眼下には東京タワー、向こうには東京湾の海岸線……、光が散りばめられた夜の景色が大きな窓一面に広がっています。東京の雄大さには、思わずためいきがもれてしまうほど。こんな贅沢な風景に恵まれた図書館が、六本木ヒルズにはあるのです。それが「六本木ライブラリー」。しかし、それはいわゆる普通の図書館とは異なり、知的な「たくらみ」と人々の情熱が響きあうかのような……、でも、静寂に包まれた場所でした。

夜空にそびえる六本木ヒルズ。この49階を利用できるという魅力は大きい

使い方はそれぞれ。六本木ヒルズに自分の贅沢空間を

世界的な建築家として知られる隅研吾氏がデザインしたライブラリーの空間は、すっきりと落ち着いているものの、どこか刺激的。東京の景色が一望できることもその理由のひとつに違いありません。とにかく、シンプルだけど贅沢さを感じさせてくれます。

ライブラリーカフェ入口にあるメンバーズ受付

天井が高く、明るく開放的なライブラリーカフェ。リラックスして読書することができる

大きめの本棚はゆったりとした贅沢な作りとなっている

図書館とはまったく異なる配置方法だが、どれも興味深いタイトルが並ぶ。人気はやはりビジネス関連書籍とのこと

コミュニティメンバーは現在約3,200人。30代が40%強と最も多く、20代、40代そして50代以上がそれぞれ20%ほどとのこと。全体の70%がキャリアアップのための勉強を目的に入会しているそうです。メンバー資格は満20歳以上の個人。入会金は1万500円で月会費は9,450円、サイトから申し込みができます。

うーん、正直ちょっと高いかなぁと思ったものの、「この空間をタイムシェアできると考えれば、高くはないではないでしょうか」と広報担当の深町さん。確かに、フィットネスクラブの会費と同じくらいですし、これだけ充実した六本木ヒルズを自由に利用できると考えれば、決して高くはない。街のカフェを使うことを考えれば、むしろ安いかも。

オープン時間も7時から24時(最終入館23時)までで年中無休。自分のライフサイクルに合わせた使い方が可能です。じっくりと勉強に集中できるエリアのほかに、広々としたライブラリーカフェもあり、それぞれの目的に応じて利用できます。カフェにはソフトドリンクのほかにも、パンや菓子類、アルコールも用意されている充実ぶり。どれもリーズナブルな料金です。

カフェが併設されているので、ゆっくりお茶を楽しみたいというときにも便利だ

窓の向こうには首都圏の広々とした夜景が広がっていた。右手には小さく東京タワーが見える

眼下の東京タワーと夜景の眺め。この景色を目にすることができるというのは何とも贅沢。写真右はアカデミーヒルズ六本木ライブラリー提供

また、コミュニティメンバーには、グランドハイアットのレストランやバーが安く利用できたり、さまざまなセミナーに優待されたりなど多彩な特典もあり、こちらも大きな魅力となっています。メンバーだけが参加できるイベントやサロンは、文化人、大学教授など多彩な講師陣、ゲストがそろっていて、そのリストを見るだけでもなかなか刺激的。このような会員ならではのサービスなどを考えれば、このライブラリーの魅力は何倍にも増して感じられます。

多彩な人々が集う刺激に満ちた空間

ところで、ここに置かれている書籍はおよそ1万7,000冊。開架式ですが貸出しはしていません。一部の書籍を除いては、1割引で購入することができます。本の並び方は、一般的な図書館とは大きく異なります。ライブラリーが選んだ本は、大きなジャンルに分けられて棚に並んでいます。これは、意外なものに出合う喜びを発見してほしいというライブラリー側の願いから。ただしアトランダムに配置されているものの、ウェブで検索は可能です。

また、著名な評論家や作家などの書棚を再現した棚もあり、定期的に更新されています。その本棚を見ているだけでも、「あ、こんな本も読んでいるんだ」とこちらの好奇心がくすぐられました。こんなところも六本木ライブラリーは刺激的なのです。

取材時には、立花隆氏の本棚も再現されていた。多彩なテーマの書籍が目を引く

ライブラリーカフェに続くライブラリーアレー。この右手に立花氏の棚が設けられている

こちらは建築関連書籍が並んだ本棚。本のチョイス、見せ方にこだわりとセンスが感じられる

しかし、です。一番刺激的なのは、ここに集う人々にほかなりません。ライブラリーを見てまわっていると、利用している人たちの熱気、というか情熱、いや、何と言うのでしょう、何かに向かってのポテンシャルの高さのようなものでしょうか、それがヒシヒシと感じられます。

このライブラリーは人と出会う場所でもあります。そして、その出会いから数々の「メンバーズ・コミュニティ」が誕生しています。「英語で語ろう友の会」、「ブックナビクラブ」、江戸から学ぶ会」、「六本木ディベートクラブ」などから、「スポーツ観戦しよう!」といったものまで、おもしろそうな集まりがいっぱい。

普通の図書館で他の人と交流するというのは難しいものですが、ここでは顔見知りになったメンバーが声を交わし、自然発生的に交流や活動が始まっているのです。本を紹介しあうといった図書館ならではの光景から、ビジネス関係の情報交換まで、六本木ライブラリーで展開されている活動は、何よりも刺激的。

どうです? ちょっと寄ってみたいでしょ? この空間。随時、無料見学会が行われているので、ぜひのぞいてみてください。