保険には、生命保険(生保)と損害保険(損保)があることは知っていると思いますが、その違いがなんなのか、わかっていますか?
生保と損保の基本的な違いは、生保の対象が「人」であり、損保の対象が「モノ」である点です。
生命保険の主な商品である終身保険や定期保険は、どちらも保険の対象となる人(被保険者)が亡くなったときに保険金が支払われます。「人」と「死」がポイントです。
一方、損害保険には多くの商品がありますが、個人向けのものとして代表的なのは自動車保険や火災保険です。いずれも、「モノ」が、事故や火災、自然災害など、予測できない出来事、つまり「アクシデント」によって損害を被ったときに保険金が支払われます。
もう1つの違いは、保険金額の決め方です。
生保は「亡くなったら○○万円」というふうに、金額を決めて契約します。複数の生命保険に入っていたら、それぞれから保険金が受け取れます。
おもな生命保険
それに対して損保は基本的に、契約したときに決めた保険金額の範囲内で、損害額に応じた保険金が支払われます。例えば、運転中に誤って車を他人の家の塀にぶつけて壊してしまい、その持ち主から100万円の損害賠償請求を受けたら、自動車保険から100万円の保険金が支払われるといった具合です。
仮に複数の自動車保険に加入していたとしても、1社から100万円の保険金を受け取ったら、他の保険会社から保険金を受け取ることはできません。
自動車で事故を起こすと非常に高額な賠償を求められることがあるので、自動車保険の対人賠償保険や対物賠償保険は、損害額がどんなに大きくなっても困らないように、保険金額に「無制限」にしておくのが基本です。
おもな損害保険
では、病気やケガで入院したり手術を受けたりした場合に保険金が支払われる医療保険や、ガンと診断されて入院したときなどに保険金が支払われるガン保険などは、生保なのでしょうか損保なのでしょうか。
こうした医療型の保険は、生保でもなく損保でもない"第三分野"の保険と呼ばれます(生保が第一分野、損保が第二分野です)。第三分野の保険は比較的新しくできたもので、以前は外資系の保険会社しか扱うことができませんでしたが、現在は、生命保険会社と損害保険会社の両方が扱っています。
おもな第三分野の保険
執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。
http://www.m-magai.net/