映画館のバルト9も入っている新宿マルイアネックスの地下1階。一見、倉庫みたいな雰囲気が感じられるものの、風情のあるレンガ壁が目を引き、ちょっと薄暗く、そして心地好い音楽が流れる空間が現れます。ここは、ブルーノートジャパンがプロデュースするということで話題となっている「ブルックリンパーラー」。ブルーノート、と聞くとなんだか敷居が高そうでしたが、ここは実にカジュアルで洒落たお店。それでいて「こだわり」があちらこちらに見られます。
こだわりの本と音楽に囲まれて
昨年9月18日にオープンした「ブルックリンパーラー」ですが、すでにリピーター続出とのこと。お客は若い人ばかりでなく、熟年の方の姿も結構見られます。場所柄もあるのか、客層はとても幅広く、学生風、サラリーマン風、外国人、ひとり客、カップル、グループと多彩。
ブルックリンは、ニューヨークのマンハッタン島からイーストリバーを渡ったところにある街ですが、さまざまな人種や文化が混在する街であり、自由な雰囲気にあふれた場所として知られています。その空気を日本に、というのが店の大きなコンセンプトで、ふさわしい場所として選ばれたのが新宿でした。その狙いはぴったりとはまり、「ブルックリンパーラー」では雑多でありながら洒落ているブルックリンらしさがごく自然に感じられます。
ブルーノートのプロデュースだけあって、当然、音楽のセレクションは格別。時代やジャンルにとらわれない音楽は、ブルックリンという街の空気をさりげなく伝えてくれているかのようです。店内ではCDも販売されているので、そちらもぜひチェックしてみましょう。
壁の一面は本屋のようなつくりとなっていて、こちらもこだわりが強く感じられるセレクション。ほのぼのとした本から、知っている人であればニヤリとしそうなクセのある本まで、多数の興味深い本が並びます。本棚を眺めているだけでも、時間があっという間に経ってしまいそうです。もちろん、立ち読み、購入も可能。
店のレイアウトも、ごちゃとしているようなのに統一感があるというおもしろさ。すべてがバラバラのようですっきりとしている。そして、とにかく心地好い。最初はフシギな感じなのだけど、しばらくすると、ずっと前から知っていたかのようにくつろいでいるというのがこのお店なのです。リピーターが多いという話も納得です。
日本で飲めるのはここだけ ブルックリンラガー
メニューも充実しています。昼間はやはりバーガーが人気のようですが、夜(昼間でもかまいませんが…)はステーキなどの料理が楽しめるので、こちらもおすすめ。また、タルト、ケーキ、クッキーなど、パティシエによるデザートも用意されていて、贅沢なカフェタイムも過ごせます。
しかし何よりも一番人気なのは、日本初上陸の「ブルックリンラガードラフト」(ラージ:945円、レギュラー735円)。ニューヨークで最も有名なビールメーカーとして知られるBROOKLYN BREWERYが、「伝統的な手法による本物の味をよみがえらせたい」という思いから、1998年に製造を開始したもので、通常のビールの2倍の時間をかけて発酵・醸造が行われ、生産量も多くはありません。香り豊かで、普通のビールよりやや苦味が強く感じられますが、とてもすっきりとした味わい。個性がしっかりしていて、かつ料理の邪魔をしないビールと言えるでしょう。
さらにビールファンであればぜひ試したいのが、同メーカーから入荷されている「ブルックリンローカル」(3900円)の1と2。1はドイツ産ホップ、モーリシャス産生砂糖などを使っており、2はベルギーの黒砂糖、ニューヨーク産ワイルドフラワーの蜂蜜などを組み合わせているといわれます。約750mlの大瓶なので、数人で2本を飲み比べてみるといいのではないでしょうか。
なお、「ブルックリンパーラー」ではライブも行われていて、こちらも人気を博しています。スケジュールについてはホームページ等で確認をしていただきたいのですが、ライブだからといって入場料があるわけではなく、チャージもないというのは強調しておきましょう。ライブ目当てで来店する人ももちろん多いのですが、たまたまライブの日に居合わせて、その後ライブのファンになったという人も少ないとのこと。ブルーノートに行くのは、ちょっとした覚悟(?)がいるという人も、ここなら気軽に楽しめるはずです。
最後に「ブルックリンパーラー」のコンセプトとなっているコピーをご紹介。
「人生における無駄で優雅なもの、ぜんぶ。」
この言葉だけでも、ちょっとお店をのぞいてみたくなりませんか?