大分県佐伯市宇目大字南田原字轟(おおいたけん さえきし うめおおあざ みなみたばるあざ ととろ)にある、トトロのバス停を訪問した今回のコラム。前回のバス停に続いて、今回はすぐそばにあるトトロの森を紹介したい。「轟」と書いて「ととろ」と読むこの地域。そこのバス停前に誰かが手作りのネコバスのプレートを置いていったのが、そもそもの始まりとされる。道沿いはやはり危険ということで、ネコバスは近くの川沿いのスペースに移設され、そこが「トトロの森」となっている。
トトロのバス停から少し進んだところにあるトトロの森。川沿いが整備され、大きな木の根元ではメイとトトロがお出迎え |
川向こうに置かれた2代目ネコバス。この日も日暮れ時にも関わらず、何人かの人たちが訪れていました |
こちらがネコバス。デキが玄人裸足なのはもちろん、窓から顔も出せるようになっているなど、かなり凝ったもの |
短歌会の歌碑も。「ネコバスのありてしずかに暮れてゆく トトロの森はメルヘンの里」。歌のよしあしはわかりませんが、内容はひねってませんね…… |
トトロの森に置かれたネコバスも現在は2代目。初代が古くなってきたので移設したところ、また誰かが2代目のプレートを設置していったという。ほかにもトトロの森には紙ねんどの小さなトトロがたくさん置かれていたり、ハガキやメッセージを書ける場所があったりして、静かながらも楽しいスポットとなっている。トトロの森の向かいの山腹は神社になっているので、そちらにも行ってみた。
『となりのトトロ』に神社にお参りするシーンがあったなあ、ということで、すぐそばの神社を参拝してみました。その名も「龍王社」 |
少し登ると、かなり急な山道に。『となりのトトロ』というか『もののけ姫』の森みたいになってきたんですけど…… |
それにしてもこのトトロの森、名前が似ていただけという偶然にしては、驚くほど『となりのトトロ』の風景っぽい。作品のモデルは戦後の所沢周辺と言われているが、所沢に人間が増えすぎたので、トトロがここまで移り住んできたのでは……という想像が思わずふくらんでしまう。ほかにも小さなトトロたちがならんだ様子が『もののけ姫』のコダマっぽかったり、近くに水を司る龍神が祭られているのが『千と千尋の神隠し』っぽかったりと、あちこちにジブリ作品的な要素を見つけることができるのもうれしい。見る側の勝手な思い入れではあるのだが、いかにスタジオジブリが日本人の原風景を大切に描いてきたか、という証拠でもある。
地元住民と大分バス、ここを訪れる観光客(と看板を立てた誰か)がそれぞれ好意を持ち寄ることで、宇目の山村に静かに佇み続けているトトロのバス亭とトトロの森。もし九州を訪れる機会があったら、トトロたちをおどかさないようにして立ち寄ってみてほしい。あのへんな生き物はいま大分にいるのです、たぶん。
<ご注意>
トトロのバス停とトトロの森を車で訪れる際は専用の駐車スペースをご利用ください。また、今回取り上げた龍王社の山道は、観光客用に整備されていません。訪れる場合は個人の責任で十分注意して参拝してください。