食材やスイーツの宝庫・北海道。札幌在住のライターチーム「TAWAII」が毎回、知っていたら道産子以上の「ツウ」になれるかもしれないお土産をご紹介します。
いつ食べたのかは分からないけど、どこかで食べたことがある。そして、鮮烈な印象はないけれど、なんとなく「おいしかった」という記憶がある「しおA字フライビスケット」。
本コラムのラストを飾るのは、多くの北海道民が一度は食べたことがある(と思える)、ロングセラーのレトロ菓子です。
シンプルなビスケットのおいしさを再発見
「しおA字フライビスケット」の製造元は、「坂ビスケット」の愛称で親しまれる坂栄養食品。前身は明治時代に北海道士別市で創業した澱粉工場で、1955(昭和30)年に本社と工場を札幌に移し、その年に「しおA字フライビスケット」を開発しました。
数十年ぶりに食べてみると、程よい甘さとほのかな塩味がマッチして、やっぱり美味。シンプルなビスケットのおいしさを楽しんでいたら、思わず止まらなくなりました。おやつとしてはもちろん、ビールなどお酒のおつまみにも合うと思います!
アルファベットを並べてみると……
「しおA字フライビスケット」は、アルファベットをかたどったお菓子。だから「A字」なんですかね? では、袋の中にアルファベット26文字があるのかどうか、2袋開けて検証してみました。
並べてみると「F・I・J・K・L・P・T・V・Y」がなく、数字もあるけど「1・3・6・7・9」がなく、なぜか「&」がある。アルファベットがそろわない理由は、単純に形の崩れやすい文字は製造していないからだとか。そして「&」は「アンド」ではないという説も。それが何かは、社員の方にも謎のようです。
ビスケット一筋、レトロな味が愛されている
坂ビスケットの商品は、「しおA字フライビスケット」のほかにもレトロな味わいぞろい。本社工場に併設された売店には、地元の人が懐かしい味を求めて訪れます。坂栄養食品は、全国ビスケット協会の会員。ビスケット一筋、誰にも愛されるおいしさを作り続けています。
「しおA字フライビスケット」などの商品は、本社工場売店(札幌市西区二十四軒3条7丁目3-22)ほか、道内各地のスーパーなどで販売。
ディープなレトロスペースも見逃せない!
坂栄養食品の工場には、もう一つ見どころが併設されています。「レトロスペース坂会館」。取締役開発部長で、館長の坂一敬さんが運営する1994年に開館した私設博物館です。
ここに納められているのは、一見ガラクタに思える昭和の「失われてきたモノたち」。坂さんが若かりし頃、全国を行脚して集めた、かつて市井に埋もれていた品々が所狭しと展示されています。
中にはエログロと思えるような展示もありますが、それは弾圧された人、虐げられた人などに向けられた眼差しによる表現。坂さんの哲学が詰まったコレクションは、「札幌国際芸術祭2017」でも展示されました。
北海道民が愛するレトロなお菓子とともに、圧巻のレトロワールドを探索してみてはいかがですか?