夏祭りも終わり、今度は秋祭りの季節。子どもの頃から親しんでいることもあり、和太鼓の響きには誰もが心を動かされることでしょう。「ちょっとたたいてみたいけど、町内会のつき合いもないし、今さら『お祭りに参加させてください』というのも気が引ける……」。そんな人にオススメなのが、和太鼓スクール、です。ダイエットやストレス解消にも効果がありますよ。
内臓に共鳴、脳の活性化も
「はい。それでは、両脚を大きく広げて、腕を伸ばして力を入れずに振り下ろします。腕だけではなく、腰を使って……」。インストラクターの石田さんに言われるとおり、鏡の前で動きをまねて、バチを打つと「どん、どん、どん」と太鼓が響きます。大きく力強い音で、からだへのインパクトも予想外。
右、左、右、左……、当たり前ですが、左右交互に太鼓を打っているだけで、全身が何か変わってくるような感覚に。力を入れているわけではありませんが、筋肉に効いている感じがするし、自然と姿勢のバランスを感じているようです。頭ではなく、からだが勝手にリズムに合わせて変化している、そんな気がしました。
「これで5分くらいですね」と言われて、「え?」。これほど「全身を使ってる感」がある5分間は、21世紀になって初かもと思っていると、「今度はリズムを早くしましょう」と石田さん。ゆっくりとしたリズムと早いリズム、交互に太鼓を打ち、しばらくして慣れてくると、「はっ、はっ」とかけ声をかけながら打ち続けます。
さらに、石田さんはこちらの太鼓に合わせて、自在にリズムを刻みます。太鼓はふたつだけなのに、なんだかお祭りのときのよう。最後に、「だだだだだだだーーっ」と乱れ打ち、そして、「はっ」と両方のバチを打ち付けてシメ。見事に決まりました。たった30分の体験でしたが、心身ともにすっきりと爽快な気分です。
石田さんの話では、太鼓の音は内臓に共鳴し、からだをリフレッシュさせるとのこと。筋力アップやストレス解消効果のほか、姿勢がよくなり、肩こりも解消されるなど、太鼓を打つことでさまざまな健康的な効能があり、脳の活性化も検証済みです。
「TAIKOビクス」コースも人気
「TAIKO-LAB青山」がオープンしたのは、2007年。現在、生徒は1000人以上で、その9割が30代から50代の女性です。一般的な「和太鼓コース」のほかに、太鼓とエアロビクスを組み合わせた「TAIKOビクスコース」もあります。
生徒のほとんど全員が、太鼓は初心者。「前からやってみたかった」「ジムは長続きしないので、楽しみながら運動できるところを探していた」など、和太鼓に魅了された人、フィットネスとして興味を持った人など、参加の理由はさまざまですが、皆さん長続きして、ステップしていく人が多いそうです。
確かに、30分体験しただけでも、太鼓の楽しさはひしひしと感じましたし、その奥深さもよくわかります。半年に1回発表会があり、それを2度経験すると、上のクラスに進むことが可能。太鼓の魅力にはまって、インストラクターを目指す人もいます。
「TAIKO-LAB」を運営する株式会社太鼓センターは、2002年に地元の京都で和太鼓スクールを始めました。その後、浅草、大阪とオープンし、青山教室を開きます。もともは、子どもに教えるのが目的でしたが、気軽に誰でも太鼓を学び、楽しめることを目指しています。今後も、各地に展開していく予定です。
太鼓は生活を変えていく!?
ところで、半年に1回の発表会。今度は10月1日と2日、会場は日本青年館大ホール!! すごい。ここの舞台に上がるなんて、よっぽどのことがない限りムリです。もちろん、一般の鑑賞もできます(詳細はサイト参照)。
リフレッシュしたい、健康なからだになりたい、ダイエットしたい、パフォーマンスを楽しみたいと、「TAIKO-LAB」に通う人々の思いはそれぞれ違いますが、こんな大舞台で披露できるなら、ちょっと意識も変わってくるかも、などと思ってしまいます。なにしろ、世界的にも注目されている和太鼓。気軽に通い始めたら、いつの間にかパフォーマーとして世界に進出してたりして……。
まぁ、それは大げさかもしれませんが、前述のとおり、からだだけではなく、こころも元気にしてくれる太鼓には、わたしたちの生活を変える力があるのは確か。体験レッスンも用意されているので、一度参加してみてはいかがでしょう?
実際に太鼓を打ってみれば、その有無を言わさぬ楽しさに、からだもこころも持っていかれるに違いありません。