ラ・フェンテ代官山の地下1階に今年9月20日、突如現れた戦国絵巻……。その名も「戦国魂(せんごくだま)天正記」。この場所だけ、昔へタイムトリップしたかのよう、でも、代官山っぽい洒落た雰囲気。ショップではありますが、ただのショップではなく、その背景にはアツイ思いがあるのです。それは……、あ、その前に、真田幸村、見参!!!
「歴メン」に歴女もうっとり!?
歴史好きの女性、歴女が定着するなか、これからは「歴メン」(歴史好きのイケメン)の時代。というわけで、戦国魂イチオシの「歴メン」店員が登場です。それが慶応大学1年生の小岸クン。実際に真田幸村のファンというだけあって、約15kgの甲冑(かっちゅう)を身に着けても、動きは軽やか、さっそうとした勇姿を見せてくれました。
とは言っても、普段からこの格好でお店にいるわけではありません(当たり前か)。でも、イベントなどではこの凛々しい姿を見られるとのこと。これまでのイベントでは、歴女たちのココロをわしづかみ。戦国魂のカリスマ"歴メン"になる日も、そう遠くないかもしれません。
戦国イベントで地方の活性化も
戦国魂は、2005年9月15日に立ち上げられたプロジェクトです。「戦国時代の文化は、日本独特の文化。ロマン、野望、かっこよさなど戦国時代をさまざまな切り口で楽しみ、躍動感にあふれた戦国の魅力、これを戦国美と呼んでいますが、これを世界に発信し、日本の活性化を目指して立ち上げました」
そう語るプロデューサーの鈴木さんは、日本のよさを改めて見直す必要性を訴える檄文を作り、知り合いなどに声をかけていきました。ゲームデザイナー、ウェブデザイナー、漫画家、歴史研究家など、鈴木さんに共感した人たちは仕事もさまざま。共通するアツイ思いを抱いた「専門集団」は、戦国時代をテーマにした地域活性化イベントや、戦国時代関連グッズの制作・販売など、プロジェクトを次々と展開してきました。
今も地方自治体からの引き合いが絶えないとのこと。各地ゆかりの武将をフィーチャーしたライブやイベントで、若者たちもその地の魅力に改めて気づき、本当の意味での地域活性が進んでいるそうです。歴史は勝者の視点からのみ語られがちですが、敗者にも目を向け、歴史をとらえなおすことも戦国魂は大切にしています。
日本の戦国美を世界へ
戦国魂プロジェクトでは、世界へ戦国美を発信し、それを日本に逆輸入するのが目標ですが、まずは確固たるブランド力をつけるため、戦国魂の店を構えることにし、今年8月8日に京都に、そして9月20日に東京の代官山に店をオープンしました。
「京都は町家を利用した小さなお店です。代官山のお店は、戦国モダンがコンセプト。この場所を選んだのも、やはりクリエーターなど感度の高い人が多いためです」と鈴木さん。「戦国魂天正記」は代官山のショップらしいシックな雰囲気が漂いますが、天井が高く、開けた明るい空間。喫茶スペースもあって、京都を感じさせるスイーツなどが味わえます。
グッズもクオリティのレベル、ユニークさなど目を引くものばかり。プロジェクトに参加しているメンバーは、有名無名関係なく各業界トップレベルの技術を持った人たちという話に納得です。
中でも、瀬美庵(せびあん)織りという京都の和紙の伝統工芸を取り入れた甲冑鞄は秀逸。瀬美庵織りは、実際に甲冑にも使われていたとのことです。鞄の上部分が瀬美庵織りで、これを留める部分にも甲冑の技法が応用されています。鞄のほか、カードケースもあり、こちらも見事なデザイン。戦国モダンというコンセプトが実感できます。
携帯のストラップとして使える甲冑護符は、甲冑と同じ素材、技法で作られていて、お好みの家紋をシールで貼り付けることができる人気グッズ。家紋の種類は70種類ほどあり、シルバーかゴールドが選べるので、渋い家紋も見つかるはずです。またこれと並んで人気のエターナルフレイムは、家紋の部分がマグネット式になっています。アクセサリーとして身に着けるもよし、ストラップとして使うもよし。歴史ファンでないとしても、魅力的なアイテムです。
もちろんほかにも「これはっ」と思わせるグッズがずらり。戦国魂のファッションスタイルやアクセサリーが海外に進出すれば、爆発的にウケるのは間違いなし、でしょう。意味のわからん漢字が書かれたTシャツ着てる場合じゃなくなるはず。で、どこへ進出するのでしょうか?? 「それは、ちょっと……」と微笑む鈴木さん。確かに言えないですよね。でも、今後の展開から目が離せません。
ちなみに、今はサントリーのザ・プレミアム・モルツとのコラボ中。海外進出はもちろんのこと、ショップやこれからのイベントにも要注目です。そして、「歴メン」小岸クンも応援してねっ。