FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は、ファイナンシャルプランナーの池尻美由紀さんが「夫婦共働きなのに貯金ができず、子どもの大学費用確保と繰り上げ返済ができるか不安」というあかねさんの悩みに対し、アドバイスします。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

相談者 あかねさん(仮名)
女性/会社員/45歳

家族構成

夫(自営業/44歳)、子ども1人(高校1年生/16歳)

◆お悩み

(1)子どもは現在、高校1年生です。理系私立大学の進学を希望しています。大学受験にもかなりの費用がかかると聞いています。大学受験まであと2年しかありません。教育費の準備をどうすればよいか教えてください。

(2)マイホームを購入するまでは、目標を立ててしっかり貯金をしていたのですが、購入後は右から左に支出してしまい、全く貯金が出来ていません。子どもにお金がかかると思い、35年ローンにしました。月々の返済額は5万円です。夫が70歳の時に完済予定なのですが、できれば年金をもらう前には繰上返済をして完済したいと考えています。

◆あかねさんの家計収支(月額)

収入

夫(手取り) 30万円
あかねさん(手取り) 20万円

支出

住宅ローン5万円、住宅諸費用4万円、食費9万円、水道光熱費2.5万円、通信費2万円、教育費6万円、小遣い6.5万円、保険料3万円、車ローン2万円、ガソリン代・車検代2万円、趣味5万円、雑費3万円。

貯蓄

普通預金100万円、投資信託が50万円。

◆FPからのアドバイス

アドバイス1: 教育資金の目標を立てて無理せず積立を

大学受験、大学費用についてみていきたいと思います。

まず、大学受験ですが、私立大学の平均受験料は3万5,000円、共通テスト(3科目以上)の費用は1万8,000円かかります。また、遠方受験の場合は交通費、宿泊費、食費がかかりますし、保護者が付き添う場合は更に費用が必要となってきます。

受験する学校の数によっても変わりますが、受験費用は平均で約30万円かかります。余裕をみて50万円ほど用意しておくとよいでしょう。

次に大学費用ですが、理系私立大学の入学金は平均26万円、授業料は平均129万円必要です。 現在、教育費として72万円準備できていますので差額の83万円を用意しましょう。次の年からは129万円と72万円の差額の57万円を用意することになります。5年間で330万円準備したいところです。

毎年66万円上乗せで教育費を準備するには、家計の見直しが必然となってきます。ご主人の趣味(自転車)の費用として月4万円がかかっているとのこと、この支出を削り、お小遣いを1万円アップして、その範囲内で賄ってもらいましょう。もしくは、自動車と自転車の費用バランスを見直すのもよいでしょう。

また、テイクアウトやお惣菜を利用することが多いようです。週末に買いだめや作り置きをすることで食費を9万円から8万円まで減らせるといいですね。お子さんも高校生ですので、料理を手伝ってもらうのもいいでしょう。

最後に携帯電話のキャリア・プランを見直して通信費を5,000円削減できれば、月に5.5万円・年間66万円の教育資金を積み立てることができます。

アドバイス2: 繰上返済は教育資金積立後でも十分間に合います

家計の見直しをしました。教育資金の準備中は難しいですが、見直し後の家計管理を続けていけば、お子さんが大学を卒業してご主人が59歳の時に、貯蓄が2,000万円を超える予定です。この時に残債の900万円を繰上返済して完済するとよいでしょう。

その後はこれまで住宅ローンに支払っていた分を貯蓄に回すことができ、65歳の年金受給の時には2,500万円以上の貯蓄ができていると想定されます。

ライフイベントの支出額によっては完済年が延長されることもあるかもしれませんが、年金をもらう前までの完済は十分可能です。

アドバイス3: 更なるスキルアップで収入アップ!!

あかねさんは不動産会社にお勤めされていますね。子どもさんも大きくなられたことですし、更なるスキルアップのために、宅地建物取引士の資格を取得されてはいかがでしょうか。

資格を取得することで、収入アップも見込めます。また、会社を退職された場合でも老後資金作りに役に立つ可能性があります。是非ご検討ください。

◆相談者からの感想

FPさんに相談するのが初めての経験で、どうなるのか不安でしたが、はっきりと目的が見えてきて安心に変わりました。具体的な数字をみて明確になりましたので、将来に向けて資金作りを頑張りたいと思います。ありがとうございました。