「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第103回のテーマは「合理的だと感じることすら人によって違う」です。
前回から引き続き、家事分担の話題です。そういえば我が家は先日8年目の結婚記念日を祝いました。事実婚ですが「結婚記念日を祝ってるところを息子に見せたい」とパートナーが言うので最近創設しました(笑) 8年……話し合いぶつかり合い、家庭内を快適に過ごすために日々努力してきたわけですが……。
まだあるのかよ! 家事の齟齬!!!!!
っていう感じです……。この手の些細なんだけど、じわじわ不満になるやつが抜いても抜いても生えてくる雑草のように出てくるのです。おおらかで何も気にしない夫婦だったらこんなことにはならないのでしょうか……。「我々は徳が積めてないばかりに、神はどこまで試練を与えるのか」くらいの気持ちになります。
パートナーはキレやすいタイプでしたが、徹底した話し合いにより、キレなくなったと公言しています。が……些細なこと(と私からは見える)で怒るのはそう簡単になくなりません。
我が家は「炊事はパートナー」「それ以外のハウスキープは私」という分担なんですが、処理を早めにしないといけないゴミは炊事から一番出るので、ゴミの管理もパートナーが担っています。
先日は私の部屋のゴミ箱にいつもよりもたくさんゴミが入っていた、ということで文句を言われました。私からすると「なんで!?」という感じですが、本人からすると「日々のタスクを侵害している」と感じるらしいのです。
私は「ああ、今日はゴミが多いなあ」とそのまま受け取って自分のタスクを遂行するタイプです。なので「そう感じるのやめればいいじゃん」と思ってしまうのですが、それはそれで彼の感覚を侵害しており自分の都合のいいように「変われ」と言うことになってしまいます。それはそれで我が家では「やってはいけない」ことになっています。
本人がそう感じるなら、そういった感じる性質はそう簡単に変わらないので、自分が共感できないとしてもお互いの落としどころを探すしかないのです。
「それはおまえがおかしいから変われ」というのは、人はわりと簡単に思ってしまいがちです。夫婦などの親しい関係になるとものすごく簡単に相手に言ってしまう。しかし、私はこれをやられるのが非常に苦手です。家事などの共通のタスクは「私が正しい」「おまえが間違っている」となるとひたすら平行線になり家庭内戦争の火種です。
共同生活においてお互いが話し合ってルールを決めるときに「正しさ」を競い合うのは本当に悪手です。何度も自分にも言い聞かせてますが、「自分とは違うことを感じる相手と一緒に暮らす」のは、相手を自分と同じことを感じるように変えることではないのです。
なので、一番いい解決方法は「問題が起こらないように設定を変える」ことです。
今回のケースでは「いつもは少ないゴミ箱の中に大量にゴミがあった。それでスムーズにゴミだしができない」というのが問題です。私からすると「え? なんで? ゴミが多いなら2袋で出せばいいじゃん」以外の発想がないのですが、「スムーズに合理的に1袋に収まるようにゴミ回収をしているのを阻害されたくない」というのがパートナーの主張のようでした。
「『ゴミが多いんだから、2袋で出せばいいじゃん』というのは、日々のタスクをしてない側の勝手な主張である」と。ゴミ袋1枚減るくらい……ダメ??と思うのですが、どうもそういう問題ではないようでした。
結局、私の部屋のゴミは私がゴミを捨てたいときに捨てることにしました。ゴミ袋も自分で自分のゴミ箱に合うサイズのものを買って、自分のペースで変えるということになりました。
でもこれは別にケンカをして、「もうオメーにはたのまねーよ!」みたいな感じではないのです。感情が原因でそういう結果になってしまうのは夫婦ともに「合理的でない」と思うし、タスクに禍根を残してはいけません。あくまでも両者が快適に過ごせるようにルールを変更しなくては、話し合いの意味がないからです。
というわけで、パートナーが私の部屋のゴミは管理しなくていいけど、ゴミ出しはゴミの日の朝までに玄関におけば一緒にゴミを出してくれるということになりました。わざわざ、忙しい朝に子どもをほって夫婦2人でゴミ出しに行く必要はないですよね。
こうしたおかげで、私がいつもと違うようなパターンで大きなゴミが出たときは「大きなゴミが出たので、この日にゴミ捨てをお願いするね」とか、部屋に置けないようなゴミが出たら「ここに置かせて」とか情報を開示することになりました。「8年間、どうやって揉めずにパートナーにゴミ出しを任せていたんだろう?」と不思議な気持ちにもなるのですが、状況やタイミング次第で問題があれば解決するしかないんだな……と思いました。
ああ……ゴミくらいで揉めない、もっと徳の高いおだやかな夫婦に早くなりたいです。
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/税込み1,080円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ