イスラエル滞在3日目。この日は一連の取材の山場となる、イスラエルのアニメファンたちのイベント「Harucon 2010」の開催日だ。会場に約1,500人が集まり、半日以上に渡って盛り上がったこのイベントの模様を、今回と次回で紹介していく。
当日の朝、テルアビブのニコル宅に集合した我々一行はコスプレの準備も終え、バスでラマット・ガン(Ramat Gan)という街にあるバルイラン大学(Bar-Ilan University)へ向かう。バルイラン大学はイスラエル国内で第2の規模を誇る宗教大学で、「Wohl Centre」というコンベンションセンターが今回の会場だ。
イスラエルのオタク活動の歴史はまだ浅いが、Haruconの参加人数は年々増え続けており、今年の参加人数は約1,500人を記録した。イスラエルの人口(約717万人)が日本のおよそ18分の1であることを考えても、立派な開催規模と言えるだろう。
またこの時期は「プリム(Purim)」という、イスラエルの春のお祭りの時期にあたり、日本のコスプレ文化が伝わるずっと以前から、仮装パーティーのならわしがあるのだとか。この日もざっと見たところ約半数の参加者がコスプレをしており、平均年齢が若いこともあってかなり華やかだ。ともかく百聞は一見にしかずということで、さっそく会場の熱狂ぶりと、イスラエルのオタクたちの気合いの入ったコスプレ姿を見ていただこう。
オープニングセレモニーは大講堂で行われた。1,000人を誇る収容数がほぼ満席に。司会はマリオとルイージ |
空港に来てくれたネコ(右から2番目)たち北団メンバーも集結。ネコとオレンジの髪の彼は『フルーツバスケット』の劇中劇のコスプレ。なんとマニアックな…… |
あらためて写真や動画を日本で確認していても、会場の熱気が蘇ってくる。前回登場してもらったニコルのコスプレが、ただの初音ミクではなくて、「LOL」というオリジナル曲の初音ミクだったことからもわかるが、メジャーな作品はもちろん「そんなもんわかるか!」というぐらいマイナーな作品のコスプレも行われているので、本当にあなどれない。できるだけ各人に確認を取ったが、もし記載したキャラクターが間違っていたら、何卒ご容赦いただきたい。
昨日部屋を見せてもらったノルはコンビで登場。『さよなら絶望先生』より可符香(左)と糸色望(右) |
イキスはこの日来れなかったスクァドゥスのバンドメンバー。コスプレは『ゼノギアス』のシタン先生。実は今年すでに来日している |
『Paradise Kiss』の紫。彼女はコスプレコンテストでも見事に入賞していた |
『モノノ怪』の薬売り。さすがのデキとあって、彼はコスプレコンテストでは審査員を務めていた |
『ヘタリア』のシーランド。彼女は日本語もかなり上手。カラオケでは『Chara Head Chara』をこなたのモノマネで歌っていた |
『ダークナイト』のジョーカー。この角度では見えにくいが、彼はユダヤ教徒の帽子「キッパ」をかぶっている |
『HELLSING』のアーカード。別のコスプレイヤーに「ナチスが出てくる作品だけど大丈夫?」と聞いたが、とくに問題ないらしい |
『エルゴプラクシー』のリル |
『メタルギアソリッド』シリーズのスネーク |
『十二国記』の尚隆 |
『デュラララ!!』のセルティ |
ドラマCD『Are You Alice?』の白ウサギ |
『ソウルイーター』のシュタイン博士 |
『らき☆すた』のつかさ(左)とかがみ(右) |
『カウボーイビバップ』のスパイク |
『スクライド』の劉鳳 |
『アサシンクリード』のアルタイル(右)と洋ゲーチームのみなさん |
『NARUTO』の自来也 |
こちらも『NARUTO』よりトビ |
『ファイナルファンタジーVII』のクラウド(左)たち |
『ファイナルファンタジーIX』のクジャ(『ディシディア ファイナルファンタジー』版) |
『撲殺天使ドクロちゃん』のドクロちゃん |
『PandoraHearts』のアヴィスの意志(左)とアリス(右) |
『涼宮ハルヒ』シリーズの長門 |
『魔女の宅急便』のキキ |
『天使禁猟区』のロシエル |
『交響詩篇エウレカセブン』のエウレカ |
『化物語』のひたぎ |
『デジタルモンスター』シリーズのシューツモン |
同じく『デジタルモンスター』シリーズのウイッチモン |
デジモンチームは揃ってコスプレコンテストにも出場 |
会場でとくに印象的だったのは『ヘタリア』の人気ぶりだった。イタリア、ドイツ、日本といった世界の国々を擬人化した作品で、マンガやアニメで女の子たちに人気がある。海外でも人気とは聞いていたが、実は「イスラエル」というキャラクターはこの作品に存在しない。それにもかかわらず『ヘタリア』がこれほど支持されているとは思わなかった。「『ヘタリア』が人気ですね」と留学生の鈴木さんに感想を漏らすと「イスラエルは移民の国なんです。だからあの子たちは、おじいさんやおばあさんが住んでいた国のコスプレをしているんだと思います」と教えてくれた。さまざまな国にルーツを持つ若い子たちが、日本の作品に興味を持ち、一緒にコスプレをして歌ったり踊ったりしている。複雑な国際情勢もあって、批判されることもあるイスラエルだが、しかしこれを平和と言わずになにが平和なんだと、そう思わずにはいられない光景だった。
外はそろそろ日が暮れてきたが、イベントはまだまだ折り返し地点。コスプレ以外にも多彩な催しが行われたので、次回も引き続きHarucon会場からレポートをお届けする。