おしなべてソウルフードというのはオシャレ感の低いB級グルメが多いものです。今回ご紹介するのは、突き抜けたB級テイストゆえに道産子に愛され続ける「ホンコンやきそば」。
製造・販売しているエスビー食品さん自ら「B級グルメの決定版」と銘打っているほど、B級テイストハンパない袋入り即席麺です。
北海道で愛されて55年
エスビー食品オンラインショップの説明によると、ホンコンやきそばが発売されたのは1964年。最初は全国で販売されていたものの販売エリアが縮小されていき、現在は北海道のほか宮城県と大分県の一部地域のみで販売されているとのこと。
道内のスーパーではお得な5個入りパックも売られているほどメジャーな商品なのに、なぜ他の地域に根付かなかったのか不思議です。
パッケージデザインにもこだわりが
ホンコンやきそばのネーミングの由来は「香港は様々な中華料理を味わえる都市。その中華料理の調理法を習い、豚のだしとコシのある麺の食感にこだわりました」とのこと。改めてパッケージをじっくり見てみると、中華を意識したデザインが随所に施されています。
頬を染めて微笑むおじさんは「中華コック長」と書かれた帽子でしっかり自己主張し、フライパンの中で麺をチラ見せするという中国4,000年の技を発揮。
袋の綴じ目に並ぶ模様はラーメンどんぶりで見かける雷文(四角いグルグル)かと思いきや「SB」だったんですね。やるぅー!
「煮るやきそば」という不条理のおいしさ
ま、とりあえず作ってみましょう。
フライパンにカップ1杯の水を入れて沸騰させます。袋の中は味付き麺とふりかけの小袋入り。
麺をドボン。
「あれ? 今やきそば作ってるんだよね? 煮て……いる……?」
不安がよぎりますよね。でも大丈夫。気を強く持って、しばらくしたら麺をひっくり返して、箸でフリフリしてください。だんだん麺がほぐれていきますよ。
水気がなくなったら皿に盛り、「香りと彩りのふりかけ」をパラパラ。
仕上げにふりかけたアオサとゴマの風味、スパイシーなソースの香りが食欲をそそります。モサッ+モチッとした麺のちょっとチープな味わいがなんとも懐かしい。袋の裏には「野菜、肉、貝類、えび、かに等をバターか油で軽く炒めてそえますと、一層おいしく召し上がれます」と書かれている。
でもね、セレブなエビカニ一族に乱入されたホンコン氏の気持ちを考えてやってください。B級にはB級なりの生き方というものがあるのです。
B級グルメは目玉焼きと相性良し
筆者オススメの相棒は、トロトロ半熟仕上げの目玉焼き。気取らないタマちゃんがトロリとしなだれかかり、ホンコン氏もまんざらではない様子。ソース味の麺に卵が絡んだまろやかな味わいに、ちょっぴりぜいたくな気分になります。
お湯を沸かすだけでOKのホンコンやきそばは小学生でも簡単に作れちゃう。共働き家庭で育った筆者も夏休みのお昼などによく作っていました。周囲でも「食べ盛りの高校時代、オヤツに自分で作っていた」「道外の大学に進学し、いつも実家からホンコンやきそばを送ってもらっていた」などという話もよく聞きます。
さらに札幌にはホンコンやきそばがメニューにある居酒屋もあり、酒のつまみや深夜の〆として安定の人気を誇っています。子どもから大人まで、道産子の暮らしにしっかりと絡みついているホンコンやきそば。希望小売価格95円(税別)という破格の安さで、話題作りのバラマキ土産にオススメです!
ホンコンやきそばは、札幌市内・道内のスーパーやコンビニエンスストア、公式オンラインショップで購入できます。