小ぢんまりとしたその空間は、上品なプチホテルのラウンジのような落ち着いた雰囲気が漂っています。昨年11月にオープンした「勉強カフェ BOOKMARKS」は、最近、マスコミからも注目されている場所。「勉強カフェ」って何? そう思う方も少なくないかもしれません。名前の通り、勉強するためのカフェなのですが、実はただの静かな空間ではなく、とってもアクティブな場所でもあったのです!
大人のための勉強場所を求めて
「勉強カフェ」を立ち上げた代表取締役の山村宙史(ひろし)さんは、以前は金融関係の仕事をしていたそうです。
「土日に資格の勉強をしようと思ったのですが、家ではできないので図書館を利用しようとしました。ところが、土日は朝から満席となることが多い。そこでファミレスやコーヒーショップなどに行ったのですが、やはりずっと居続けるというわけにもいきません。漫画喫茶も勉強向きの場所ではありませんでした」
大人がゆっくりと勉強できる場所がないと感じた山村さんは、有料の自習室も見てまわってみたとのこと。もともと予備校生向けにつくられ、現在では資格の取得などを目指す社会人の利用も多いという自習室は、確かに静かに勉強ができる空間ではあったものの、ブースがあるのみでほかに何もなく、無機質な場所に感じられたそうです。
「静かにしなければならないという厳しい規則もありました。もちろん、勉強するためには大切なことなのですが……」もっとリラックスして大人同士が活用できる空間はないものか、そう考えた山村さんは「勉強カフェ」のオープンを決意したのでした。
カフェのオープン時間は平日は10時から23時、土日祝日は10時から17時。利用プランは4つあります。レギュラー会員(月会費9450円)は平日17時以降と土日祝日の終日、フルタイム会員(月会費1万5,750円)はいつでも、デイタイム会員(月会費1万2,600円)は平日17時までと土日祝日の終日、ホリデイ会員(月会費7,350円)は土日祝日、の利用が可能(各プラン割引もあり)。
現在会員は約80名で会社員が7割を占めています。半分近くがレギュラー会員で、年齢層は幅広いものの、中心となるのは20代後半から30代前半。何らかのキャリアアップを目指している人たちがほとんどとのことです。中には起業した人がオフィスとして利用しているケースもあり、商談の場として利用する人もいます。
「勉強カフェ」には静かに勉強できるブース席ももちろんありますが、ホテルのラウンジのようなオープンスペースもあるので、さまざまな活用方法があるわけです。そして、このオープンな場所こそ、「勉強カフェ」の最大の魅力となっています。
本当の仲間、人脈が築ける貴重な場
それを象徴するのが、入口カウンターの横にある「PROGRESS BOARD」。会員それぞれが自分の名前を明らかにし、それぞれの「勉強カフェ」における目標を掲げています。その内容は実にさまざま。資格を取るというものから、語学を習得する、起業を成功させるなど、熱意がこちらにも伝わってくるものばかり。
「自分の目標を公表することでモチベーションを高めることはもちろん、同じ志を抱く人に興味を持った方がいれば、わたしたちスタッフを通じて紹介させていただきます。こちらの方たちは、イタリア語を学ぶということで仲間となり、ここに先生を招いてレッスンを行なっていますよ」
目標を書いた紙がびっしりと張られたボードには、ところどころ赤い糸が見られ、数枚の紙を囲ったり、紙を結び付けていたり。これは「勉強カフェ」を通じて、同じ目標を持った人たちであり、仲間となった人たちというわけです。
「特に最近、仲間や人脈づくりの場として、ここを利用される方も増えてきました」と山村さん。「会社員というのは、意外とほかの業種の人との出会いが少ないものなんです」確かに、同じ業種であればまだ交流はあるかもしれませんが、別の業種とのつながりは、たとえ何かのパーティーなどで名刺交換したとしても、それっきり、というのがパターンかも。異業種以前に、人と接する機会を求めてくる人もいるとのこと。これって、セツジツに感じられる方もいらっしゃるのでは?
会社員が多いこともあり、会員が多数集まるのは平日の19時以降や土日の午後など。コーヒーやアルコール類などドリンクもオーダーできるので、勉強したいという人も、人脈を築きたいという人も、仲間を増やしたいという人も、これまでになかった新たな空間として「勉強カフェ」に要注目です。まずは、ちょっと訪ねてみてはいかがでしょうか。「PROGRESS BOARD」から何かが感じられるはずです。