歴史の舞台に自分も参加
──川中島の合戦に参加、というのは?
望月「これなんですよ」(写真と資料を取り出す)
──「『川中島合戦絵巻』。大河のタイトルみたいな文字ですね。その演出運行計画書ですか。
望月「毎年4月に山梨県の笛吹市で開催されているんですよ。(今年は4月19日に開催)」
磯部「(写真を見て)かっこいいなぁ(笑)」
望月「午前中に甲冑(かっちゅう)を着付けして、記念撮影するんです。甲冑は貸してくれますけど、持参してくる人もいますね」
──マイ甲冑を持っている人って、知らないですけど……。いるんですね、やっぱり。
望月「ええ、いますよ。(資料を開いて)午前中にリハーサルをして、午後に出陣。合戦となりますが、陣形もこのように決まっています」
──本格的ですね。大人の文化祭って感じがします。
磯部「本当に武士みたいで凛々しいよね」
望月「でも、武田軍か上杉軍かは自分では決められなくて、主催者側が振り分けるんです」
──え? 文句は出ないんですか?
望月「みんな合戦に参加することが目的なので、そういうことはないようですね」
──そうですか。確かに、どちらの側でも歴史を擬似体感できることに変わりはないですからね。とっても、おもしろそうです。
望月「本当に楽しいですよ。ぜひ一度参加してみてください」
歴史を知って世界が広がった
──磯部さんは、歴史好きになって変わったことは?
磯部「もともと出不精だったんですが、今は史跡めぐりによく出かけるようになりました。仙台や土佐、日光、甲府とかいろいろ訪ねてます」
望月「『ドリーム政宗号』(深夜バス)からメールもらったりしたもんね(笑)」
磯部「そうそう(笑)。自分の誕生日にひとりで仙台に行って、伊達政宗とともに過ごしました(笑)」
望月「わたしも史跡めぐりはしますね。本能寺を訪ねて、織田信長のお墓参りしたり。忙しくても、結構あちこちめぐってます。『篤姫バスツアー』に参加もしました。それから、歴史好きになって日本が好きになりましたね。昔は世界史を取っていたこともあって、日本史にあまり興味はなかったのですが、日本のよさやおもしろさがわかってきました」
磯部「それは同じですね。二・二六事件など昭和の歴史も勉強していますが、いろいろな歴史の見方があることを知ると、ますます興味が広がっていきます」
──結局、歴史というのはさまざまな解釈がありますからね。
磯部「本当にそうだと思います。それがマスコミなどで、一面だけから捉えられて変に誤解されることもあって……。勉強会などに出ていると、そんな話もよく耳にするんですよ」
──いろいろな見方があるということをしっかり認識しているというのが、やはり大切なのだと思います。
望月「直江謙続の人物像だって、たくさんの説がありますし。とにかく、歴史を知ると、ぐぐっと世界が広がっていくんです」
歴女はもてる、という説はホント?
──「歴女」や「戦国ギャル」が数多くの雑誌やテレビなどで取り上げられていて、男性からもてるという話が浮上していますが、どうですか?
磯部「どうなんでしょうねぇ(笑)」
望月「どうなんでしょう(笑)」
磯部「歴史仲間が増えるのは確かだと思いますけど」
望月「おそらく、今までは歴史の話で盛り上がれる女性というのが少なかったので、『話がわかってもらえる』ということだけでも喜んでもらっているのではないでしょうか」
磯部「それでまわりに男性が集まってきて、もてるような感じになるのかも。でもやっぱり、歴史が好きな人とは話が広がるのでいいですよね」
──「歴女」とお近づき? になるためには、それなりに歴史を知らなければダメということでしょうね。歴史の魅力に触れたければ、やはり時代屋を訪ねるべき。
磯部「そうですね(笑)。書籍だけではなく、グッズも充実していますから、『発見』があると思いますよ」
望月「ときどき武将の末裔の方がいらっしゃったりもして。そういうのはこのお店ならではのことです」
──最後にオススメの本を1冊紹介していただきたいのですが。
磯部「わたしは司馬遼太郎の『夏草の賦』です。長宗我部元親の物語ですが、とてもわかりやすく、また嫁の視点から描かれていて女性でも読みやすいと思います」
望月「わたしがおすすめしたいのは、加藤廣の『信長の棺』。なぞだった本能寺から消えた信長の遺骨について、埋葬場所がわかるというミステリーです。できれば信長は逃げていてほしいという気持ちがあった反面、供養されていてよかったという安堵感を覚えました。ぜひ読んでみてください」
──磯部さん、望月さん、ありがとうございました。