「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第149回のテーマは「傾聴スキルを磨けばお互い幸せになれる」です。
息子はお母さん好きボーイです。生まれてからなるべく、夫婦で一緒に育児と家事をして、偏りをなくそうと思って行動してきたのですが、物心ついたときからずっと「お母さんが好き」です。
私としては、できれば息子には父母、どちらも同じくらい好きでいてほしいのですが……。「子どもはお母さんが好き」とか「男の子はお母さん好きだから」とか、そういうことはあるにせよ、「だからしょうがない」とは考えたくはないなと思っています。
そもちろん相性もあります。息子はわりと私と趣味が合うようで、私が好きな音楽や趣味に興味を示します。しかし、息子がお父さんへ冷たい態度をとったり、お母さんにべったりだったりするのは、「お母さんと相性がいいから」だけではないな、と思うところも多々あります。
私から見ていると、パートナーは自分が話を聞きたいときだけ、息子に「今日あったことを話して」という態度だったんですよね。息子がなにか聞いてもらいたいことがあったり、してもらいたいことがあったりして、「お父さん」と声をかけても、なにか別のことに意識が向いていると聞かない……。本当に聞こえていないときもあれば、「今○○してるんだから邪魔しないで! 」と言うこともあります。そして、マンガでも描いたように自分が興味のない話をされると、聞かないのです。
そういえば、昔付き合い始めのころ、私も「その話って結局何が言いたいの」とか言われたことがありました。もともと、結論のわかりにくい話などにイライラするタイプです。傾聴スキルがあまりありませんでした。
大人からすれば、たしかにYouTuberが動画で話していたゲームの攻略法にはあまり興味はないかもしれません。私も正直言えば興味ないです。でも私は「へー、そういうのが面白いって思う年ごろなんだなあ」とか、「6才児の笑いのツボって、そこなんだ」などと知ることができるのが面白かったりします。もちろん、かなり適当に聞いててることも多く、ゲームキャラクターの名前とか何度聞いても覚えていません。
とはいえ、「お母さんは話を聞いてくれる」という信頼関係ができているんだろうなと思います。というわけで、パートナーが「オレには話してくれない」などと愚痴めいて言うのを聞いて、「いやいや……それは自分の行動を改善したら変わるんじゃないですか? 」という話をしました。話してほしいなら、傾聴スキルを磨く必要がある!
パートナーからすると、「息子が話を聞いてもらいたいときに聞いてない」という自覚はほとんどありませんでした。傾聴スキルの前に、パートナーは基本的に「自分が気を向けたものしか認識しない」タイプなのです。
こっちからすると、「いつもドアのしまっている家」という感じで、ノックをしても声をかけてもドアは開かないので、誰も遊びに来ない。なのに家主は「ドアを開けても誰も遊びに来ない! 」と文句を言っているみたいだよ、と説明しました。
でも、そういえば実際に我が家の構造もそういう感じなんですよね。私たちは夫婦揃って在住仕事で、それぞれの仕事部屋があります。そして、私の部屋はリビングから見通せるようになっていて、ドアがいつも開いています。パートナーの仕事部屋は冷房や暖房を使う季節は基本ドアが閉まっていて、開いていてもリビングからは部屋の中が見えない構造になっています。
今の部屋を選ぶとき、私は夜子どもが寝たあとに仕事をする場合でも子どもの声が聞こえるように……と考え、家具を配置しました。やっぱり、もともと「子どもの声を聞く」「子どもの様子を知る」という意識が違うんだな……と気が付きました。
だからといって、子どもに対して「お父さんにももっと自分の話をして」と言ってもしょうがありません。「この人は自分の話を聞いてくれる人なんだ」と息子に思われないと話はしてくれない。そんなわけで、パートナーは最近、意識改革をしています。
そして父と子2人だけの時間も作るようにしています。まだ小学校への送り迎えを少しだけしているのですが(登下校の途中まで)、お父さんが送迎に行くことが多いです。そして最近は登下校中に、息子から学校での話をしてくれることも増えたようです。
夫婦の会話では、長年の話し合いにより、パートナーは私が最初に「これは愚痴なんだけど」とか「これは相談なんだけど」と言えば、こちらの希望する答えを言おうとしてくれるようになっています。
それはこちらが「こいういうときはこうしてほしい」と言ってきたからですが、子どもはそんなこと自分からはっきり言えません。なので、大人側が子どもが自分のことを話しやすい環境を作ってあげないといけない。相手が話しやすい状態を作るところから含めて、傾聴スキルなんだと思います。
私も今は息子がいろいろと話してくれていますが、そのうち変わるかもしれません。「お母さん大好き」の状態に甘んじることなく、子どもの年齢に合わせて、子どもとの信頼関係を築いていかないとな……と改めて思いました。
新刊『骨髄ドナーやりました!』
(少年画報社刊/1,045円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。