「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第131回のテーマは「かわいい妻はパートナーが作る! 」です。
第128回「パートナーが撮る『私』が強すぎる件について」でも書きましたが、私は気を抜いてると「強そう」で「怖そう」に写真に写っています。これは私としては結構ショックなんです……。しかし、パートナーからすると「それは正しい姿が映っている」というのです。
第40回「ケンカの仕方も夫婦それぞれ」の回でも書いたのですが、我がパートナーは、私がパートナーの言動で困ったり傷ついたりしたときに「悲しかったの」などと穏便に伝えると、さらに状況が悪化するタイプなのです……! 「なよなよされると、ムカつく」んですって。
「ねえ、あのね、この前……」といったトーンで話を始めても、パートナーの心には全然響かないんです。「おい、おまえ! 」から始めた方がいいのです。というわけで、気が付けばその手の穏便なコミュニケーションをどんどんすっ飛ばして、最初から「アレがどれくらいイヤだったか」をストレートに伝えることになりました。つまり、「怖くて強そうな私」というのはパートナーにとって最適化された私なわけです! 「あれ、オレって悪いことしたのかな」とか「確かに言ってることは正しいな」ということを最短コースでわかってもらうために、そうして最適化された私が、パートナーいわく山賊の頭領みたいとのこと……。
そもそもパートナーは、「私のどこが好きか」という問いに「空手が強いところ」と答えるようなタイプです。「強い妻に頭が上がらない、か弱いメガネのボクちゃん」みたいな自己イメージなんですよ……。ですが本当のパートナーはかなりの戦闘民族タイプです。私からすると「怖くて強い妻」を望んでいるのはパートナーなのに、「前はもっとかわいかった」とか「こわい」とか言うんですよね。ムカつきます。
トライアンドエラーを日々繰り返し、問題を解決し、日々穏やかに暮らすことを目指している我が家ですが、2020年も事件は多々勃発しました。そのたびに「おい! おまえいいかげんにしろ!! 」と、だいたい私が説教をぶちかまし……一朝一夕には物事は解決しないとわかりつつも、いいかげん、私もイヤになってきているので、そろそろ私を「山賊の頭領」にしないでほしいというのが今年の私の願いです。
というわけで、パートナーのあり方というのは、パートナー次第なところもあるわけです。私はパートナーに「ネガティブな要望の出し方をしないでほしい」とか「子どもを子どもとして見くびらずフェアに扱ってほしい」とか「イライラを溜め込まないで状況をつねにシェアしてほしい」とか日々要望を出し、話し合いを重ねています。
ちなみに私は、パートナーが問題があることをしたときには怒りますし説教もしますが、いいと思ったことも常に伝えるようにしています。前回の第130回「隣にいてくれるだけで心強いときもある」のように、困った時に気持ちをわかってくれて嬉しいとか、夫婦ケンカしたあとも「話し合いで解決できる相手でよかった」とか伝えるようにしています。
やってほしいことも、やってもらったら嬉しいこともどんどん伝えているので、私が喜べばパートナーにとっては「成功体験」になり、言わなくてもできることが増えています。このような積み重ねで、実際にパートナーのコミュニケーションの形はどんどん変化しているんですよね。今のパートナーは、私と一緒にいるために最適化されたパートナーなのです。
ですから、私を「かわいい妻」にできるかどうかもパートナー次第。私がかわいくなるように日々の声かけをしていただきたい。という話をしました。
これが、まあわりと嘘でも冗談でもないのかもしれないなと思うのです。なぜなら、思い出したようにパートナーに「今日もかわいいよ」などと言われると、最初は「そうだそうだ、それでいいぞ」なとど言ってたのが、だんだん「本当? 嬉しい、ありがとう」などとこちらの受け答えも変わってくるからです。
あと、実際に言われると私は嬉しいです。山賊の頭領だと言われるよりは「40代でもかわいいよ」と言われたほうがいいです。パートナーから「昔はもっとかわいかったのに……」とか言われて、かわいくなるかというのは、結構難しくないですか? その場合、「おまえも大概だぞ」とか言い返したくなるだけです。「今日の服装いいね」とか「髪型いいね」と言われたほうが、「じゃあもうちょっとがんばろうかな」と思えると思います。
コレを読んでいる男性で、もしも「昔はもっとかわいかったのにな」などと女性パートナーに思っていたり、うっかり口に出してしまった方がいらっしゃいましたら、すぐにでも「かわいいよ」と言いましょう。かわいいパートナーになるかどうかは、自分の心がけ次第です!! 「かわいい」が難しいなら「今日の服いいね」とかでもいいと思います。
こういうことは信頼関係がない相手に言うとセクハラですが、信頼関係を最も構築したい相手に対してはちゃんと口で言うほうがいいと思います。かわいい妻になるかどうかは、パートナー次第だと思います!
さて2021年、私は山賊みを抑え、かわいい40代女性になれるでしょうか……。穏やかで優しいほがらか家族を目指して頑張ります!
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著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。