「だっていつもあなたは○○じゃない!! 」と持ち出して引火させそうなので、マメに問題を解消するようにしています。
自分の中の可燃物質をなるべく減らして、ストレスのない生活をするためには、細かい夫婦関係のメンテナンスが必要だな〜と思っています。
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。