連載『保険なう』では、保険の世界における旬のトピックスをとりあげて、読者の皆さんに知っていただきたい保険の知識を提供します。

皆さんは保険の加入を検討する際に、まずはどのような行動をとるでしょうか? ネットで調べたり、知り合いや家族に保険会社の人がいれば相談したり、または紹介してもらったり……と様々だと思います。そのうちの選択肢の一つとして、無料で保険相談ができる「乗合代理店」を利用する、という方法も近年増加傾向にあります。

乗合代理店とは、複数の保険会社の保険商品を扱う保険代理店のことです。「保険ショップ」などとも呼ばれ、取り扱い商品が多いことを強みとし、相談者の意向や目的に合わせた保険選びを提案~契約、さらにアフターフォローまでを一つの窓口で行うことができるサービスを提供している業態です。

ネットなどでさまざまな情報を取得することが容易になった昨今ですが、「どのような保険があって、どの保険が自分にぴったり合うのか」ということについて、自分で情報取得して理解して把握、最適なプランを見つけて加入する、という作業はまだまだハードルが高いという見方も多く、プロのアドバイスを受けながら比較検討できる保険ショップのニーズが高まっていることを実感します。

保険ショップの多くは無料で保険相談ができるため、相談者は直接ショップに対して例えば「相談料」や「事務手数料」などの金銭を直接支払うことはありません。保険ショップは商品を販売することで発生する保険会社からの販売手数料で運営されているので、無料での相談が可能となっています。

そんな中、保険代理店が相談者の意向にかかわらず「代理店手数料の高い商品を勧めるケースも見られた」という実態があったことなどを受け、2016年5月29日、販売方法の見直しとして改正保険業法が施行されました。

保険業法改正で何が変わる? ユーザーのメリットは?

今回の保険業法改正のポイントは大きく以下の通りです。

(1)相談者の意向をしっかり把握すること
(2)意向に合った保険商品を提示する際、推奨理由を明らかにすること

保険の相談を始めると保険募集人などとの相談が進む中で「これまで見えていなかったニーズ」などを相談者自身が認識することもあり、始まりと終わりでは希望条件が変わることもあり、こういった意向をしっかり把握し、その内容を証跡として残すことが求められています。

(1)のポイントでは、これまではルールとして規程されていたわけではなかったため「証跡として残す・残さない」については各保険代理店や保険募集人ごとに異なる、という状況でした。

これがルール化されたことで、保険代理店や保険募集人などの個別のやり方にかかわらず、相談者は「自身の希望にきっちり沿った商品提示を受けている」ことを確認できるようになると考えられます。

(2)のポイントについては、相談者としては「なぜこの商品を勧めてくるのか」について明確になるため、不本意だったり納得できていない部分があったりすることに気付かず話が進んでしまうリスクが下がると考えられます。

相談者と保険募集人ともに「行動」として再度確認する必要ができた、とも言えるでしょう。

安心できる乗合代理店とは?

今回の法改正は相談者が安心して、納得した保険選びができるようになるためのものです。法改正にしっかり対応した、安心して相談できる保険募集人がいる保険代理店などをお探しになることをお勧めします。

【ポイント】
・ユーザーの意向をしっかり把握しているか
・いきなりプランや商品を勧めてこないか
・意向に対して複数の商品を提示し、それぞれのメリット・デメリットとともに比較推奨理由を述べているか
・「これがいいと思います」の一点張りで納得できていないのに決断を迫らないか

保険は万が一のときや、目的に合わせて備えをしておくためのもの。その目的をきちんと理解し、適切な保険を勧めてくれる「保険のプロ」に出会うため、顧客側としても提案する側をしっかりと見極めることがとても重要です。

<著者プロフィール>

阿部健介

保険見直し本舗 コンサルティングアドバイザー。業界6年目を機に、保険会社の専属営業マンから生保・損保をワンストップで提案できる代理店へ移籍。これまでに対応した相談件数は900件超。対応エリアは福岡市を中心に北九州、鳥栖、久留米、熊本市内が中心。多くの方に「本物の保険」を伝えるべく、家族から個人事業主まで保険のコンサルティングを行っている。TLC(生命保険協会認定FP)資格。相続診断士。MDRT成績資格会員。

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