生命保険の保険料を抑える方法として、前回は必要な保障と必要な保障額に絞ることでムダな保険料を払わないようにするというお話をしましたが、今回はもう一歩踏み込んだ保険料の節約術を3つご紹介します。
(1)保険の種類を変える
保険は、保障額が同じでも保険のタイプによって保険料が違います。
死亡保障の保険として広く使われているのは定期保険です。これは、契約時に決めた保障額が一定期間ずっと続くというものです。例えば、保障額3000万円で保険期間が10年の定期保険に加入した場合、契約してすぐに契約者が亡くなっても、契約が満了する直前に亡くなっても、支払われる保険金は3000万円です。
でも、必要な保障額は子どもの成長にともなって減っていきます。それに着目したのが、逓減定期保険です。これは保障額がだんだんに減っていく保険です。
例えば、保障額3000万円で保険期間が10年、逓減率が5%の逓減定期保険の場合、契約して1年以内に契約者が亡くなると3000万円の保険金が支払われますが、契約から9年目に亡くなった場合の保険金は1800万円となります。
保険会社は、年数がたつほど支払う保険金が少なくてすみます。そのため、当初の保障額が同じで保険期間も同じなら、定期保険より逓減定期保険のほうが保険料が安くなります。
死亡保障の保険には、収入保障保険もあります。これは、死亡保険金が一度に支払われるのではなく、年金形式で分割して支払われるというものです。例えば、保障額3000万円で保険期間が10年、契約者が亡くなると年300万円ずつ支払われる収入保障保険だと、契約してすぐに契約者が亡くなると300万円×10年間で合計3000万円が支払われますが、契約後9年目に亡くなると、支払われるのは300万円×1年で合計300万円ということになります(実際には2年、5年などの保障期間があります。また契約は基本年金月額いくらという形で行います)。
この場合も、当初の保険金額と保険期間が同じなら、定期保険より保険料が少なくなります。
このように、保険のタイプを変えることによって保険料を節約することが可能です。
(2)健康体割引を利用する
保険料節約のもう1つの方法として、健康体割引を利用することが考えられます。
健康体割引には、非喫煙者(1年以内にたばこを吸ったことがない人)は喫煙者より保険料が安い、あるいは、身長と体重の割合を表すBMIが一定範囲内の健康体の人は、そうでない人より保険料が安い、といったものがあります。あるいは、この両方に加えて血圧や尿検査などの結果を健康体の条件とするケースもあります。
すべての保険会社が扱っているわけではありませんが、たばこを吸わない人や健康に自信がある人は、検討してみてもいいでしょう。
(3)販売チャネルを変える
3つめは、保険の販売チャネルです。
ひと昔前は、生命保険というと、女性の営業職員が職場や家庭を訪問して、商品の説明から契約、保険金の支払いなどの手続きを行うことがほとんどでしたが、最近は電話やネットで加入できる保険会社が増えています。こういう保険会社は、営業職員の人件費や営業所を維持するコストなどがかからないぶん、保険料が安くなっていいます。
保険料を節約する方法を3つご紹介しましたが、医療保険などは保険会社・保険商品によって保障内容がさまざまなので、保険料だけで保険を決めるのは難しいといえます。
また、保険料は年齢とともに上がっていくので、現在加入している保険をやめて保険料の安い別の保険に入り直したとしても、年齢が高くなっているため、それまでの保険料より安くなるとは限りません。
今はネットで各保険会社の商品内容を確認したり保険料を試算したりできるので、いろいろ比較してみるとよいでしょう。
執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。
http://www.m-magai.net/