「歴女(レキジョ)」や「戦国ギャル」など、ここ1、2年で、歴史好きの女性が急速に注目されています。そういえば、NHK大河も女性向けに完全シフトしてきたことは、歴史ファンでなくても、何となく感じる今日この頃。役者はイケメンばかりだし……。
昔から歴史好きな女性はいたとは思いますが、なにゆえ今「歴女」がきているのか? 素朴にそう思い、以前もお話をうかがった時代屋さんへ直行。奉公人と呼ばれる店員さんの望月智穂さんと磯部深雪さんに、率直なトークをしていただきました。「なるほど、女性って歴史ドラマをそう観ているんだ」とか、「えっ、川中島の合戦に参加してるの?」(これは後編で)とか、歴女トークは朝まで止まりませんっ。
どんどん「はまる」歴史のおもしろさ
──望月さんも磯部さんも、2006年の時代屋オープン当時から働いているとのことですが、やはりかなりの「歴女」だったわけですか?
望月「いえいえ。歴史は普通に興味がありましたけど、「歴女」ではなかったです。わたしより磯部さんの方が、根っからの……」
磯部「そういうわけでもないですよ。わたしの場合、中国の歴史小説が好きで、と言うより子どもの頃から読書が好きで、父の本棚にあった『水滸伝』に夢中になって、それから『封神演義(ほうしんえんぎ)』(※編集部注……太公望を主人公に、仙人と人間の世界を舞台とした奇想天外な物語)とか読んでいって……。でも、歴史好きというより読書好きでした。本格的に歴史にはまったのは、ここで働き始めてからですね」
望月「わたしもそうですね」
──それでも、やはり「歴女」の素質はあったと思いますよ。「歴女」は戦国武将が好きというイメージがありますけど、好きな武将はいますか?
磯部「伊達政宗、ですかね。まぁ『独眼竜政宗』を観て、政宗役の渡辺謙がカッコよくて (笑)」
望月「わたしは織田信長とか、上杉謙信とかでしょうか。そのつながりで明智光秀や宇佐美定満(※編集部注…上杉謙信の家臣。越後十七将のひとり)にも興味を持っています。伊達政宗も好きですよ。政宗の重臣の片倉小十郎なんかもいいですねぇ。ひとりの武将を知っただけでも、どんどん興味の対象が広がっていくんですよ」
磯部「そうそう。わたしは長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)(※編集部注…四国を統一したとされる戦国時代の武将)の勉強会にも行っているんですけど、ほんと、歴史ってはまっていきますよね」
男と女の歴史の見方はやっぱり違う?
──ところで、お二人はやはり大河ドラマも観ますか?
磯部「すべて、ではないです。やはり内容によりけり」
望月「『風林火山』は観てました。今は『真田太平記』を観なおしているところです」
──『篤姫』は女性をターゲットにしていると言われていましたが、今回の『天地人』もやはり女性向けでしょうか?
望月「イケメンぞろいの配役を見ると、女性を意識しているのでしょうね」
──最近の大河についてはどう思いますか?
磯部「わかりやすくなったと思いますよ」
望月「昔に比べるとドラマの中での解説も多くなっていますし、ゆかりの地について番組の後に紹介されたりするので親切だし、便利ですね」
──ところで以前、こちらで取材したときも話題になったんですが、ドラマを含めた女性の歴史の見方は男性と違って、キャラ重視だとか。男性の場合、例えば自分の会社での立場を武将に置き換えたり、武将の身の処し方に何かを学んだり、どうしても人生と何かしら絡めてしまうというのが一般的なように思いますが……。
磯部「女性はその人物、キャラをやはり見ますね」
望月「それからドラマでは、配役のカップリングにも目がいきます」
──負けるとわかっていても戦いに向かわなければならない武将に、思いっきり感情移入している男性などは少なくないと思いますが、女性の場合はどうですか。
望月「……それって、つらいじゃないですか! !」
──つらいっすよ(笑)。
望月「女性は、客観的です(笑)。わりと上から目線で見ているのかも」
磯部「母親の気持ち? みたいな」
望月「冷静ですよね」
──なるほど。男性の方がロマンチストなのかもしれませんね……。さて、次に歴史好きになってよかったことをうかがいたいのですが。
望月「実はわたし、川中島の合戦に参加しているんです」
──か、合戦って!?
(次回につづく)