教育費や老後資金のために貯蓄をふやしたいのですが、キャッシュレス決済の便利さからつい支出が増えてしまったというパート女性(40歳)からの相談です。今回は、AFP資格を持つ女性のお金の専門家・矢野舞美さんがアドバイスします。
◆相談者さんのプロフィール
相談者
ゆきさん(仮名/女性/40歳/パート)
家族構成
夫/会社員/45歳
子ども2人(12歳、8歳)
◆お悩み
コンビニやスーパーでの買い物は、キャッシュレス決済が便利で頻繁に使っています。毎月の支払い請求書を見て、使いすぎていることにハッとさせられました。毎月請求後の残ったお金でやりくりをしているのですが、思うように貯金が増えません。今のままでは教育費も老後も心配です。貯蓄をふやしたいのですが、どうすれば良いでしょうか。
◆ゆきさんの家計収支
収入
手取り(夫): 36万円
手取り(ゆきさん): 9万円
児童手当: 2万円
合計: 47万円
支出
支出合計:49.3万円
現在の貯蓄額
普通預金: 300万円
定期預金(毎月1万円): 300万円
合計: 600万円
・支出が49.3万円、毎月の収入より多い
・家電の買い換えで32万円の支出あり
・年間ボーナスは手取りで60万円
家計の収支
キャッシュレスの支払いは食費・日用品費、その他が多くを占めている。請求額を見て愕然とするも、内訳は確認していない。
ボーナスの使い道
ボーナスの60万円は基本的に貯蓄に回しているが、家電の購入や赤字家計に補てんしている。
加入保険の内訳
・夫の生命保険 3,000円
・夫婦の医療保険 9,000円
・学資保険(18歳満期/200万円)×2人分 月々2万円
お子さんの進路
高校は公立を希望、高校卒業後は未定。
◆FPからのアドバイス
お子さんが県外の大学へ進学した場合、教育費や残された家族の生活費が心配ですね。さらに、ボーナスが減ってしまうリスクも考慮する必要があります。進路選択や生活費も安心できるよう教育費の計画を立てましょう。
また、キャッシュレス化が進み現金を持ち歩かなくなると、金銭感覚がなくなりつい使いすぎてしまいます。あとから請求がきてやりくりをしていては、どんどん赤字の一途をたどってしまいます。
家計を改善しお金の使い方を見直せば、教育費や老後資金のための貯蓄もできるはずです。これからどのようにすれば良いか考えてみましょう。
アドバイス1:上限額を決めて使いすぎ防止
後払い式のキャッシュレス決済を利用していますね。商品を購入した日よりあとに口座から引き落とされるため、いくら使ったのかを忘れてしまいます。
2020年の総務省「家計調査」によると、2人以上の勤労者世帯の「食料、家具・家事用品支出」は1カ月平均約9.3万円 です。
ゆきさんの家計では、「食費・日用品費」の支出が全国平均と比べて多いようです。
キャッシュレス決済で使いすぎを防止のために、先払いのチャージ機能を利用してあらかじめ使用金額の上限を決めておきましょう。キャッシュレス決済利用後は、購入履歴を確認できます。ムダな浪費がないか振り返ればお金の使い方も見直せます。
アドバイス2:先取り貯金で確実に増やす
定期でさらに毎月プラス1万円を積み立てていきましょう。お子さんの児童手当は中学3年生までです。児童手当は教育資金にあてましょう。
例えば、お子さんが私立の大学へ進学した場合を想定していきます。文部科学省の調査結果による教育費にかかる平均額で計算すると2人分の教育費は1,529万円です。
長子の中3~大学4年生までにかかる教育費は684万円
次子の小2~大学4年生までにかかる教育費は845万円
定期積立で年間12万円が増えていきますが、それでも教育費は足りません。先取り貯金で毎月2万円積み立てれば、10年間で240万円貯蓄額が増えます。これにボーナスの一部を教育資金にあてると準備ができます。
ただし、この期間に車の免許取得や成人式、学習で使用するパソコンの購入など、思わぬ出費もでてきます。このような費用も計画に入れておきましょう。
アドバイス3:老後資金は副業で収入を増やし対策を
教育資金は貯蓄をふやすことで準備ができそうですね。しかし、現状のままでは老後資金が心配です。65歳以上の夫婦の無職世帯での1カ月あたりの支出は約25万円です。老後のゆとりある生活を送るために、副業で収入を増やされても良いでしょう。今は自宅にいながら副業で収入を増やせる新しい職種も生まれています。在宅でできる仕事であれば、家事や子育て、パートとの両立も可能です。収入を増やす一つの選択肢として考えてみてくださいね。
◆相談者からの感想
教育費について漠然としていたのですが、今回しっかり計算をしていただき大変良かったと思っています。これからは計画的に教育資金を貯めていきたいです。また、私が稼ぐことで家計にプラスになるなら頑張ってみようと思いました。親身になってアドバイスいただきありがとうございました。