専門図書館や専門資料館を利用したことはありますか? 「『専門』だから自分に関係はないよ」って思っている人、結構いるかもしれません。はっきり言って「損」してますよ! とにかくいろんな専門ライブラリー(図書館、資料館などひっくるめて、こう表現しときます)があるんです。趣味に、仕事に、調べものに……、さまざまな要望に応えてくれる専門ライブラリー。そこはまさに「宝の山」なのです。

旅の資料の「地下宝庫」 旅の図書館

旅行ガイド、旅行雑誌などをはじめ、旅関連の図書・資料といえば、ここ。東京駅からほど近い第二鉄鋼ビルの地下1階にある「旅の図書館」です。図書の貸出しや旅行相談は行っていませんが、国内外の旅関係の書籍がそろい、旅先のことをまとめて調べるのにこれほど重宝する施設はないでしょう。

荷物はコインロッカーに預ける。国内外のフリーペーパー、パンフレットも入手可能

※写真提供 : 財団法人日本交通公社「旅の図書館」

蔵書数はおよそ3万2,000冊。うち3,000冊は洋書です。バックパッカーの必需品『ロンリー・プラネット』は、ほぼ全シリーズ約300冊がそろい、ミシュランのガイドも最新刊が並んでいます。

ガイドブックの数もさることながら、とっても貴重なのが国や県ごとに用意されているボックス。中には、パンフレットや地図、そして館員の方が毎日整理している新聞記事が入っています。ガイドブックや書籍だけからでは知ることのできない多彩な情報が詰まっているわけです。

座席は30席ほど。3月、6月など旅行時期前には混み合うことが多い

※写真提供 : 財団法人日本交通公社「旅の図書館」

各種旅行雑誌、旅行関係専門雑誌のほか、各社の機内誌も充実している

※写真提供 : 財団法人日本交通公社「旅の図書館」

また、雑誌の棚には主要航空会社の機内誌もあります。ちょっと旅気分に浸ったり、事前に映画や機内販売をチェックしたりと、利用方法はさまざま。明治から現在までの国内時刻表がほとんど収蔵されているのも、鉄道ファンにはうれしい限り。もちろん、旅行の下調べにも便利です。

「旅の図書館」は財団法人日本交通公社の運営で、1978年に開設されました。月刊誌『旅』や外国人旅行者誘致のために戦前発行されていた『ツーリスト』はデジタル保存されていて、旅行に関する大切な資料となっています。2006年からは夏・冬の年2回ペースで「旅の図書館講座」も始まりました。次回は1月24日に「鉄道の旅」のテーマで講座が開かれる予定。詳細は、12月以降「旅の図書館」の公式サイトに掲載されます。

ボックスの中には新聞記事の切抜きがある。国内では入手の困難な地図やパンフレットも

※写真提供 : 財団法人日本交通公社「旅の図書館」

無料巡回バス「メトロリンク日本橋」の東京駅八重洲口バス停前に入口がある

※写真提供 : 財団法人日本交通公社「旅の図書館」

大人も夢中になる 国際子ども図書館

上野公園の東京国立博物館と東京芸術大学の間に建つルネサンス様式の洋風建築。帝国図書館として1906(明治39)年に建設、1929(昭和4)年に増築されたこの建物は、戦後、国立国会図書館の支部上野図書館となり、2002(平成14)年、国立国会図書館国際子ども図書館として全面開館しました。

建物は東京都選定歴史的建造物に指定されている。現在の改修工事には建築家の安藤忠雄氏も関わった

※写真提供 : 国立国会図書館国際子ども図書館

国立国会図書館の施設と聞くと、ちょっと敷居が高いと感じる人もいるかもしれません。しかし、世界的に見ても児童書専門の図書館というのは珍しく貴重。さらに建物自体も見応えたっぷり。そのため、図書関連と建築関連のツアーも週に1度組まれています。詳細はホームページの「ご利用の案内」からご参照を。

重厚で芸術的な建物の中には、童話や絵本をはじめとする子ども向けの本が陳列されています。しかし、子ども向けといっても、その魅力には大人も夢中になってしまうのです。昔懐かしい本との再会はもちろん、子どもの本の発想の豊かさ、表現のおもしろさには、改めて驚かされることでしょう。

1階にある閲覧室「子どものへや」。天井一面が照明となっていて、影ができないようになっている

※写真提供 : 国立国会図書館国際子ども図書館

100点ほどの子ども向けDVDも観ることができる「メディアふれあいコーナー」

※写真提供 : 国立国会図書館国際子ども図書館

2階にある第一、第二資料室(18歳以上のみ利用可能)には、日本だけではなく、世界の児童書も収集されています。言葉はわからなくても、なんとなく理解できますし、国によって異なる本や絵の雰囲気を比べてみるのも楽しいもの。また、小学校から高校まで、最近の教科書が各種置かれているのも特徴のひとつとなっています。教師や研究者の利用が多いようですが、手にとってみると各社によっての違いや、昔との違いが興味深く、思わずじっくりと目を通してしまうかもしれません。

そのほか「絵本ギャラリー」を閲覧できる「メディアふれあいコーナー」があったり、展示会が開催される「本のミュージアム」があったり、読書以外の楽しみもたくさん用意されています。ちなみに、現在の展示会は「童画の世界-絵雑誌とその画家たち」。来年2月15日まで開催されています。

じっくりと鑑賞したくなる見事な大階段

※写真提供 : 国立国会図書館国際子ども図書館

帝国図書館当時の様子。今とは比較できないほど図書館の存在は貴重だったに違いない

※写真提供 : 国立国会図書館国際子ども図書館