先日6月1日、東京都水の科学館がリニューアルオープン。開館から13年が経過した同館には、これまでおよそ164万人が訪れていますが、総合学習施設、そしてファミリー向け体験施設として、さらに魅力がアップ、しかも無料。子どもだけではなく、実は大人も楽しめるお台場の穴場的スポットなのです。

水の科学館のエントランス側。水の音が涼しげに響いている

「水のたび」を体感するシアター

1997(平成9)年にオープンした東京都水の科学館は、東京都水道局のPR施設。「水」や「水道」について体験学習できるこの施設は、小中学生を中心に利用されてきました。特に、学校で水道の学習をするとのこと小学4年生の団体が、平日は多く訪れています。

ゆりかもめ国際展示場正門駅、りんかい線国際展示場駅から、それぞれ徒歩約8分の場所にありますが、お台場へ遊びにいったら、足をのばしてみてはいかがでしょうか。もちろんファミリーでも楽しめますし、大人にとってもおもしろい実験などがそろっています。

今回は、ほぼ全館リニューアル。見学の順番は3階の「アクア・トリップ 水のたびシアター」から始まります。12台のプロジェクターによって、前面と左右、そして天井にも映像が映し出されるこのシアターでは、空の大気から川、町へと水の大循環を水の粒になった気分で味わうことができます。

上映されるのは『水の歌声が聞こえる』(約15分)。まわりを映像に包まれた空間は、ときには心地好く、ときには迫力ある世界です。これだけでも「水」の大冒険(?)に、子どもと一緒になってワクワクしてしまうのではないでしょうか。

ゆったりとしたソファーでとてもくつろげる「水のたびシアター」

水の不思議、暮らしと水の発見いろいろ

3階には、水のふるさとであり、何よりも水にとって大切な森について展示された「アクア・フォレスト」もあります。奥多摩の水源地から都心への航空写真が床に広がり、森の動植物や森林について学ぶコーナーには、細かな「仕掛け」がいろいろ。楽しみながら、学び、発見することができる工夫がされています。

同館の人気コーナーは、何といっても2階の「アクア・ラボラトリー」。巨大なシャボンの中に入ったり、霧の空気砲を叩いてみたり……など、さまざまな水の不思議を体験することができます。小学生たちは、大興奮で体験装置にチャレンジしていました。

アテンダントの方が実験ショーを行う「水の実験ラボ」にも人だかり。こちらは10時から16時まで、15分おきに5分ほどかけて実施されますが、中でも真空実験装置を使った「水の真空実験」が高い人気です。水の入ったビーカーを装置にセットして空気を抜いていくと、水はしゅわっと蒸発し、今度はあっという間に氷に……。気圧が下がって沸点が下がり、また気化熱で水の温度が下がったために起こる現象ですが、百聞は一見に如かず、ぜひご自分の目で確かめてください。

「おいしい水のひみつ」に関する展示は、子どもたちよりむしろ大人にとって興味深いものでしょう。東京の水はおいしい、というのは、最近では当たり前となっていますが、その仕組みがわかりやすく示されています。活性炭に取り込まれた汚れを微生物が取り除く「生物活性炭処理」など、世界でも最も高度な東京の浄水処理には、改めて感心してしまいます。

「アクア・フォレスト」エリアの床にある航空写真。奥多摩の地形もよくわかる

水にとって森がいかに大切か教えてくれる「アクア・フォレスト」

大人気の「アクア・ラボラトリー」。空気が輪になる「ボルテックスリング」の実験装置

テレビ番組でもよく見る空気砲。子どもたちは競って叩きまくっていた

「水の真空実験」では、あっという間にビーカーの中の水が氷になってしまった

晴れた日は芝生でランチを

広々とした芝生が広がり気持ちがいい。天気がいい日は、せっかくなのでひと休みしたいもの

2階には「アクア・タウン」という町や生活と水のかかわりを展示するコーナーもあり、身近な水の例について、再認識することができます。実験に比べれば派手さはありませんが、普段の生活に密接に関係しているだけに、節水や水とのつきあい方、環境など、意外と勘違いしていることにも気がつくはず。当たり前となってしまっている感覚をリセットするには、とてもいいコーナーです。

1階の「アクア・パーク」は吹き抜けとなっているエントランスエリアで、水と遊ぶことができる空間です。高さ10メートルの同館のシンボル「わくわくマウンテン」から滝が流れ落ち、下にある「うきうきプール」は子どもたち(もちろん、大人もOK)が楽しく遊べるようになっています。このエントランスからは、同館の地下にある水道施設「有明給水所」へのガイドツアー(10時~15時 15分おき)も出ています。

なお、建物の正面にはゆったりとした芝生の広場もあり、ベンチも用意されています。館内での食事は禁止ですが、お台場の景色をながめながらランチを楽しむというのもいいかもしれません。

「おいしい水ができるまで」のパネル展示。東京の水がおいしい理由がよくわかる

最近は、水道の設備もいろいろと進化を遂げている。新しい常識は、案外知らないかもしれない

入口を入ると、「アクア・パーク」が目に飛び込んでくる。吹き抜けで明るく、水と遊ぶことができるエリア

プールの下に入って半円ののぞき窓から顔を出したり、滝の裏にまわったりと、楽しみはいろいろ