「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第10回のテーマは「他のパパと比べないで」です。

  • 「他のパパよりやってる」はNGです

「家事育児はシェアする」というのが我が家の方針です。というわけで、子どもと一緒に行動するときは夫婦そろっていることが多いです。

これに関しては、夫婦によっては「バラバラに行動してそれぞれの時間を確保したい」という人もいると思うのですが、うちは共働きの保育園利用家庭なので「週末くらいはみんなで一緒にいたい」という考えで、家族行動が多いのです。

行き先は電車に乗っておでかけしたり、近所の公園に行ったりとさまざまなのですが、いつも一緒にいるから夫婦がフェアかと言われると、わりと微妙なのです。

いや、もちろん1人でずっと子どもを見てるよりは楽なんですけど、どうしても「育児の主体」に偏りが出ちゃうんですよね。「育児担当者」と「サポート」という感じになってしまいます。もちろん、育児担当は母親である私で、サポートは夫。

子どもの公園に付き合うのは、正直ものすごく楽しいとは思わないです。楽しそうに遊ぶ子どもを見るのは楽しくなくはないのですが、ものすごく楽しいわけではないと私は思っています。でも子どもはまだ幼児なので、心配で常に見ています。で、ふと夫を見ると100%スマホを見ています。

まぁ確かに、夫婦そろって子どもを凝視している必要もないのですが、これが電車の中とか、家の中といった色々な場面でも「お母さんが子どもの面倒みてるからいいや~」と、気が付くと夫はスマホを取り出して見ているわけなんですよね。そこにどうしてもモヤモヤしたものを感じてしまいます。

「代わって」とか声をかければ子どもを見てくれるからまぁいいかな、と思いつつ「お父さんっていつもスマホ見てるよね……」と指摘すると、「他の何にもしない、一緒にいないお父さんよりいいじゃん? 」と言われてしまうのは「おいおい」と思ってしまいます。

普段は、育児参加しない、家庭を優先しない男性に対して「もっとやればいいのに(オレはやってる)」と批判的なのに、家庭内で立場が悪くなると「家庭参加しない父親」を持ってきて「それよりやってるじゃん」と言うのは、ちょっとずるいんじゃないかな……と。我が家にその「何もしない男性」はいないわけだし。

ちなみにこの論法、以前「頑張ってるのに家庭で評価されてない」と愚痴る既婚男性からも聞いたことがありました。そのときまだ私は出産しておらず、「オレは世の中の男性の中ではかなり家事も育児も参加しているのに、妻から全然評価されてない」と言っていたのを聞いて「そうなんだー」と思っていました……が、今だと「なんで世の中の別の男と比べちゃうんだろう? 」と思います。

「妻より家事育児をやっているのに評価されない」なら「そんなのヒドイなー、かわいそう!」と思うのですが、妻よりやってないなら文句の一つくらい言われても仕方ないのでは?! と思ってしまいます。

うちでは「世の中に家庭を顧みず、家事育児をまったくしない男性がいるのは知っている。だがしかし、我が家のシェアについて指摘されたときにそれを持ち出すのは、めちゃくちゃダサイ」という話をしたので、夫はこの言い訳を言わなくなりました。

家事については「ここは自分の担当」と意識を分けやすいので、分担で揉めることはほぼないのですが、育児について「親としてのかかわり」をうまく分けるのは難しいです。とくにうちは一人っ子で、さらに子どもが母親大好きなので、気が付くとどんどん「育児担当者は母親」になってしまいます……。

最近、夫の「公園でスマホ見てるだけおじさん」状態を打開するために「子どもを見ながら、夫婦で会話しよう」と提案してみました。夫婦間のコミュニケーションも図れるし、いいのでは? と思ったのですが、夫婦の会話が盛り上がると子どもがのけ者にされてると感じるらしく、邪魔しにくる……ということが判明しました。

家族全員が満足できる解決方法はまだ見つかっていません。

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。