このインタビューでは、人気の整理収納コンサルタント 本多さおりさんに聞いた、「収納」「家事」に関することをまるっと紹介中。後編は、本多さん流モノ選びのルールやお気に入りの掃除・収納グッズについてです。
モノ選びのルール
--モノ選びのこだわりを教えて下さい!
本多さん「家にはモノが少ないと思われがちなんですけど、モノを買うのは好きなんです。特にツール類、格好いい、無骨なモノに惹かれます。ですので、業務用品は特にグッと来てしまいます(笑)」
--業務用品(笑)
本多さん「あとは無印良品です(笑)。余計な色をつけたりせず、素材の色をそのまま使ったりしているところがいいんですよ。もともとキツイ色が好きではないですし、狭い家に色が氾濫していると落ち着かない。見た目も良くないですよね。そう考えると、自然素材やアルミ・ステンレスなどを自然と選ぶようになったんです」
編集部注:本多さん宅の収納用品は7割が無印良品で、『もっと知りたい無印良品の収納』(KADOKAWAメディアファクトリー/2014年9月/1,296円+税)という本も出すほどの「MUJIラー」なのです。
--買わないようにしているモノはありますか?
本多さん「プラスチックはあまり買わないですね。よくあるプラスチック製の洗濯バサミのように、すぐ劣化して割れたり、変な色がついていることが多いので…。道具類だとアルミやステンレス素材のものを選ぶことが多いです。タフだし、好きだから毎日目にしてもテンションが上がるんです。例えば布団を干す時に使うハサミ。ステンレス製で最初は硬くて開いて布団を挟むのに一苦労したんですけど、今では愛用品です。丈夫で壊れないし、風が吹いても絶対飛ばないから(笑)。ただし、お弁当箱や保存容器など、プラスチックならではの軽さを求めたい時はそちらを選びます。やはりモノ選びで大切なのは、希望の用途にぴったりフィットするかの見極めだと思います」
おすすめの収納グッズ
--これは一押し! という収納グッズはありますか?
本多さん「無印良品の『ステンレスひっかけるワイヤークリップ』です。収納用品とは少し違いますけど、これは万能ですね。我が家ではチューブの歯磨き粉や洗顔料、メラミンスポンジを吊るして使っています。スポンジは洗面ボウルの中を掃除して、使った後は挟んでひっかけておきます」
--ステンレスなので水まわりでも使えるんですね
本多さん「はい。キッチンでは、ピンチで吊り戸棚のふち部分を挟んで、フックを下向きにして使っています。どちらの向きでも使えるのか、このアイテムのすごいところ。S字フックと違ってずれないところも重要です。布巾をS字フックにかけていると、片手で取る時にフックごと取れてしまうんです。S字フックがずれてイライラするけど、吊るして乾かしたい。じゃあどうすればいいかと考えた結果、この使い方になりました」
おすすめの掃除グッズ
--一押しのお掃除グッズを教えて下さい!
本多さん「マキタの『充電式クリーナ』(正式名称:7.2V充電式クリーナ CL070DS/バッテリ・充電器付)です。これはもう5年ぐらい使っているんですけど、全然壊れないんです。1万円くらいで1番ランクが低いものですが、もともと業務用なので十分パワーがあります。気づいた時にホコリやゴミを吸えるハンディータイプはこんなに楽なのかということを実感したアイテムですね」
--そんなに違いますか?
本多さん「ゴミを見つけてから、納戸まで掃除機を取りに行って、コンセントを伸ばして挿して、本体を引きずりながら掃除するのって億劫なんですよね。でもマキタは気軽すぎる(笑)。ほうきのように、掛けてあるのをぱっと取って、そのままスイッチを押しながら動かすだけなので、『瞬間的』に掃除ができるんです。これがなかったら、常にキレイに保つのは無理ですね」
--そこまで!?
本多さん「私、本当に面倒くさがりなんです(笑)。だから、普通の掃除機だと多分やらないと思います。部屋がキレイに保てるのは、マキタのお陰。掃除をしやすい部屋づくりの重要なアイテムです」
--「いかに楽に出来るか」が部屋をキレイに保つコツなんですね
本多さん「我が家では雑巾もやめました。洗って干してというのが面倒なので、古くなったタオルなどで作ったウエスを使い倒して、そのまま捨てるようにしています。だいぶ楽になりましたね。モノの配置1つとっても、掃除機をすぐ取り出せる場所に置いておくのと、離れた納戸に仕舞っておくのでは、掃除への取っ掛かり易さがぜんぜん違います。掃除グッズ収納のコツは、とにかく取り出しやすくすること。アルコールスプレーなどもすぐつかめるように棚の上に出しっぱなしにしていますし、掃除用品は、適材適所に吊るしてあります。そう考えると、掃除道具は収納していないですね(笑)」
本多さん流「収納論」
--本多さんにとっての収納とは?
本多さん「何かがしやすくなる、楽に片付けられるためのもの。『収納がうまく出来ている=家事がしやすい』ということなんです。未来の自分が少しでも楽できることがモチベーションとなりますし、今までもその切り口でやってきました。ですから、『家事がしやすい部屋づくり』も、家事のノウハウ本ではなく、家事を楽にする収納や環境の工夫をまとめたものなんです」
--収納と家事のしやすさは密接につながっているんですね
本多さん「みんな家事を楽にしたいと考えていますよね。そのためには収納を変える。ただし、収納は人によって違うので、正解がないんです。それを自分で模索していくのが楽しみでもあります。『家事がしやすい部屋づくり』は、皆の試行錯誤を事例として紹介しています。家事が楽になる収納に挑戦するきっかけとして使ってほしいですね」
前中後に渡ってお送りした本多さんのインタビュー。今日から実践したいアイディアも盛りだくさんでした。収納が苦手な人も、「収納は家事を楽にするための手段であり、未来の自分が楽になるための行動」だと考えると少し気が楽になるかもしれません。まずは、分類のルールを作るところから始めてみてはいかがでしょうか。
本多さおり
「暮らしを楽しむための整理収納術」で人気の整理収納コンサルタント。2010年より開始したブログ「片付けたくなる部屋づくり」では、コンサルタント実例の他、著者の住まいである2Kの団地部屋での収納テクニックを披露している。5冊目となる著書『家事がしやすい部屋づくり』(マイナビ/2015年1月/1,250円+税)では、「家事が楽になる」という視点に基づいた収納事例を紹介している。