はんだづけ……。「昔やったなぁー」という人、「何、それ」という人、おそらく反応はバラバラでしょう。「はんだづけ」+「カフェ」という組み合わせも?? ちょっと不思議。でも、男子なら少年時代がよみがえるはず。女子は、まぁ……と思っていたら、「テクノ手芸部」がブーム(?)なのだとか。それって、なんだ?
グッとくる中学校の校舎の中に
JR秋葉原駅電気街口から徒歩10分弱、東京メトロ銀座線末広町駅からは徒歩1、2分、「はんだづけカフェ」が入っている建物「アーツ千代田3331」は……、学校、でした。
旧練成中学校を改修した「アーツ千代田3331」は、さまざまなアーティストやクリエイターが集う表現の場として1年前にオープン。学校の雰囲気を残しつつも、洒落た空間が魅力的です。1階のカフェでのんびりコーヒーを飲んだりすることもできます。
ちなみに「3331」とは、江戸一本締めのときのあのリズム。3回手を打つ×3回で9。「九」=「苦」となり、最後の1回を打つことで「九」に1画加わり「丸」となるわけです。
ここの3階に「はんだづけカフェ」はあります。カフェがオープンしたのも、およそ1年前。電子工作部品などをネット通信販売しているスイッチサイエンスが、平日業務終了後の18時から20時30分と、土日祝日の13時から18時まで、スペースを提供するかたちで始まりました。
ネットでやり取りするだけの客と、実際に触れ合うことができるメリットがあるので始めたとのことですが、「はんだごてで、人がどれくらい集まるか」という実験的な試みでもあったようです。
カフェは5月10日に、新しい教室を使い始めたばかり。真っ白な教室には、科学雑誌など専門誌が充実していて、これをじっくり読むのが目的という人も少なくないとのこと。わかる人には、たまらない場所なのでしょう。
みんないったい何をしている?
カフェ、といっても、何かメニューがあるわけではないので、飲み物などは持参します。集まってくる人は平日と休日で違ってきます。平日は、周辺で働くサラリーマンが中心。仕事帰りに立ち寄るリピーターも多く、上は50代くらいの方もいらっしゃいます。
休日に多いのは、小学生。夏休みやゴールデンウィークなどには、地方から来る人もいるそうです。熱心に工作に取り組み、それを横から親が見ている、という光景が見られます。また、中高生などのグループも少なくないそうです。
で、結局、何をしているのか? 一言で言えば「人、それぞれ」。はんだごては貸してもらえるので、持参した基板などに、はんだづけしている人もいます。それこそまさに「はんだづけカフェ」の正しい様子に思えますが、はんだとはまったく関係のないプラモデル作りをする人も。そして、前述したとおり、専門誌目当ての人も。
電子回路を使って本格的な作業に没頭する人、はんだづけをしたことがない初心者、など、とにかくいろいろな人がやってきているわけです。(なお、スイッチサイエンスが扱っている商品の販売はしていませんが、他社を含め、商品や部品は持ち込み可能)
「なるほど、そうするとやっぱり男の比率が高いわけだ」と思っていると、実は女性も多いとのこと。その理由は……。
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「こういうの使ったなぁ」と感慨深くなってしまう。ラジオをつくったという人も少なくないはず |
「テクノ手芸部」って何??
ブームといえるのか、わかりませんが、「テクノ手芸部」なるものが女子の間で人気なのだとか。すでに本も発売されているとのこと。
ぬいぐるみや手芸とテクノロジー(?)がコラボしたようなもので、人形の目が光る細工をしたり、電気が通る糸(そんなものがあるのも初耳!)を使って編み物したり、とオリジナリティーあふれるアイテムをつくっているそうです。「こんなものがあったんだ」と、新たな発見をしました。
「はんだづけカフェ」では、実際に自分の手を使ってみれば理系やものづくりは楽しい、ということを実感できます。理系世界から縁遠くなっている人こそ、ここへ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
カフェのスペースは自由な雰囲気ですし、何よりもこの学校の空気感もなかなかおもしろいものです。アキバの新しいスポットとして、ぜひ「はんだづけカフェ」を追加してみてください。