食材やスイーツの宝庫・北海道。札幌在住のライターチーム「TAWAII」が毎回、知っていたら道産子以上の「ツウ」になれるかもしれないお土産をご紹介します。
今やスイーツ王国として知られる北海道。「北海道へ行ったら絶対買わなくちゃ!」というブランド、銘菓が数々ありますよね。そんな中で、全国区人気のスイーツたちを押さえて道民が愛してやまないお菓子の名品があります。「ノースマン」—地元民の心の奥底を笑顔にする、北海道の"ソウルスイーツ"なのです。
実はみんな大好き北海道民のアイドルスイーツ?
会社などで仕事をしていると、ときに誰かのお土産らしき菓子折りが置かれていて、仕事を一休みしてみんなで囲むことがある。職場が札幌の場合、頂きもののお土産は「道外もの」が多いものだが、ごくまれに「THE 北海道土産」というべきド定番ものに巡り合うことがある。
言ってしまえば、石屋製菓の「白い恋人」、六花亭の「マルセイバターサンド」、ロイズの「生チョコレート」……といった面々ですね。で、そんな北海道を代表するスタースイーツを女子社員などと一緒に食べる。すると「○○○○っておいしいね〜」「忘れてたけどやっぱりおいしいんだね〜」なんて会話になる。
そして、その味わいをしみじみ楽しんでいると、誰かが「でもさ、なんと言ってもおいしいのはノースマンじゃない?」と言い出し、「あーそうそうノースマン!」「ノースマンうまいよね〜」という風に一堂盛り上がる。
さっきまで話題の中心だったスタースイーツの影は薄くなり、その場にはない「ノースマン」が主役に躍り出る。このような場面を、僕は何度か経験してきました。
北海道のソウルスイーツは派手さはないけど実力あり
「ノースマン」は、1921(大正10)年創業の北海道の老舗菓子メーカー「千秋庵」の代表的銘菓で、1974(昭和49)年の生まれ。幾層にも折り重ねたパイ生地でこしあんを包み焼き上げたお菓子です。
で、その味はというと、パイといってもサクサクではなく、しっとりやわらか。甘さ控えめのあんことパイ生地のバターの風味が何とも旨い。見た目はスタイリッシュでもなく、インパクトがあるわけでもなく、どちらかというと素朴なお菓子。派手さはないけど、道民の心の奥底をわしづかみする実力を秘めているのです。
僕は日本の最北端・稚内市の出身なのでノースマンを日常買いするわけもなく、子どもの頃に誰かのおみやげで食べたことがあるはず。というくらい曖昧な記憶の中にも「ノースマンはうまい!」という印象がしっかり刻まれている。
札幌出身の人にはもっと鮮烈な思い出があるかもしれないけど、道北地方の片隅に住む人にも浸透する北海道のソウルスイーツなのです。
加熱すると、こんがり&ふっくらおいしさアップ
昔は北海道の暖房といえば灯油ストーブが一般的で、天板の上で加熱できるようになっていました。そこでお湯を沸かし、お餅を焼き、煮込みもする。何かあればストーブの上にのっけて加熱するのが昭和の暮らしでした。たぶんノースマンも、ストーブでこんがり焼いて食べたはず。そのままでも美味なノースマンが、さらにおいしくなった記憶があります。
今は加熱できるストーブではないので、オーブントースターor電子レンジで加熱してみます。やってみると、しっとり生地がこんがり&ふんわりに。香ばしさが増しておいしさがアップした感じです。
さらに1トライと思いついたのが「追いバター」。ノースマンの生地にはバターが練り込まれているが、こんがり焼いた生地にバターをのせれば風味が倍増するのではないか。やってみたら、バターのコクと塩味が加わり、ちょっとリッチな味になりました。
あんこも良いけど、「かぼちゃ」「メロン」も!
ノースマンのスタンダードはこしあんですが、2014(平成26)年に発売40周年を迎えて「ノースマンかぼちゃ」が誕生しました。食べてみると、北海道産のかぼちゃに白あんを加えたあんの風味が実にしっくり。本家の味に負けないおいしさが楽しめます。
さらにもう一品、夏限定の「ノースマン メロン」もあります。こちらは芳醇なメロンの香りが広がる新感覚。「こんなのもありか!」という変化球のおいしさです。道民が愛してやまないソウルスイーツ・ノースマンですが、この先も新しい味が登場するかもしれませんね。千秋庵さん、どうでしょう?
ノースマンは、札幌千秋庵本店ほか、札幌市内・道内のデパート・スーパーなどの千秋庵各店と公式オンラインショップで購入できます。