以前、速報記事でも紹介された都立多摩図書館の「東京マガジンバンク 」。図書館って、もう何年も行っていないなぁ、というアナタ。いまの図書館をあまく見てはいけません。わざわざ足を延ばす価値あり、です。そんなわけで、図書館のスゴさを今後、探っていきたいと思う今日この頃。まずは、都立多摩図書館へ。
利用者層にも大きな変化が
さまざまなジャンルの雑誌のバックナンバーを取り揃えた「東京マガジンバンク」が、5月1日にオープンしてから1カ月半あまり。これまで、一般的な図書館だった都立多摩図書館は、大きくリニューアルしました。フロアは「東京マガジンバンク」と児童書エリア、そして青少年向けコーナー。一般書籍は閉架式となりました。
戸惑う利用者も多かったのでは? との質問に、案内いただいた図書館長の小澤智恵さんは「確かに、長年利用されていた方からはそういった声もありました。でも、みなさんリニューアルに好意的です。一般書籍は検索システムでこれまで通り利用できますし、サービス面で不便になったということはありません。これまでのお客様に加えて、若い女性やビジネスマン、編集など専門的なお仕事の方が増えたのは、『東京マガジンバンク』の影響ですね」と話してくれました。
多摩地区には明治時代末に開館した都立八王子図書館、1947(昭和22)年に開館した都立立川図書館と都立青梅図書館があったとのこと。このうち都立立川図書館は、もともと雑誌を数多く収集していました。これら3館は1987(昭和62)年に都立多摩図書館として統合されます。
最近になって、図書館のあり方も見直されるようになり、市区町村の図書館と都立図書館は役割を分担、都立図書館はより明確な特徴を打ち出すことになりました。都立多摩図書館はそれまで収集していた雑誌をメインにしたわけです。
「こんなんだったの!」創刊号の数々
現在、多摩図書館では「Change!! 進化し続ける世界~世界が変わる・日本が変わる・図書館が変わる~」というオープン記念展示を実施。好評につき、夏休みシーズンまで期間を延長するそうです。
「創刊号から時代が見える」とのタイトルが掲げられた創刊号コレクションは、スゴイのひと言で、実際これは、ほかではまず見られないような充実した内容。3,000種類に及ぶ創刊号コレクションのうち、約200種類が展示されていて、その大部分が手にとって読むことができる!! って、ふつう、ありえないっしょ。
『諸君!』『AERA』『ダカーポ』『ヒッチコックマガジン』『海燕』『面白半分』『クロワッサン』『キャンキャン』『ヴィヴィ』『コスモポリタン』『ニュートン』『シンラ』……。どれにぐっと引かれるかは、その人次第ですが、ホント、時代が見えてきますよ。自分のセーシュン時代も、キューンとよみがえってくるはずです。
さらに、ガラスケースの中には、ご存知『週刊新潮』『週刊文春』『女性自身』『プレイボーイ』などが。懐かしの『朝日ジャーナル』や『平凡パンチ』も並んでいます。『平凡パンチ』の創刊号には、あの人(若い! 当たり前か)のコメントも載っていたのですね。
地方でしか入手できない雑誌も
そのほか、最近の雑誌の創刊号も取り揃えられていて、流行の移り変わりなどがよくわかります。また、『路傍の石』などの小説で知られる山本有三(1887-1974)文庫も貴重なコレクションです。
「東京マガジンバンク」には、外国語雑誌や地方でしか手に入れられない雑誌も含め、約360タイトルが、最新号とおよそ1年分のバックナンバーを手にとることが可能。調べものなど目的がある人はもちろん、特に目的がなくても、これまで知らなかった雑誌がいろいろあるので、好奇心が刺激されます。
多摩図書館が所蔵している雑誌は約1万誌、うち継続刊行されている雑誌は約5,800誌。何か雑誌をお探しでしたら、まずはここを利用してみてはいかがでしょう。その充実ぶりだけでなく、何よりも利用は「無料」です。書籍、雑誌等所蔵資料の貸し出しは行なっていませんが、複写サービス(有料)も用意されています。
また、オンラインデータベースは、雑誌記事を検索できるものやビジネス情報が入手できるものなど、合計26種類が無料で使えるほか、新聞記事の横断検索ができる有料の「ジーサーチ」も。趣味から仕事まで、とにかくいろいろな使い道があるのです。
なお、7月14日(火)午後2時から午後4時まで、読書力をパワーアップする『知識が身につく読書法 図読のすすめ』と題した講演会が同図書館で開催されます。古今東西の名著もA4一枚ですっきり理解できるという「図読」。この機会に新しい読書法に接してみては? 申し込み方法等詳細はこちらをご参照。