地道に保活を頑張っていても、復帰予定時期が近づいてくると不安になってしまうのは仕方のないことでしょう。そんな時、ネットを見れば「入園できず、いかに困っているかを窓口で泣いて訴えた」「乳飲み子を抱えて役所を日参した」「嘆願書を書いて申込書に添付した」など、実に様々なエピソードが語られており、こうまでしないと入れないのかと余計に不安になるかもしれません。こういった泣き落としや情に訴える作戦の効果は、果たしてどの位あるのでしょうか。
誰もが初心者の状態でスタートする保活は、とにかく不安になりやすい上に結果が出るまでに時間がかかるので、つい焦ってしまいがち。そんな保活中の不安定な心理状態の時に、「嘆願書を何通も書いたら入れたらしい」などという話を聞くと気になってしまいます。こういった「保活都市伝説」には色々なパターンがありますが、効果があるかという視点で見ると意味のないものがほとんどです。
これまで見てきたように、入園希望者の選考には指数を用いる自治体が多くを占めます。同一指数の希望者が多い場合には、納税額などから判断して収入の低い世帯を優先するなど、あらかじめ基準が決まっています。例えば、東京都練馬区のサイト内ページでは以下のように公表されています。
同一指数世帯の優先事項(27年度)
保育指数と調整指数の世帯合計が同一の場合、次の優先事項を基に入園順位を判断します。
1.練馬区在住者(転入予定者を含む)を優先します。
2.保育指数の高い児童を優先します。
3.保育料の滞納がない世帯の児童を優先します。(既に卒園した児童の保育料に滞納がある場合も含みます。)
4. 災害>不存在>障害>疾病・負傷>就労>介護、就学>出産>就労(内定)>求職、の類型順で優先します。
5.希望保育園等に同一世帯の児童が在園している児童と施設に措置されている児童を優先します。
6.住民税額が低額の世帯の児童を優先します。
これは公平さを担保するためであり、個人の思い入れなどの恣意(しい)性を排除するための仕組みと言っていいでしょう。つまり、泣き落としや嘆願書の差し入れによって指数の加点がついたり、それらを優先事項として設けている自治体でない限り、選考時にプラスにはならないということです。そして、そういった基準を設けている自治体は、私自身は見たことがありません。
嘆願書の前にまずやるべきことは、指数の仕組みやその他の選考に関わる基準をよく理解すること、そして自分の状況をフルにいかすことです。フル活用する方法は、申込書の書き方を説明する際に詳しく紹介していきます。
※画像は本文と関係ありません。
著者プロフィール
株式会社ここるく 代表取締役 山下真実
「わが子を大切するために、ママが自分自身を大切にできる子育てスタイル」を提案し、人気のレストランが託児付きで楽しめるサービス「ここるく」を運営するママ起 業家。
投資銀行や金融系コンサルなど金融業界でキャリアを積みつつ、2011年に第一子を出産。初めての子育て中に「今まで気にもとめていなかった当たり前の事が、産後は一 気にできなくなるんだ! 」と感じたことがきっかけとなり、現代に合った子育て支援を実現するため2013年に株式会社ここるくを設立。また、広範な情報収集と体系立て た理解をモットーとした独自手法による保活情報や両立アドバイスも人気で、「実践的で分かりやすい」と雑誌等でも監修多数。
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